マレーシアの地理についてまとめました。
これくらい理解しておけば高校地理レベルとしては十分!
…なはず(リスクヘッジ)
※もっと突っ込んだ内容や理解の仕方・教え方の工夫については、別ブログ「社会科プラス」でまとめます。ぜひそちらもご覧ください!
マレーシアの地形と位置
マレー半島とボルネオ島
マレーシアはマレー半島とボルネオ島(カリマンタン島)を領土とする国です。
マレー半島が結構ゴツゴツしている(山がち)、ってのはちゃんと理解しておくといいと思います。
赤道が通る場所
マレーシアは赤道直下ではありません。
アルファベットのkみたいな形をしているスラウェシ島(←インドネシア)の、くぼんでいるところを通ります。
狭まる境界からは離れている
マレーシアは変動帯(ユーラシアプレートとインド・オーストラリアプレートの境界)からは割と離れています。
なので、地震や火山活動は基本的にありません。
マラッカ海峡
マラッカ海峡に隣接しています。
※マラッカ海峡は航路の幅が狭く屈曲している上、浅瀬が多く、通行量も多いため、大型船の通行は制限されている
マレーシアの気候
熱帯雨林気候(Af)
※スコールあり
マレーシアの文化
多民族国家
マレー系 | 約70%、マレー語、イスラム教 |
中国系 | 約23%、中国語、仏教 |
インド系 | 約7%、タミル語、ヒンドゥー教 |
※2023
公用語はマレーシア語だけど、みんな英語を話せます。
ムスリム国家
人口の多数派を占めるマレー系の人々がほぼイスラム教を信仰しているので、マレーシアはムスリム国家と言えます。
※「東南アジアの大陸部は仏教が、島嶼部はイスラム教が主に信仰されている」ってのは東南アジア地誌の重要ポイントの一つ。でもなんでこのような区分けになったんでしょう…?(→社会科プラス)
マレーシアの歴史
イギリスによる植民地支配
香辛料の価値に気づいてしまったヨーロッパの人々がこぞって東南アジアに進出。
マラッカ海峡に面する港町マラッカは香辛料貿易の拠点として、ポルトガルやオランダに占領された後、イギリスに占領されました。
その後、イギリスはマレー半島の港町ペナン・シンガポール・マラッカを植民地化。(海峡植民地)
イギリスの興味はシンガポールに対して猛烈に注がれた
やがてイギリスはマレー半島一帯を植民地化。(イギリス領マラヤ)
※イギリス植民地時代に、中国系の人々が港湾整備や港での商品管理、資源開発などの労働者として、インド系の人々が建設業などの労働者として流入した
独立
1957年、マラヤ連邦がイギリスから独立。
シンガポールとの合体からの分離
1963年、マラヤ連邦、ボルネオ島のサバ・サラワク両州とシンガポールが合体し、マレーシア連邦が成立。
しかし、たった2年でシンガポールはマレーシア連邦から追放される形で分離独立することになりました(1965年)。
マハティールの長期独裁
1981年に首相に就任したマハティールの指導のもとで、マレーシアは急速に経済発展しました。
※マレー系の人々を優先するブミプトラ政策を採用(後述)
※輸出加工区を設置して外資を積極的に導入(後述)
マレーシアの人口と人口構成
マレーシアの人口は約3,350万人(2023)。
※実は人口が少なめ。お隣のタイは約6,600万人と多いのに。
人口ピラミッドはつりがね型…?
「malaysia population pyramid」で検索するとヒットするPopulationPyramid.netは超便利です!
主な都市
首都のクアラルンプールは必須。
ペナンとマラッカも知っておいた方がいいと思います!
マレーシアの経済
アブラヤシの栽培(→パーム油の生産)が盛ん
いろんな食品や化粧品、洗剤などに使われるパーム油。
パーム油は世界に売れる=儲かる!ので、パーム油がとれるアブラヤシの栽培が盛んに行われています。
※マレーシアはパーム油の生産量で世界第2位(2024)
(経緯)昔は天然ゴムの生産が盛んだったが、合成ゴムの登場により天然ゴムの価格が下がって儲からなくなったため、天然ゴムからアブラヤシの栽培への転換が起こった
※天然ゴムは先進国で製造する合成ゴムとの競合により、価格・生産量ともに低迷。パーム油はマーガリンや石けんの原料になる。用途が広いので、合成ゴムとの競合に悩まされる天然ゴムよりも有利な農作物と考えられた。
※アブラヤシ農園を作る上で熱帯林が大規模に伐採されて環境破壊が〜…っていう話も重要です
鉱業が盛ん
植民地時代から注目されていた錫(すず)のほか、
原油や液化天然ガス(LNG)の生産が盛んです。
※原油、天然ガスはボルネオ島(カリマンタン島)でよくとれる
輸出加工区を設置して工業化
1981年に首相に就任したマハティールは「東にある日本を手本にするぜいっっ!」と宣言し、ルックイースト政策を採用。
もともと海峡植民地で開発の下地があった港町ペナンなどに輸出加工区を設置して、外国企業を思いっきり誘致しました。
こうして電機・電子産業を集中的に育成し、マレーシアは一挙に経済発展を遂げました!
※1985年のプラザ合意後の円高によって、日本企業が東南アジアに多数進出した、という事情も重なりました(←安価な労働力を求めて)
※1980年頃は、原油や天然ゴムや木材の輸出に依存していたが…現在のマレーシアの主要輸出品No.1は何?
東南アジアの中で経済発展している方
マハティールが(良くも悪くも)強権的な手法でゴリゴリ経済成長を推進したおかげで、
東南アジア諸国の中で言うと、マレーシアはすでに経済発展が進んでいるグループに属します。
シンガポールは別格。マレーシアとタイが2番手ポジション。その次に位置するのがインドネシアかベトナムって感じでしょうか。
※でも実際にマレーシア現地に行ってみると、いろいろ思うこともありました(→社会科プラス)
マレーシアの政治
中高地理の教科書で、マレーシアの政治に関する話はほぼ出てこなかったような。
※「これ重要だったわ!」ってのを思い出したら追記します
マレーシアの社会問題
経済格差(→ブミプトラ政策)
ブミプトラ政策
- 経済的・社会的に劣位にあるマレー人を優遇する
- マレーシア語を公用語、イスラム教を国教とする
- 政治や経済の中枢にマレー人を優先的に登用する
→貧富の差の解消、政治・社会の安定
首都クアラルンプールの過密
首都のクアラルンプールに人口が集中していて、渋滞などの都市問題が深刻です。
もっと突っ込んだ話は
→社会科プラスで
※中高生は、とりあえず本記事の内容を理解するべし。この記事の内容をわかっておけば、高校受験や大学受験の共通テストならそれなりにいける…はず
(もっとリアルなことを知りたい人は社会科プラスへ)
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