社会保険ってわかりづらいですよね。
社会保険の内容は、理解しづらい「つまずきポイント」だということ。
社会保険と社会保障って何が違うの?とか、そういう疑問を抱きがち。
そこで本記事では、社会保険について説明をします!
この記事の執筆者
僕(もちお)は元社会科教員
ざっくりと学校の勉強の経歴(?)を書くと、こんな感じ。
- 小学生の時は偏差値40台だったけど、「学年で10位以内に入ったら携帯電話を買ってあげる」という親の言葉で火がつき、猛勉強。その結果、
- 中学生では、塾に行かずに学年1位
- 高校では、学年で1ケタの順位をキープ
- 東大文科三類不合格
- 浪人
- 東大模試で文科三類1位
- 東大に合格
社会保険とは
国の社会保障制度の4つの柱のうちの1つ!
社会保険とは、国の社会保障制度の4つの柱のうちの1つです。
社会保障制度
= 国民の生活が「健康で文化的な最低限度の生活」以下の状態にならないようにするための仕組み(セーフティネット)
社会保障制度の4つの柱
- 社会保険(しゃかい ほけん)
- 公的扶助(こうてき ふじょ)
- 公衆衛生(こうしゅう えいせい)
- 社会福祉(しゃかい ふくし)
リスクに対してみんなで備える、国が義務づける仕組み
社会保険とは、世の中に存在するリスクに対してみんなで備える、国が義務づける仕組みのことです。
大きく5つの種類に分かれます。
社会保険
- 医療保険
- 年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
そもそも保険とは
保険とは、世の中に存在するリスクに対してみんなで備える仕組みのことです。
世の中には、いろいろなリスクがあります。
例えば、明日いきなり病気になるかもしれませんし、交通事故にあって大ケガをしてしまうかもしれません。
このようなリスクは「起こる確率の低いリスク」ではありますが、もし起こってしまったとしたら、入院費や医療費がものすごくかかってしまいます。
多額の入院費や医療費によって、生活が苦しくなってしまう可能性がある。
病気や交通事故はひとつの例ですが、他にも世の中には
- 失業
- 親の死
などの様々なリスクが存在します。
では、このような全ての「起こる確率の低いリスク」に対して備えておくことはできるのか?
…というと、むずかしいのが現実です。
交通事故に遭う確率は低いけど、いつ交通事故に遭うか分からない。
→だから、事故にそなえて多額のお金を「常に」準備しておく
ってのはなかなかできないですよね。
そこで「保険」の登場です。
保険の仕組み
- 世の中のリスクに対して、みんなが少しずつ負担する(保険料というお金を支払う)
- 「起こる確率の低いリスク」に実際にあたってしまった人に対して、みんなで貯めたお金をあげてその人の負担を軽くする
これが保険の仕組み。
こうすることで、少ない労力(費用)でリスクに対して備えることができて、安心して生活することができるようになります。
保険は公的保険と民間保険に分かれる
で、保険は
- 国が義務づける社会保険(公的保険)
- 民間企業が運営する民間保険
の2種類に分けることができます。
※CMでやってる「がん保険」や「終身保険」は民間保険
この記事で説明をしている社会保険は公的保険の方です!
社会保険と公的扶助の違い
よく「社会保険と公的扶助のちがいは何?」という疑問を抱く人がいるの、あわせて説明をします!
社会保険と公的扶助の共通点
社会保険も公的扶助も、どちらも社会保障制度の柱のうちの一つで貧困をなくすことを目的としている。
社会保険と公的扶助の違い
- 社会保険:貧困にならないように備える予防的な制度(防貧制度)
- 公的扶助:現に貧困になっている人を救済する事後的な制度(救貧制度)
社会保険の定義
生活上の困窮や不安をもたらす疾病・老齢・障害・失業などに対して、一定の給付を行なう強制加入方式の公的保険制度のこと。
引用:政治・経済用語集
社会保険は5種類に分けられる
社会保険は5つに分けられます。
医療保険 | 病気・ケガ・出産・死亡の際にお金を受け取れる |
---|---|
年金保険 | 老後の生活・死亡・障害の際にお金を受け取れる |
介護保険 | 介護を必要とする人がお金を受け取れる |
雇用保険 | 失業した際にお金を受け取れる |
労災保険 | 就業中や通勤中の事故によるケガ・障害・死亡の際にお金を受け取れる |
医療保険(健康保険)
医療保険
病気・ケガ・出産・死亡などの際にお金を受け取れる仕組み
医療保険は国民皆保険制度のもとで日本国民全員が加入していて、大きく3つに分類されます。
健康保険 | 一般的な民間会社の従業員が加入 |
---|---|
国民健康保険 | 自営業の人、農家の人、フリーターの人が加入 |
共済組合 | 公務員や私立学校教職員が加入 |
病院で保険証を見せると、医療費の自己負担割合が3割になります。(あとの7割は、みんなから集めたお金や税金でまかなわれます)
修学旅行への保険証コピーの持参
修学旅行に行く時に保険証のコピーを持ってこいって学校の教員が言うのは、修学旅行の最中にケガしてしまった場合に、保険証のコピーを見せると医療費の自己負担割合が3割になるから。
保護者(親)が健康保険か共済組合に入っている場合
→子供の分の保険料を支払う必要はない。
子供は「扶養家族」として、保険料を支払うことなく保護者(親)が加入している保険に加入することができる。
※自営業・農家・フリーターの人が加入する国民健康保険には「扶養」という概念がない。そのため、子供でも保険料が発生する
※被保険者 = リスクが現実になった時にお金をもらったりできる人のこと(お金を出す組織を保険者と言う)
※扶養者 = 収入があって一家の生活を支えている人のこと
※給付 = リスクが現実になった時にお金などを与えること
65歳からは高齢者医療制度に変わる
ちなみに、医療保険は65歳からは「高齢者医療制度」と呼ばれるものに変わります。
- 65歳~74歳 前期高齢者医療制度
- 75歳~ 後期高齢者医療制度
くわしく説明すると長くなるので、別記事でまとめます!
年金保険
年金保険
老後の生活・死亡・障害の際にお金を受け取れる仕組み
年金保険は国民皆年金のもとで20歳以上60歳未満の日本国民全員が加入していて、2階建て構造になっています。
厚生年金 | 2階部分(会社員・公務員・私立学校教職員が加入する) |
---|---|
国民年金 | 1階部分(20歳以上60歳未満の日本国民全員が加入する) |
国民年金のみに加入している人(自営業・農家・フリーターの人など)は、保険料を毎月自分で納めます。(なので未納率が高い)
厚生年金に加入している人(会社員・公務員・私立学校教職員など)は、保険料を会社などと折半で負担し、保険料は毎月の給料から天引きされます。(なので未納率が低い)
※保険料(社会保険料) = 社会保険給付の費用のために、加入者から集めるお金のこと。
※平成27年(2015年)10月1日から、公務員・私立学校教職員が加入していた「共済年金」は一般的な民間会社の従業員が加入していた「厚生年金」に一本化されました。(共済年金と厚生年金で不公平があったため)
介護保険
介護保険
介護を必要とする人がお金を受け取れる仕組み
2000年から始まった制度です。40歳以上になると加入義務が発生。
保険料を払うと、介護が必要になった時に在宅サービス・施設サービスを1割負担で受けられます。
雇用保険
雇用保険
失業した際にお金を受け取れる仕組み
会社員を対象とした保険です。
従業員を1人でも雇っている場合、その会社は雇用保険に加入しなければいけません。
公務員は法律で雇用保険の対象外となっているので、公務員は雇用保険料を支払っていません。
労災保険
労災保険
就業中や通勤中の事故によるケガ・障害・死亡の際にお金を受け取れる仕組み
会社員を対象とした保険です。
従業員を1人でも雇っている場合、その会社は労災保険に加入しなければいけません。
公務員は法律で労災保険の対象外となっています。
労働者災害補償保険(労災保険)
労働災害の補償のための保険制度のこと。使用者が保険料を全額負担する。療養補償・休業補償・障害保障・遺族補償などが給付される。これは正規雇用者のみでなく、非正規雇用者にも適用される。
引用:政治・経済用語集
※労働災害 = 仕事が原因で起きる、病気やケガ・死亡のことです。通勤途中の事故も労働災害にふくまれます。
※補償 = 損失をおぎなうこと。この場合は、労働災害によって生じる財産や健康上の損失をお金でおぎなうことを意味します。
まとめ
社会保険とは、世の中に存在するリスクに対してみんなで備える、国が義務づける仕組みのこと。
大きく5つの種類に分かれる。
社会保険
- 医療保険
- 年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
参考文献
公民の記事・動画一覧はこちら
【公民・政治経済サイト】中学公民・高校政治経済をわかりやすく解説
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