占領下の日本でどのような改革が行われたのか?について、
- 占領政策の目標は何だったのか?
- 非軍事化政策
- 民主化政策
に分けて話をします!
戦後の占領政策の目標
アメリカや東アジア地域にとって、日本が再び脅威になるのを防ぐこと
この目標を達成するために、日本の占領政策を実質的に担当したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は2つの方向で政策を実行します。
- 日本が再び戦争をできないようにする(非軍事化)
- 日本が戦争に突き進むことになった原因を取り除く(民主化)
具体的にはこんな感じ↓
非軍事化政策
- 戦争犯罪人を裁判・処罰
- 陸海軍の解体
- 兵器や軍需関連の技術を没収・破壊
- 戦争中のリーダーを公職から追放
- 憲法の改正
- 国家神道の廃止
民主化政策
政治面
- 治安維持法の廃止
- 新選挙法制定
- 憲法の改正
経済面
- 財閥解体
- 農地改革
- 労働改革
東久邇宮稔彦内閣(1945.8〜1945.10)の下での政策
ポツダム宣言受諾の3日後、皇族であり、かつ陸軍大将でもあった東久邇宮稔彦王が首相になりました。
そして、以下の政策を実行。
- 連合国軍が日本に入ってくること(進駐受け入れ)
- 陸海軍の解体
- 降伏文書への調印
その後、GHQの人権指令に反発して総辞職。詳しくは下記の記事で!
GHQの五大改革指令
1945年10月、GHQのマッカーサーは幣原首相に対して「5つの改革をせよ!」って口頭で指示をしました(五大改革指令)。
五大改革指令
- 女性に参政権を与えてくれ!
- 労働組合の結成を進めてくれ!
- 自由な教育を行ってくれ!
- 秘密警察などを廃止してくれ!
- 経済機構を民主化してくれ!(財閥を解体してくれ!)
※マッカーサーはこの五大改革を幣原首相に対して口頭で指示するとともに、「憲法も改正する必要があるよ」って言いました。
このマッカーサーの指令を受けて、日本政府は様々な政策をどんどん実行していくことになります。
戦後の日本の非軍事化政策
GHQは「日本が再び戦争をできないようにしよう!」って考えて、次のような政策を実行。
戦争犯罪人を裁判・処罰
連合国は、日本の戦争犯罪人たちを次々と逮捕し、世界各地で裁判をして処罰しました。
- 通例の戦争犯罪(捕虜虐待などの命令)→B級戦犯
- 平和に対する罪(侵略戦争の計画・実行)→A級戦犯
- 人道に対する罪(捕虜虐待などの実行)→C級戦犯
日本国内でも戦争犯罪人たちの逮捕が行われました。
戦争指導者(戦争のリーダー)も、「日本の戦争責任を当時の政府・軍のトップに負わせる方針だったGHQ」により次々と逮捕。
そのうち28人がA級戦犯容疑者として起訴されて、1946年5月から東京裁判(極東国際軍事裁判)が行われました。
ちなみに、東京裁判は市ヶ谷の旧陸軍士官学校講堂で行われました。
現在は市ヶ谷記念館となって見学ツアーが開催されています。
陸海軍の解体
陸軍省・海軍省が解体され、陸軍・海軍の解体が行われました。
兵器や軍需関連の技術を没収・破壊
また、兵器や軍需関連の技術の没収・破壊が行われました。
例えば、戦闘機や潜水艦、原爆開発につながるサイクロトロンという機械などなどです。航空機の研究・設計・製造も全面禁止されました。
戦争中のリーダーを公職から追放
GHQの指令に基づいて、日本政府は
- 戦争犯罪人
- 陸海軍軍人
- 「日本万歳!天皇万歳!」って感じの国家主義者
などを政治・警察分野の公職・民間企業の責任ある地位・職務につくことを禁止しました(公職追放)。
戦争のリーダーを排除して、日本は再スタートを切るんだ!ってことです。
憲法の改正
GHQが「憲法改正をしろ!」って指示してきたので、日本政府は大日本帝国憲法を改正し、日本国憲法が成立。
日本国憲法第9条第1項で「国際紛争を解決する手段」としての戦争を放棄しました。
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第9条第1項
また、第9条第2項で「前項の目的を達するため」戦力は保持せず、交戦権も認めないと定めました。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
第9条第2項
関連:日本の平和主義と憲法9条
憲法の側面からも非軍事化を進めたわけです(→数年後に警察予備隊ができて再び軍事力を持つことになるわけですが、、)。
日本国憲法については、別記事でくわしく説明します!
国家神道の廃止
GHQは国家神道の解体も指令してきました(神道指令)。
「天皇はこの世に人間の姿で現れた神なのだ!」っていう考えのもと、明治期以降の政府は神社を援助・監督していたわけですが、
これが国民の天皇崇拝、さらには「天皇のために戦うのだ!」っていう思想につながっていたとGHQは判断しました。
ということで、「政府は神社に対して援助・監督するのをやめろ!」って指令したわけです。
戦後の日本の民主化政策
次に、民主化政策について政治面・経済面とに分けて説明します!
政治面
治安維持法の廃止
治安維持法や特別高等警察(特高)などを廃止して、共産党員などの政治犯の釈放を行いました。
新選挙法制定
衆議院議員選挙法を改正して、満20歳以上の男女に選挙権が与えられました(女性参政権の実現)。
憲法の改正
大日本帝国憲法を改正して、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」を基本原理とする日本国憲法を成立させました。
「日本を統治する」とされた天皇は「日本国および日本国民統合の象徴」となって政治的権力を失い(象徴天皇制)、国民の選挙によって作られる国会が「国権の最高機関」とされました。
日本国憲法については、別記事でくわしく説明します!
経済面
GHQは
- 財閥が日本経済を支配してきたこと
- 農民が貧しいこと
- 低賃金で労働者が苦しんでいて、国内でモノが売れないこと(国内市場が狭いこと)
が戦前の軍国主義を支えた!って考えて、財閥解体・農地改革・労働改革を実行しました。
財閥解体
農地改革
労働改革
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参考文献
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