東南アジア地誌をまとめました










東南アジアの地形

- メコン川
- チャオプラヤ川
- エーヤワディー川
※河口部には三角州(デルタ)が発達している。
- スマトラ島
- ジャワ島:総人口の過半数が集中
- バリ島:ヒンドゥー教徒が多い
- カリマンタン島
- スラウェシ島
- マルク諸島(モルッカ諸島):香辛諸島
- ニューギニア島
- ティモール島
- ルソン島
- ミンダナオ島:イスラム教徒の分離独立運動が行われている
- マラッカ海峡
航路の幅が狭く屈曲している上、浅瀬が多く、通行量も多いため、大型船の通行は制限されている
→大型船の通行:ロンボク海峡
- フィリピン海溝
- スンダ海溝
東南アジアの気候
熱帯の熱帯雨林気候(Af)とサバナ気候(Aw)がほとんど。

季節風(モンスーン)
- 夏:海洋から大陸へ(南東風)
- 冬:大陸から海洋へ(北西風)
東南アジアの歴史
古くから中国文化とインド文化の影響を受けてきた
↓
タイを除く全域が欧米諸国の植民地に
イギリスの植民地
- ミャンマー
- マレーシア
- シンガポール
- ブルネイ
フランスの植民地
- ラオス
- カンボジア
- ベトナム
オランダの植民地
- インドネシア
スペインの植民地→アメリカの植民地
- フィリピン(米西戦争の結果、アメリカに売却された)
ポルトガルの植民地
- 東ティモール
唯一の独立国
- タイ(イギリス・フランスの緩衝地帯)
↓
第二次世界大戦中に日本軍が進駐
↓
フィリピン | 1946年にアメリカから独立。 |
ミャンマー(ビルマ) | 1948年にイギリスから独立。 |
インドネシア | 1949年にオランダから独立。 |
ラオス | 1953年にフランスから独立。 |
カンボジア | 1953年にフランスから独立。その後、ベトナム戦争に巻き込まれてカンボジア内戦に。 |
ベトナム | 1954年にフランスがベトナムから撤退した後、南北に分断される。ベトナム戦争後、1976年に南北統一。(ベトナム社会主義共和国) |
マレーシア | 1957年にイギリスから独立。 |
シンガポール | 1959年にイギリスから自治権を獲得し、1963年にマレーシア連邦の一州となった後、1965年にマレーシアから独立。 |
ブルネイ | 1984年にイギリスから独立。 |
東ティモール | 2002年にインドネシアから(国際法上はポルトガルから)独立。 |
東南アジアの文化
民族
インドと中国の間で、インド洋と太平洋を結ぶ海上交通の通過点だったため、多くの民族が流入した。
19世紀以降、植民地にインド系(印僑)と中国系(華僑)が流入した(←ヨーロッパ人がプランテーション農園や鉱山の労働力として雇った)。
マレーシア
- マレー系
- 中国系
- インド系
シンガポール
- 中国系
- マレー系
- インド系
宗教
宗教も多様
大陸部:仏教
- 上座部仏教:タイ、ミャンマー、カンボジア、ラオス
- 大乗仏教:ベトナム
島嶼部:イスラム教
- インドネシア、マレーシア、ブルネイ
※シンガポール:仏教、キリスト教、イスラム教、道教、ヒンドゥー教が混在
※フィリピン:キリスト教(カトリック)
※東ティモール:キリスト教(カトリック)

東南アジアの経済

プランテーション農業が行われていた。
- 欧米諸国の植民地だった時代、ヨーロッパ人が広大な農園を開き、現地の農民に農作業をやらせる
- バナナ、ゴム、サトウキビ、カカオ、コーヒーなど一種類の商品作物を栽培(モノカルチャー経済)
→不安定な経済
(理由)特定の作物に頼るため、異常気象やその作物の国際価格に影響を受けやすい。
↓
ヨーロッパ人が引き上げて独立した現在でも、プランテーション農業が行われている。
ベトナム | コーヒー、ゴム |
インドネシア | 油ヤシ、ゴム、コーヒー |
フィリピン | バナナ、サトウキビ |
マレーシア | 油ヤシ、ゴム |
インドネシアやマレーシアでは鉱業におけるモノカルチャー経済が見られる。
インドネシア | 銅、ニッケル |
マレーシア | 錫 |
↓
特定の農産物や鉱産資源に頼るモノカルチャー経済から抜け出すために、工業化を進めた。
- 東南アジア諸国の低賃金な労働力を活用
- 税制の優遇措置をとった輸出加工区を設置し、先進国の企業を誘致
(例)シンガポールのジュロン、マレーシアのペナン


ジュロン | シンガポール南西部にある東南アジア最大の工業地区。1961年以降造成された。 |
ペナン | マレー半島中部西岸沖にある島。 |
輸入代替型工業から輸出指向型工業へ
※1985年のプラザ合意後の円高によって、日本企業が東南アジアに多数進出。自動車、コンピュータなどの工業が発展。
タイ・マレーシアの産業構成の変化をもたらした政治経済的背景
長期安定政権のもとで、輸出加工区の設置など積極的な外資導入政策を行い、低賃金労働力を背景として労働集約型の製造業中心の輸出指向型工業化を図った。
ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーは、内戦や政情不安などで工業化が遅れた。
貿易(輸出品目)
シンガポール(2020)
- 機械類
- 石油製品
- 精密機械
- 金
- 化学薬品
ベトナム(2020)
- 機械類
- 衣類
- 履き物
- 家具
- 繊維と織物
タイ(2020)
- 機械類
- 自動車
- 金
- プラスチック
- 野菜と果実
インドネシア(2020)
- パーム油
- 石炭
- 機械類
- 鉄鋼
- 衣類
カンボジア(2020)
- 衣類
- 履き物
- バッグ類
- 機械類
- 自動車
フィリピン(2020)
- 機械類
- 果実と野菜
- 精密機械
- 金
- 銅
ブルネイ(2020)
- 液化天然ガス
- 原油
- 石油製品
- 化学薬品
- 機械類
ミャンマー(2020)
- 衣類
- 天然ガス
- 野菜と果実
- 穀物
- 銅
ラオス(2020)
- 電力
- 銅鉱
- 野菜と果実
- 銅
- 機械類
東南アジアの農業・林業
稲作
- 水田の多くは一期作(モンスーンの雨に依存する天水田)
- 二期作・三期作を可能にする灌漑施設がある水田は少ない
- 農作業はほとんど家族の手作業
- 自給作物として栽培
- 残りは華僑の手を経て集荷・販売される
- 雨季に洪水が多い平野部では、浮き稲を栽培(チャオプラヤ川、エーヤワディー川、メコン川流域)
東南アジアにおける熱帯林破壊の要因
- ラワンなどの用材獲得のため、樹種の多い熱帯林を皆伐した
- 外貨獲得のため、油ヤシ農場・えび養殖池を造成した
ASEAN(東南アジア諸国連合)

1967年:タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンの5カ国で結成
↓
1984年:ブルネイ
1995年:ベトナム
1997年:ラオス、ミャンマー
1999年:カンボジア
もともとは社会主義勢力に対抗するための軍事同盟的な組織として発足
↓
東西冷戦が終結(次第に経済関係を重視する方向に変化)
↓
社会主義国もASEANに加わる
↓
現在は東南アジアをまとめる地域連合
1993年:AFTA(ASEAN自由貿易地域)
東南アジアの国々
大陸部
- ミャンマー
- タイ
- カンボジア
- ラオス
- ベトナム
島嶼部
- フィリピン
- インドネシア
- マレーシア
- シンガポール
- ブルネイ
- 東ティモール
ミャンマー
- 内戦や政情不安などで工業化が遅れた。
ミャンマーの西海岸(ベンガル湾)から中国南西部へと伸びる天然ガス・石油のパイプラインがある
→中国にとっては、石油を調達するためにマラッカ海峡を通過する頻度が減るというメリットがある
※2010年にミャンマーが民主化した時に、様々な国が押しかけた理由
タイ






主な特徴
- サバナ気候(Aw)と熱帯モンスーン気候(Am)
- 植民地支配されなかった
- 首都バンコクに都市機能や人口が一極集中
- コメの輸出が盛ん
- 自動車工業が盛ん(東南アジアのデトロイト)
- 交通渋滞が深刻
カンボジア
- 内戦や政情不安などで工業化が遅れた
ラオス
- 内戦や政情不安などで工業化が遅れた
ベトナム






主な特徴
- 温帯夏雨気候(Cw)とサバナ気候(Aw)
- フランスによる植民地支配の歴史
- ベトナム戦争
- ドイモイ政策で経済発展
- コメやコーヒー豆の輸出が盛ん
- 労働集約的な工業が盛ん
- オートバイが大量走っている
フィリピン
- 7,000以上の島からなる島嶼国家(中心はルソン島、ミンダナオ島)
- 政情不安定で外国企業の進出が遅れる(←1980年代のクーデタ)
- 公用語:英語、フィリピノ語
歴史
16世紀にスペインの植民地に
米西戦争の結果、アメリカ合衆国の植民地に
宗教
主にキリスト教(カトリック)
※ミンダナオ島にイスラム教信仰者が多い(→独立運動)。
農業
バナナやココヤシ
工業
ルソン島のマニラやバタアン半島などに輸出加工区を設置
→外国資本を積極的に導入
- 電気機械
- エレクトロニクス
インドネシア






主な特徴
- 熱帯雨林気候(Af)
- オランダによる植民地支配の歴史
- 世界最大のムスリム国家
- アブラヤシの栽培(→パーム油の生産)が盛ん
- 石炭の輸出が盛ん
- ジャワ島に人口が集中
- 経済格差が激しい
マレーシア






主な特徴
- 熱帯雨林気候(Af)
- イギリスによる植民地支配の歴史
- 多民族国家
- アブラヤシの栽培(→パーム油の生産)が盛ん
- 鉱業が盛ん
- 輸出加工区を設置して工業化
シンガポール






主な特徴
- 熱帯雨林気候(Af)
- イギリスによる植民地支配の歴史
- 多民族国家
- 都市国家
- 東南アジアで最も早く工業化が進んだ
- 物流業・金融業・観光業が盛ん
- ビジネスしやすい国
- 東南アジアでダントツに経済発展
ブルネイ
東ティモール
メモ

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参考文献
通信教育
学習漫画・参考書
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社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。