レアメタルとは?わかりやすく
レアメタルとは何か?どんな種類があり、どこで採れ、どのように使われているのか?
ポイントをわかりやすく解説する。
レアメタルとは
スマホ・パソコン・電気自動車の電池・太陽光発電など、現代のハイテク機器に不可欠な金属。
埋蔵量が少なく精製も難しいため、戦略資源として国際的な争奪戦が起きている。

- 冷戦後の地質調査と紛争の関係
-
「冷戦後の地質調査が新たな紛争の火種を招いた」と言えなくはない。
1. 冷戦後、資源調査が一気に広がった
- 冷戦の終結により、政治的に閉鎖的だった国々(アフリカ・中央アジアなど)が経済開放・援助受け入れに転じた。
- そこに世界銀行や先進国の支援、鉱業企業が入って、地質調査や資源マップの整備が進んだ。
- 結果、これまで知られていなかったレアメタルの鉱床が、「ここにある」と世界に知られるようになった。
2. その情報が武装勢力や密輸組織にも伝わった
- 地質調査の成果は、国の経済開発のために「公開」されることが多い。
- しかし、法の支配や統治が弱い地域では、武装勢力や犯罪組織が先にその土地を支配し、「金のなる山」として独占してしまうケースも多い。
- 民間企業や政府より、武装組織のほうが迅速に現場を押さえることも。
3. 結果として、資源が紛争の資金源に
- 児童労働などにより採掘した鉱物の売上を武器購入に回したりして、「資源が争いを長引かせる」構図が生まれる。
- これは実際に「コンフリクト・ミネラル(紛争鉱物)」として国際問題化しており、特にコンゴ民主共和国で深刻。
- レアメタルとレアアース
-
レアメタル(Rare Metals)
- 地球上に存在量が少ない、または採掘・精錬が難しい希少金属の総称
- リチウム、コバルト、ニッケル、チタン、タンタル、タングステン、インジウム、ゲルマニウム、クロム、白金 など
レアアース(Rare Earths)
- レアメタルの一部に含まれる、特定の17種類の元素。
- 周期表の「ランタン系15元素」+スカンジウムとイットリウムの合計17種。
- ネオジム、プラセオジム、ランタン、セリウム、ジスプロシウム、イットリウム など
主なレアメタル
ニッケル
主にステンレス鋼の原料として使われる金属で、耐食性や耐熱性を高める役割を担う。
近年は、電気自動車(EV)に使われるリチウムイオン電池の正極材として重要性が増している。
主な生産国はインドネシア、フィリピン、ロシアなど。

チタン
軽くて強く、サビにくいという特性を持つ金属。
そのため、航空機の機体やジェットエンジン、人工関節などの医療用部品、海洋構造物など、過酷な環境に耐える用途で広く使われている。
主な生産国は中国、オーストラリア、南アフリカ共和国など。

コバルト
リチウムイオン電池の材料として不可欠な金属。とくにEVの急速な普及により、その需要が世界的に急増している。また、超合金(耐熱・耐摩耗)や磁石、顔料にも使われる。
主な生産国はコンゴ民主共和国。


タングステン
非常に硬く、融点が金属の中で最も高い(3422℃)という特性を持つ金属。このため、ドリルや旋盤などの切削工具、電球のフィラメント、軍用の弾芯や防弾装備などに使われる。
主な生産国は中国。

リチウム
リチウムイオン電池の核心材料であり、EV、スマホ、蓄電池、再生可能エネルギーの貯蔵システムなど、現代のエネルギー社会を支える金属として注目されている。
主な生産国はオーストラリア、チリ、アルゼンチン、中国。
