鉱産資源とは?わかりやすく解説:石からレアメタルまで
現代の文明社会は鉱産資源あってこそ。
人間が活用してきた鉱産資源について解説する。
人間は地中にある資源(鉱産資源)を活用して生きている
人間は「もっと便利に暮らしたい」「遠くへ早く移動したい」「寒さをしのぎたい」といった欲求をもとに、自然界にあるさまざまな資源を活用して、道具や技術を発明してきた。
その中でも特に重要なのが、地面の下に眠る鉱産資源。
人類の歴史を振り返ると、最も原始的な鉱産資源として石が使われてきた。硬い石を削って道具や武器にしたのが石器時代。

やがて人間は、金属も使うようになった。
最初は、自然にそのままの状態で見つかる「自然銅」を叩いて加工し、次に銅と錫を混ぜてより硬い「青銅」をつくる技術が生まれた(青銅器時代)。

そして、鉄鉱石から鉄を取り出す製鉄技術が発達し、さらに丈夫な鉄の道具を作る鉄器時代へと進んだ。

このように、人間は自分たちの暮らしを便利にするために、地下の鉱産資源を発見し、加工し、道具を作り出してきた。
そして現代では、石や鉄だけでなく、石炭や石油、さらにはレアメタルにいたるまで、社会を支える多くの分野で鉱産資源が利用されている。

- なぜ銅→鉄という順番?
-
銅は取り出しやすかった
- 銅は自然銅(そのままの金属状態で存在する銅)が地表近くにあった。
- 加熱しなくても、叩くだけである程度形を整えられた。
- 銅鉱石から銅を取り出す技術(製錬)も、低温(700~900℃)でできた。
鉄は加工が難しかった
- 鉄鉱石は地表にたくさんあったが、鉄を取り出すには非常に高い温度(約1200~1500℃*が必要だった。
- 製鉄に必要な高温炉(炭をたくさん燃やして高温を維持する技術)が発明されるまでは、鉄を道具にすることができなかった。
人間が活用している主な鉱産資源
最初に使われたのは「自然にあるものをそのまま使える資源(石・自然銅など)」。
その後、加熱・合金などの技術が発展するにつれて、「加工が難しい資源」や「より高性能な資源」が登場した。
石 → 青銅 → 鉄 → 石炭、石油 → ウラン、レアメタル
石
人間が最初に使った鉱産資源。加工が簡単だった。
鋭く割れる石(黒曜石など)は、ナイフやヤリの先に使われ、狩りや調理に役立った。

銅
自然銅は地表に見つかりやすく、加熱しなくても叩いて加工できたため、早くから使われていた。
電気の伝導に優れる銅は、電線・モーター・水道配管などの材料として現代社会に不可欠。
- 自然銅と銅鉱石
-
自然銅=銅の粒や塊が、酸化していない状態(Cuのまま)で地表近くにあるもの。叩いて形を整えるだけで使えるので、人類が最初に使った金属と考えられている。
銅鉱石=地中に埋まっている「銅を含む鉱石」のこと。高温で加熱して銅を取り出す=製錬が必要。
- 主な生産国:チリ、中国、ペルー、アメリカ
- 有名な鉱床地帯:アフリカの「カッパーベルト」(コンゴ〜ザンビア)
金・銀
自然界に単体で存在し、加工が簡単なため、古代から装飾品や通貨として重宝されてきた。
現代では、電子部品・医療機器・太陽光パネルなどにも使われてい流。
- 金の主な産出国:南アフリカ、ロシア、カナダ
- 銀の主な産出国:ペルー、メキシコ、中国、チリ、オーストラリア

鉛
柔らかく加工しやすいため、古代ローマでは水道管にも使用されていた(現在は有害性のため使用制限)。
現代では主に自動車用バッテリー(鉛蓄電池)に利用される。
錫(すず)
青銅の材料となるほか、現代では はんだ(電子機器の接続)や缶詰のメッキなどに使用さる。
青銅
銅に錫(すず)を混ぜて作る。青銅は銅よりも硬く、武器や道具、装飾品などに活用された。

鉄鉱石
非常に硬くて丈夫だが、取り出すには約1200〜1500℃という高温が必要。高温の炉が作れるようになったことで鉄器が普及し、農業・戦争・建築の発展を支えた。
現代でも建築・自動車・機械・鉄道など、あらゆるものに使われている。
ダイヤモンド
古代インドで最初に使われたとされる宝石。
非常に硬いため、現在ではガラス切り・工業用カッターなどにも使われている。

亜鉛
空気にふれても錆びにくく、鉄にメッキすることでサビ防止に使われている。
石炭
燃やすと強い熱が出るため、産業革命以降は蒸気機関の燃料として大量に使われた。
現代でも発電や鉄の製造などに使われており、特に新興国では重要なエネルギー源。

石油・天然ガス
19世紀以降、ガソリン・軽油・航空燃料として利用され、自動車や飛行機の動力源になった。また、プラスチック・化学肥料・洗剤・医薬品など、石油を原料とする製品は生活のあらゆる場面で使われている。

ボーキサイト(→アルミニウム)
軽量で耐食性に優れる。19世紀後半に電気分解技術が発展したことで大量生産されるようになった。製造には大量の電力が必要。
航空機・自動車・飲料缶・建築資材などに使われている。
- 主な産出国:オーストラリア、中国、ブラジル、ギニア、インド
- 備考:アルミは鉄の約1/3の重さ
ウラン鉱石
天然に存在する最も重い元素の一つで、核分裂により巨大な熱を発生させる。
現在は原子力発電の燃料として利用されている。
- 主な生産国:カナダ、カザフスタン、オーストラリア、ナミビア、ロシア、ニジェール
レアメタル
スマホ・パソコン・電気自動車の電池・太陽光発電など、現代のハイテク機器に不可欠な金属。
埋蔵量が少なく精製も難しいため、戦略資源として国際的な争奪戦が起きている。