雨温図の問題の解き方(見分け方)【世界地理版】について説明します!
雨温図の問題を解くための前提知識【世界地理版】
まず、世界の雨温図の問題を解くための前提知識についてです。
雨温図の読み取り方
これは基本。
- 折れ線グラフが気温(目盛りは左軸の数字)
- 棒グラフが降水量(目盛りは右軸の数字)
を表しています。
北半球の雨温図は、気温のグラフが山型に
南半球の雨温図は、気温のグラフが谷型に
なります。
(気温のグラフが直線的になる赤道付近の雨温図は、必ずしもそうはならない)
ちなみに、
最も気温が高い月(最暖月)と最も気温が低い月(最寒月)の気温の差のことを、気温の年較差(ねんかくさ、ねんこうさ)と言います。
東京の年間降水量は約1,500mm
雨温図を見るときの目安として、
東京の年間降水量は約1,500mm
というのを覚えておくと良いです。
(東京の年間降水量は、世界的に見てもかなり多めです。)
このことを覚えておくと、例えば
年間降水量600mm
というのを見たときに、
雨があまり降らない地域なんだな
ということが分かります。
ちなみに、東京の年間平均気温は約16℃です。
気温が高い夏に降水量が少なくなる気候は地中海性気候
地中海性気候はよく問題に出題されるので、必ず覚えておく必要があります。
地中海性気候は、温帯の中で夏(気温が高い時期)に雨が少なく乾燥する気候
です。
このような形の雨温図になります。
気温の折れ線グラフの頂点の時期に降水量が少なくなっている雨温図を見たら、
「地中海性気候かな?」
と考えます。
また、地中海性気候は世界地図で見ると、このあたりにあります。
その名の通り、地中海付近で主に見られます。
南アフリカ共和国のケープタウンのあたりに地中海性気候が少し見られるのも、余力があれば覚えておくと良いです。
(たまに出題されるので)
代表的な砂漠気候の位置
代表的な砂漠気候の位置を覚えておくと良いです。
- サハラ砂漠あたり(アフリカ北部)
- ルブアルハリ砂漠あたり(アラビア半島)
- グレートビクトリア砂漠あたり(オーストラリア中西部)
- パタゴニア(南アメリカ南部)
このあたりは、降水量がとても少ないです。
緯度・標高・海との近さが気候に影響を与える
気候に影響を与える要因について理解しておくと、雨温図の問題の正答率がグッと上がります。
緯度が高くなると、気温は低くなる
緯度が高くなると、気温は低くなります。
つまり、
- 赤道に近いと(低緯度だと)、年中高温
- 北極や南極に近いと(高緯度だと)、年中低温
ということです。
標高が高くなると、気温は低くなる
標高が高くなるにつれて、気温は低くなります。
例えば、赤道直下のエクアドルにあるキトという都市は、
標高が約3,000mなので、赤道直下でも年間平均気温が約13℃
です。
代表的な標高の高い地域も覚えておくと良いです。
- アンデス山脈
- チベット高原
海から離れると、気温の年較差は大きくなり、降水量は少なくなる
海から離れると(内陸にいくと)、気温の年較差は大きくなります。
気温の年較差 = 最も気温が高い月(最暖月)と最も気温が低い月(最寒月)の気温の差
海から離れると(内陸にいくと)気温の年較差が大きくなるのは、地面と水とで、温まりやすさと冷めやすさが違うからです。
太陽の熱で地球は温まりますが、
- 陸地の方が温まりやすく
- 海の方が温まりにくい
のです。
(物質の違いが理由。例えば鉄は熱しやすく冷めやすい)
逆に、
- 陸地の方が冷めやすく
- 海の方が冷めにくい
です。
そのため、海からはなれると(内陸にいくと)、海の(温まりにくく冷めにくい)効果が少ないため、夏は暑く・冬は寒くなって、気温の年較差が大きくなります。
また、
海から離れると(内陸にいくと)、降水量は少なくなります。
これは、海からの水蒸気が届きにくくなるためです。
ちなみに、このことが理由で砂漠ができた場合、その砂漠のことを「内陸砂漠」と呼びます。
雨温図の問題の解き方【世界地理版】
以上、雨温図の問題を解くための前提知識【世界地理版】を解説しました。
重要な部分をまとめます。
- 南半球の雨温図は、気温のグラフが谷型に
- 東京の年間降水量は約1,500mm
- 気温が高い夏に降水量が少なくなる気候は地中海性気候
- 代表的な砂漠気候の位置
- 緯度が高くなると、気温は低くなる
- 標高が高くなると、気温は低くなる
- 海から離れると、気温の年較差は大きくなり、降水量は少なくなる
では、これらの知識を使いながら、雨温図の問題を解いてみましょう。
問題
下のA~Eの雨温図は、ウィーン、キエフ、ストックホルム、パリ、ローマの雨温図である。それぞれ、どの都市のものか。
ヒント(こんなふうに考えると良いと思います)
A~Eの雨温図が、どの都市のものかを判定する。
まず、Bの雨温図は、気温が全体的に低くなっている。 が高くなればなるほど気温は低くなるので、Bは地図中で最も が高い位置にある
の雨温図である。
次に、Cの雨温図は、1年のうち に降水量が少ないという特徴を持っている。
この特徴をもつ温帯の気候を、 性気候と呼ぶ。
また、気温が全体的に高い。気温は、赤道に近いほど高くなる傾向にある。
よって、Cは 海に近く、緯度が い位置にある
の雨温図である。
DとEの雨温図は、どちらも気温の年較差が大きい。
地面(陸地)は水(海)よりも熱しやすく冷めやすいという特徴をもっているため、 から離れれば離れるほど、つまり内陸にいけばいくほど、気温の年較差は なる傾向にある。
また、同時に降水量も少なくなる。
よって、DとEはウィーンかキエフである。
雨温図を見比べると、Eの方が気温の年較差が若干大きく、降水量も少ない。
ウィーンとキエフでは、 の方が、大西洋や地中海などの大きな海から遠く、内陸にある。
よって、Eが で、Dが となる。
したがって、残ったAが である。
(下にスクロールすると答えがあります)
答え
- A パリ
- B ストックホルム
- C ローマ
- D ウィーン
- E キエフ
A~Eの雨温図が、どの都市のものかを判定する。
まず、Bの雨温図は、気温が全体的に低くなっている。緯度が高くなればなるほど気温は低くなるので、Bは地図中で最も緯度が高い位置にあるストックホルムの雨温図である。
次に、Cの雨温図は、1年のうち夏に降水量が少ないという特徴を持っている。
この特徴をもつ温帯の気候を、地中海性気候と呼ぶ。
また、気温が全体的に高い。気温は、赤道に近いほど高くなる傾向にある。
よって、Cは地中海に近く、緯度が低い位置にあるローマの雨温図である。
DとEの雨温図は、どちらも気温の年較差が大きい。
地面(陸地)は水(海)よりも熱しやすく冷めやすいという特徴をもっているため、海から離れれば離れるほど、つまり内陸にいけばいくほど、気温の年較差は大きくなる傾向にある。
また、同時に降水量も少なくなる。
よって、DとEはウィーンかキエフである。
雨温図を見比べると、Eの方が気温の年較差が若干大きく、降水量も少ない。
ウィーンとキエフでは、キエフの方が、大西洋や地中海などの大きな海から遠く、内陸にある。
よって、Eがキエフで、Dがウィーンとなる。
したがって、残ったAがパリである。
Aは消去法で答えを出しましたが、雨温図の問題を解くときには消去法を使うこともあります!
日本地理版の雨温図の問題の解き方
地理の記事・動画一覧はこちら
参考文献
通信教育
学習漫画・参考書
社会科チャンネル
社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。