日本史

財閥解体についてわかりやすく【日本の歴史】

財閥解体についてまとめました!

財閥解体を理解するための基礎知識

株式会社とは

事業のアイディアがあるけど、お金がない人

その事業のために、お金を出してあげた人

によって成り立つのが株式会社。

例えば「四角いタイヤを作りたい!四角いタイヤは絶対売れるはずだ!」っていう、事業のアイディアを持っている人がいたとします。この人のことを、経営者(起業家)と呼びます。

ですが、経営者が持っているお金だけでは、タイヤを作るための資金が足りない場合があります

このような時に、経営者が資金を集める手段は大きく2つ。

  • 銀行などからお金を借りる
  • 新しく株式を発行する

「新しく株式を発行する」の流れ

  • 「四角いタイヤを作りたいんですけど、お金を出してくれる人はいませんか?」
  • 「お金を出してくれた人には、株式を渡します」
  • 「この会社がもうかれば、利益の一部(配当)を株式を持っている人に渡しますよ」

株主(出資者)

株式を買う(お金を出す代わりに株式をもらう)ことで、その事業のために、お金を出してあげた人

このように、

  • 経営者(起業家)が株式を発行し、
  • その株式を出資者に買ってもらうことで資金を集め、

運営をする会社のことを株式会社と言います。

参考:株式会社の仕組みを解説

株式所有者(株主)は会社の運営に意見を言える

株式所有者(株主)は、その会社の運営について意見を言う権利があります(←その事業のためにお金を出してあげた人だから)

(例)「四角いタイヤ」の事業に対してお金を出したのに、、、経営者が「三角形のタイヤ」を作ろうとしていたら

→「ちょっと待て!話が違うじゃないか!」ってなりますよね

株主は株主総会で意見を言うことができます。

株式所有者(株主)の権利

  • 会社のさまざまな重要事項を決める株主総会に参加できる
  • 持っている株式の数(持ち株数)1株につき1票の投票できる

一人一票ではありません。株式をたくさん持てば持つほど、その会社に対する発言力が上がります。

つまり、大株主(企業の株式の大多数を保有している株主)はその企業のことを支配できるということ。

持株会社とは

株式所有によって企業を支配する会社

(他の株式会社の株式を多数保有することによって、その会社の事業活動の指針を決めることを事業としている会社)

財閥とは

一族の独占的出資による資本を中心に結合した経営形態

↑どういう意味なのか謎すぎるので、わかりやすく説明します!

例えば、佐藤さんという人がいて、その一族(佐藤一族)が会社Aの大株主だとします。会社Aは佐藤さん一族に支配されている状況。

さらに、この会社Aが、会社B・会社C・会社Dの株式を多数保有していて、会社B・会社C・会社Dを支配しているとします(会社Aは持株会社)。

この時、会社Aとその下にある会社B・会社C・会社Dはすべて、佐藤さん一族に支配されていると言えますよね。

この会社A+会社B・会社C・会社Dの企業集団のことを財閥と言います。

※B・C・DのことをAの「傘下企業(さんか きぎょう)」と言う(←Aの大きな傘の下に入っているというイメージ)。

財閥の特徴

同族支配

ある一族に支配されている

多角経営

いろんな事業に取り組んでいる

(例)運輸・鉱山・貿易・金融など

財閥の成り立ち

お金をたくさん持っていた人(資本家)がいた

明治維新後、彼らの一部は、政府から特権を与えられて成長した(=政商

(例)三井・三菱(岩崎弥太郎)、五代友厚、安田善次郎など

1880年代以降、政商は政府から官営事業払下げなどを受けて経営を多角化(=財閥

大正初期に、持株会社の形態を整えた

四大財閥

  • 三井
  • 三菱
  • 住友
  • 安田

財閥解体の目的

株式を民主化し(株主を増やし)、特定の一族によって産業界が支配されている状況を一掃する

財閥解体をする前の状況

一部の大金持ち(ある一族)が、日本のあらゆる産業(企業)を支配しているという状況だった。

全然民主的じゃない状況。独裁って感じ。

(←株式会社の仕組みにのっとっているとはいえ…)

戦後、日本を占領したGHQは

「日本政府によって支持され強化された財閥が戦前の軍国主義を支えた!」

→「だから財閥は解体して、小さな会社でもどんどん起こせるようにするべきだ!」

と考えた

(※本当に財閥が軍国主義を支えていたのかは不明)

財閥解体の内容と結果

まず財閥が持っている資産をロックする

三井・三菱・住友・安田など15財閥の資産の凍結

※資産凍結=資産の移動や処分を禁止したり制限したりすること

これにより、財閥の資産を一族がひそかに引き抜く…みたいなことができなくなる。

財閥本社をツブす

財閥本社を解散(廃業)させ、財閥家族とその関係者を会社役員から追放

※会社役員=会社の業務執行や監督を行う幹部職員のこと(いわゆる経営者・上位管理職)

企業集団の頂点に位置する会社(持株会社)がなくなった。傘下企業はバラバラに。

ただ、持株会社が所有していた傘下企業の株式が宙に浮いている状態。

財閥本社が持っていた株を一般に売り出す

持株会社整理委員会(1946年8月発足)が、指定された持株会社・財閥家族の所有する株式などの譲渡を受ける

→これを一般に売り出す

一気に個人が株式を所有する時代になった!(=民主化)

再び財閥が生まれないようにする

1947年に独占禁止法が成立し、持株会社やカルテル・トラストなどが禁止された(監視のために公正取引委員会が設置された)

カルテル(企業連合)=同一産業の複数の企業が、高い利潤を確保するために価格や生産量・販路などについて協定を結ぶこと。企業規模が拡大してくると、大企業同士が自由競争を避けて、自分たちだけが高い利潤を獲得しようとして結成する。

トラスト(企業合同)=同一産業・業種で企業が合併すること。企業規模が大きくなると、一般的には生産コストが低下して利潤が大きくなるため、企業は合併する。

あわせて巨大な企業も弱体化させる

1947年に過度経済力集中排除法が成立し、巨大独占企業の分割が指定された(経済力を過度に集中している企業325社を指定)

(例)日本発送電、日本製鐵、三菱重工業、王子製紙

財閥解体は不徹底に終わった

冷戦が激化し、アメリカは占領政策を転換

日本を経済復興させて資本主義国として成功させ、「共産主義の防壁」とする

この結果、過度経済力集中排除法で指定された企業のうち、実際に分割されたのは11社だけとなった

独占の抑制・自由競争の保障は不徹底に終わった

※不徹底に終わった、というのが農地改革との違い

動画でも確認

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日本史を解説したYouTube動画まとめ

参考文献

関連:高校日本史Bの参考書・問題集を東大卒元教員が紹介【大学受験にもおすすめ】

関連:日本の歴史の漫画を東大卒元教員が比較して紹介

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