授業づくり

地理・歴史・公民とは?

モチオカ(望岡 慶)

社会科は人間の活動と、それによって生まれるさまざまな出来事について学ぶ科目。

その内容をイメージしやすくするために、まずは人間の活動について少し考えてみたい。

人間の活動

エジプト カイロにて。(2025.3撮影)

一人一人の人間は生きようとしている。

そして、生きていくためにはいくつかのものが必要になる。

とはいえ、生きるだけであれば人間にとって必要なものはそんなに多くはない。

  • 食べ物
  • 安全

ただし、これらを手に入れるにはいろんな活動が必要になる。

  • きれいな水を見つけて運ぶ(=水の確保)
  • 狩り・採集・農業・林業・漁業など(=食べ物の確保)
  • 衣服を作る、住む場所をつくる(=安全の確保)

これらをすべて一人でやるのは、不可能ではないけれどかなり大変。

たとえば、今この瞬間に無人島にたった一人でワープしたら・・・と想像すればイメージできるはず。

人間は一人では生きられない

ドバイにあるブルジュ・ハリファ。(2025.2撮影)

さらに人間には「幸せになりたい」「もっと豊かな生活がしたい」という欲求もある。

生存に必要な最低限のものだけでなく、「自分が持っていないもの」も手に入れたいと思う。

でも、それを全部一人で手に入れるのはやっぱり難しい。それに、人間には「種を残す」という本能もある。子供をつくるには相手が必要。

だから人間は一人ではなくグループを作って生活をする。

そもそも人間が生まれてくる時にはすでに父と母がいるわけなので、最初からグループを作っているとも言える。

いずれにせよ、こうして人間は「社会」という人の集まりを作る。

この社会でどんな活動が行われるのか?について学び、より良い社会を考えるのが社会科。

公民は「人間が生きていくうえで必要な仕組み」を学ぶ科目

では、人間がグループで生きていくためにはどんな仕組みが必要になるだろう?

例えば、次のようなものが必要になりそう。

  • 他の人とのコミュニケーション手段(言語、文字、絵画、記号)
  • みんなで守るルール(法律)
  • ルールを守らせる仕組み(刑罰や警察)
  • トラブルを解決する方法(裁判)
  • 合意形成のための仕組み(政治)
  • 弱い人を守る仕組み(福祉)
  • 他の集団から身を守る仕組み(軍事)
  • モノの交換ための決まり(お金など)
  • 運んだり移動したりしやすくする仕組み(交通)

こうした「社会の仕組み」について学ぶのが公民という分野。

地理は「フィールドと人間の活動の関係」を学ぶ科目

人間の活動は、それが行われる「場所」と深く関係している。

たとえば、山に囲まれた地域と川や海に近い地域では、人々の暮らし方は大きく変わるはず。

地理の分野では、そうした「フィールド」と「人間の活動」の関係を学んでいく。

歴史は「今の社会はどう作られてきたのか」を学ぶ科目

いまの社会の姿は、突然できたものではない。現在も未来も、過去の人間の営みの延長にある。

「今の社会はどうしてこうなったのか?」

「人間はどんなふうに社会をつくり、生きてきたのか?」

こうしたことを学ぶのが、歴史の分野。

生徒に「歴史を学ぶ意味って何なの?」と聞かれたら

社会科の対象は「人間たち」

ここまでをまとめると、社会科の対象は「人間たちの活動」と言える。

人間が集まって暮らすことにより生じる社会の問題を解決して、幸せを増やすこと。これが社会科の目標。

なぜ社会科を学ぶのか?目的・意義とは

ちなみに、理科は自然が対象の科目。

大学では、社会科のような分野は社会科学(social science)、理科は自然科学(natural science)と呼ばれる。

さらに、文学や哲学など「人間の内面」に踏み込む学問は人文科学(humanities)と分類される。

人間は何を欲するのか? 〜社会科の学びの出発点〜

記事URLをコピーしました