工業化を成功させるには何が必要?国が豊かになるために必要な条件とは
発展途上国が経済発展を目指す上で、「工業化」は重要な選択肢のひとつである。
では、その工業化を実現するには、一体どんな要素が必要なのか?
工業化に必要なものは、「ものづくりの流れ」を考えることで見えてくる。
ものづくりの基本的な流れ

① 作るモノを決める
人々の生活にとって価値のあるモノは何かを考え、作るものを決める。
② 必要なものを準備する
- 自然からとれる原材料(例:鉄鉱石、石油、木材など)
- 作業に必要なエネルギー(人の労働力、電力、機械など)
- 知識・経験・技術(どうやって作るか)
- 資金(工場や機械を用意するためのお金)
③ 実際にモノを作る
工場などで加工・製造を行う。
④ 作ったモノを届ける
必要としている人々のもとに商品を届ける。
工業化に必要なものとは?
この流れを踏まえると、工業化には以下のような要素が必要になることがわかる。
- 作るモノを決める頭脳(司令塔としての役割を担える人材)
- 原材料が手に入ること(自国にある or 輸入ルートを確保できる)
- エネルギーが確保できること(安定した電力供給や燃料)
- 知識・経験・技術(自国で蓄積する or 外国から導入する)
- 資金(国内から調達する or 海外から投資を受ける)
- 工場そのものの存在
- 流通網(道路・港・通信などのインフラ)
- 消費者の存在
これらがそろわなければ、工業化はうまくいかない。
外国企業との協力がカギになることも
ただし、これらの条件をすべて自国だけでそろえるのは、発展途上国にとっては簡単ではない。特に、資金や技術の確保は大きなハードルである。
そこで登場するのが、外国企業の力を借りるという選択肢。
工業団地を整備して、その工業団地に外国企業の工場を誘致する。それによって、雇用や技術の移転を進める。この「外資を導入する」という戦略は、実際に多くの国で行われている。

ただし、企業が進出するには条件がある。
もし進出先で、財産を奪われたり、政情が不安定で工場が止まったりすれば、企業にとっては大きな損失になる。だからこそ、法制度の整備・政治の安定・地域の安全といった「安心してビジネスができる環境」も非常に重要になる。
サービス業の発展が重要
以上を踏まえると、モノづくりのためには、それを支えるサービスの力が非常に重要であることがわかる。
たとえば、金融(資金調達)、物流(輸送)、通信(情報伝達)、教育(人材育成)などは、すべて工業を下支えするサービスである。
つまり、工業化はそれ単体では成立せず、周辺のサービス産業の発展と両輪で進んでいくものと言える。

まとめ
工業化を実現するには、資源・人材・技術・資金・インフラ・制度など、さまざまな要素がバランスよく整う必要がある。
では実際に、工業化を成功させた国や地域は、これらの条件をどのように整えてきたのか?
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