人間は何を欲するのか? 〜社会科の学びの出発点〜
社会科は人間の活動と、それによって生まれるさまざまな出来事について学ぶ科目。
ではその「人間の活動」は、そもそも何をきっかけに始まるのだろう?
それを考えるために、今度は「人間とはどういう存在か?」をもう少し深く見ていきたい。
人間の欲求

人間は何を欲して生きているのだろうか?
この問いに答えるための有名な考え方として、アメリカの心理学者・マズローによる「欲求5段階説」がある。
マズローは「人間には5つの欲求が段階的に存在していて、ひとつ下の欲求が満たされると次の段階へ進もうとする」と考えた。
第1段階:生理的欲求(生きたいという本能的な欲求)
↓
第2段階:安全欲求(安心して健康に暮らしたいという欲求)
↓
第3段階:社会的欲求(誰かと関わりたい、集団に属したいという欲求)
↓
第4段階:承認欲求(他人から認められたいという欲求)
↓
第5段階:自己実現欲求(自分らしく生きたい、自分の能力を発揮したいという欲求)
この理論は、僕たちが「なぜ活動するのか?」を理解する上でとても参考になる。

が、ここでは僕なりの視点で人間の欲求についてまとめてみたいと思う!
人間は、ざっくり分けると3つの欲求を持っていると思う。
- 生きたい
- 快感を得たい
- 楽をしたい
そしてこの欲求が、さらに細かく分かれていく。
①生きたい

- 食べたい!飲みたい!(食への欲求)
- ケガをしたくない!(安全への欲求)
- 元気でいたい!(健康への欲求)
②快感を得たい

- 怖い思いをしたくない!(安心への欲求)
- 何かに所属したい!(帰属への欲求)
- 体を動かしたい!(運動への欲求)
- 美しいものに触れたい、自分も美しくありたい!(美への欲求)
- 知らないことを知りたい!(学習への欲求)
- 誰かとつながりたい!(交流への欲求)
- 勝ちたい!(優越への欲求)
- 夢を叶えたい!(自己実現への欲求)
- 日常から離れたい!(非日常への欲求)
③楽をしたい

- 疲れたくない、考えたくない!(効率化・省力化・自動化への欲求)
人間は欲求を満たすために工夫してきた
このように、人間の欲求は多岐にわたる。
(キレイに分類できている自信はありませんし、漏れがあったり重複があったりすると思いますが、美しく分類することが主目的ではないのでざっくりでいきます!)

ちなみに、人間の欲求の具体的なかたちは、グループ(社会)ごとに少しずつ異なる。
たとえば…
- 寒い地域では、保温性が高い服に価値を感じる。
- 暑い地域では、通気性の良い服の方が好まれる。
このように、自然環境(地形・気候など)や社会環境(文化・伝統・宗教など)が違うと、「何に価値を感じるか」や「どの欲求が強くなるか」も変わってくる。
地球上のさまざまな場所で暮らす人々は、そうした多様な欲求を満たすために、自分たちの暮らす場所に合わせてさまざまな工夫をしてきた。
そして時には、「より望ましい場所(=欲求を満たしやすいフィールド)」を求めて移動したり、ときに他のグループと争って奪い合ったりもしてきた。
こうした人間の活動の記録が、地理・歴史・公民の教科書に描かれている。