国民主権と天皇の地位についてざっくり説明します!
国民主権とは
↓↓↓
人間はグループを作って生活をする
人間が生きるために必要なものはそんなに多くない。
- 水
- 食べ物
- 安全
↓
しかし、それら必要なものを手に入れるためには様々な活動が必要。
- きれいな水を見つける、水を運ぶ(→水の確保)
- 狩猟、採集、農業、林業、水産業など(→食べ物の確保)
- 衣服を作る、住居を作る(→安全の確保)
↓
これらの活動をすべて一人でやるのは大変。
人間は自分が持っていないものを手に入れたいという欲求がある。(→交換、略奪)
人間には種の保存という本能もある。
↓
人間は一人ではなくグループを作って生活をする。こうしてできたグループが「社会」。
↓
「グループの仕事」をするための人やお金が必要になる。
グループに所属する人々は「グループの仕事」のための費用を負担する。(→税金)
グループの軍事力が強化される。(グループ内の治安を維持するため & 他のグループから自らのグループを守るため)
↓
人間は全員が同じ考えを持っているわけではないので、社会の中で意見の食い違い(対立)が生じる。
↓
対立を調整する(=政治)ために全員で話し合うのは大変。対立の調整に時間がかかりすぎて「生きるために必要な活動」が疎かになったら、何のためにグループを作ったのかわからない。※2人(夫婦)でも揉めるんだから、人数が多いとなおさら・・・
↓
全員で話し合うのではなく、代表メンバーが話し合う。
「グループのための活動」を担う代表メンバーが登場する。
↓
代表メンバー(リーダー)はグループの軍事力を行使するかを決める権限を持つので、グループに所属する人々はリーダー(支配者)に逆らったり文句を言ったりしにくくなる=自由を失う(←ケンカしたら負けるので)
↓
代表メンバー(リーダー)が支配者的になり、その他の人々は非支配者的になる・・・
このような時に、
「グループの仕事」に関する最終的な決定権は誰にあるか?
によって、国民主権なのかそうじゃないのかが分かれます。
グループの仕事の決定権
代表メンバー(リーダー)はいるけど、グループの人々が代表メンバーを選ぶことも辞めさせることもできますよ!
っていう社会では、国民主権が実現している!!!と言えます。
国民主権
国家の政治権力は国民に由来し、従って政治のあり方を最終的に決定する権力は国民にあるという考え方。
上記の例では、
- 代表メンバー=国家の政治権力
- グループの人々=国民
ってことです。
ちなみに、もしAくんという人がグループを作らずに一人で宇宙の外で生活をしている・・・のだとしたら、Aくんは他のどのグループにも属さず自分のことをすべて自分で決めることができます。なので、この状態は「Aくん主権」が実現していると言えるわけです。
国民主権とは
「自分が所属しているグループ(国家)で何をするか?どんなグループ(国家)にするか?」について国民が自分の意見を反映させることができる!という状態
日本では、あらゆる組織に国民の意思を反映させられる仕組みが用意されています。
(例)
- 国会議員を選挙する
- 国民が選んだ国会議員が内閣総理大臣を選ぶ(内閣総理大臣を国民が直接選べるわけじゃないけど、国会議員が選ぶという形で間接的に国民の意思を反映させることができる→議院内閣制)
- 内閣総理大臣が内閣のメンバー(大臣)を決める(←大臣の過半数は国民が選んだ国会議員の中から選ぶ)
- 最高裁判所の裁判官を審査する(国民審査)
※参考:戦前の大日本帝国憲法のもとでは、国民(臣民)はここまでの権限を持ってはいなかった
官僚(国家公務員)への民主的コントロール
国家に必要な実務を担う官僚に対しては国民からの矢印が出ていません。
官僚(国家公務員)は「単に公務員試験に合格しただけの人」(=国民の支持にもとづいているとは言えない人)なので、もし官僚が国の運営についてすべて決めているのだとしたら、国民主権とは言えないですよね。
そこで、官僚に対して国民の意思を反映させるために(官僚を民主的なコントロール下に置くために)大臣が官僚(国家公務員)たちをまとめる存在として省庁のトップに君臨しているわけです。
※国民が選んだ国会議員が選んだ内閣総理大臣が選んだ大臣・・・ってことで一応、間接的に国民の意思を反映しているといえる
とは言っても、大臣が本当の意味で官僚(国家公務員)をコントロールできているのかは微妙です。具体的な政策を考えるのには専門的な知識が必要で、官僚の方が大臣よりもその道のプロであることが多いので(←大臣ってコロコロ変わるし)。
関連:政治主導 vs 官僚主導
まとめ
国民主権
国家の政治権力は国民に由来し、従って政治のあり方を最終的に決定する権力は国民にあるという考え方。
日本では、あらゆる組織に国民の意思を反映させられる仕組みが用意されている。
天皇主権とは
逆に、「グループのための活動」を担う代表メンバーの中に「この人がトップだよね」っていう人がいて(例えば天皇)、その天皇が「グループ(国家)で何をするか?どんなグループ(国家)にするか?」を決めていた場合・・・天皇に主権があるので天皇主権と言います。
天皇主権
国家意思の最終的・最高の決定権は天皇にあるとする大日本帝国憲法の基本原理。
大日本帝国憲法
第1条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス
しかし、敗戦後に大日本帝国憲法は日本国憲法へと改正され、日本は国民主権の国家になりました。
でも天皇は存在し続けています。天皇はどんな存在として位置づけられたのか?
天皇制
天皇の地位
- 日本国の象徴
- 日本国民統合の象徴
※象徴天皇制
日本国憲法
〔天皇の地位と主権在民〕
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
天皇の役割
- 実質的な政治的決定には一切関与しない
- 象徴としての儀礼的な国事行為を行う
日本国憲法
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
- 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
- 二 国会を召集すること。
- 三 衆議院を解散すること。
- 四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
- 五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
- 六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
- 七 栄典を授与すること。
- 八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
- 九 外国の大使及び公使を接受すること。
- 十 儀式を行ふこと。
なぜ昭和天皇は戦犯として処刑されなかったのか?
言葉を選ばずに言うと、マッカーサーらが昭和天皇を占領統治のために利用しようと考えたからです。
くわしくはこちら
「万世一系」の影響力
日本は「約2000年、国のトップの血筋が途絶えることなく続いてきた」というレアな歴史を持っています。こんなにも長く一つの血筋が続いているのは、世界中を見渡しても日本しかありません。
※今までの天皇はみんな「男系天皇」なので、どの天皇も家系図で父親の方をずっとたどっていくと、最終的に初代天皇と言われている神武天皇に行きつく。(→男系天皇について)
※例えば4000年の歴史を持つと言われる中国では、王(皇帝)の血筋は変わりまくっています。「隋が滅んで」とか「唐が滅んで」、、、とか勉強しましたよね。モンゴル人に征服されたりもしているわけですし。それに1911年の辛亥革命で王(皇帝)はいなくなって、現在の中国には王(皇帝)はいません。
※ヨーロッパの国でも王の血筋は変わりまくっています(←教科書で「○○朝」ってのがたくさん出てきたはず)
「約2000年、国のトップの血筋が途絶えることなく続いてきた」っていう日本の伝統は、ものすごく貴重なことで、その価値を世界中の国々が認めています。「約2000年、国のトップの血筋が途絶えることなく続いてきた」皇室が果たしてきた役割は計り知れません。
→くわしくは『知られざる皇室外交』という本を読むとわかります!(おすすめ)
公民の記事・動画一覧はこちら
【公民・政治経済サイト】中学公民・高校政治経済をわかりやすく解説
公民を解説したYouTube動画まとめ(準備中)
通信教育
学習漫画・参考書
社会科チャンネル
社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。