女系天皇は何が問題なの?わかりやすく解説【女系天皇と女性天皇の違い】
- 女系天皇と女性天皇の違い
- なぜ女系天皇を認めるかどうかが議論になっているのか?
について説明します!
天皇は4タイプに分かれる
まず先に全体像の話をすると、
天皇は男系か女系か、そして男性か女性か、の2×2の4タイプに分けることができます。
男性天皇・女性天皇とは?
「男性・女性」というのはそのままの意味で、「その人が男性か女性か」を意味しています。
つまり
- 男性天皇=男の天皇
- 女性天皇=女の天皇(女帝)
です。
日本の歴史上、男性天皇はもちろんですが(←現代がまさにそうなので)、女性天皇も存在していたことがあります。
女性天皇の例
- 推古天皇(33代):飛鳥時代
- 皇極天皇(35代):飛鳥時代
- 斉明天皇(37代):飛鳥時代
- 持統天皇(41代):飛鳥時代
- 元明天皇(43代):飛鳥時代・奈良時代
- 元正天皇(44代):奈良時代
- 孝謙天皇(46代):奈良時代
- 称徳天皇(48代):奈良時代
- 明正天皇(109代):江戸時代
- 後桜町天皇(117代):江戸時代
※皇極天皇と斉明天皇は同一人物
※孝謙天皇と称徳天皇は同一人物
※ちなみに女性天皇は、この後説明する「男系の男性天皇」が成立するまでの「中継ぎ」的ポジションでした。
現在は女性天皇は認められていません。
皇室のことについて定めた皇室典範でそのように定められているからです。
皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
男系天皇・女系天皇とは?
んで、ややこしいのが「男系・女系」の方です。
これは、「代々続いてきて、受け継ぐことになった天皇の血筋が、父親由来なのか母親由来なのか」を意味しています。
つまり
- 男系天皇=父親が天皇の血筋を持つ天皇(←母親は民間人)
- 女系天皇=母親が天皇の血筋を持つ天皇(←父親は民間人)
です。
日本の歴史上、女系天皇は存在したことがありませんし、現在でも認められていません。
皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
つまり、今までの天皇はみんな「男系天皇」なので、
どの天皇も「家系図で父親の方をずっとたどっていくと、最終的に初代天皇と言われている神武天皇に行きつく」ということになります。
サザエさん一家で説明
ここまでの説明だとまだイメージがつきにくいと思うので、家系図を使って説明します!
ですが、現在の皇族の方々の家系図を使って「○○さまが天皇になったら、男系の男性天皇」「□□さまが天皇になったら、男系の女性天皇」みたいに説明するのは失礼な気がするので、
サザエさん一家に登場してもらいます。
波平のお父さんが天皇だったとします。
波平のお父さんがとある女性と結婚して、海平・波平・なぎえが生まれました。
海平・波平が天皇になった場合は、「父親が天皇の血筋を持つ」「男性の天皇」なので、男系の男性天皇ということになります。
一方、なぎえが天皇になった場合は、「父親が天皇の血筋を持つ」「女性の天皇」なので、男系の女性天皇ということになります。
もし、なぎえが天皇になって、とある男性と結婚し、その2人から生まれた子供であるノリスケが天皇になった場合は、
「母親が天皇の血筋を持つ」「男性の天皇」なので、女系の男性天皇ということになります。
ここでは、波平が天皇になったとします。で、波平はフネと結婚して、サザエ・カツオ・ワカメが生まれました。
サザエ・カツオ・ワカメが天皇になった場合、何系の何性天皇でしょうか?
サザエは男系の女性天皇、カツオは男系の男性天皇、ワカメは男系の女性天皇となります。
なぜ女系天皇を認めるかどうかが議論になっているのか?
2021年現在、過去に存在したことのない女系天皇を認めるかどうかが議論になっています。
なぜかというと、2021年現在、
皇位継承者が少なくてこのままだと天皇の血筋が断絶するかも!っていう不安があるからです。
現在の皇室典範では、男系の男性天皇しか認められていません。
皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
サザエさんの家系図で言うと、ノリスケは女系の天皇になってしまうので、天皇にはなれないわけです。
※っていうか、なぎえは民間人の男性と結婚した時点で、皇族の身分を離れることになっています。
皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。
関連:日本の皇室に関する基礎知識【宮家、親王・内親王とは?結婚後は?】
ちょっと話が脱線しますが、、、皇族になれないノリスケが権力を獲得しようと思ったら、自分の娘を天皇の后にして、天皇と娘の間に生まれた子供を天皇にして、「母方のおじいちゃん」になるという方法があります。
これが、平安時代に藤原氏が摂関政治のところでやったやつ(外戚政策)です。
※自分の「息子」じゃなくて「娘」を天皇家に入れているのは、天皇は男系天皇じゃなきゃいけないからです。
※でも、イクラちゃんは実は男の子なので、この手は使えません…!
話が脱線してしまいましたが、とにかく、この家系図の中だと波平の次に天皇になれるのはカツオしかいないんです。
サザエさんとマスオさんの間に生まれたタラちゃんじゃダメです。タラちゃんは女系の男性天皇になってしまうからです。
※っていうかサザエさんがマスオさんと結婚した時点で、サザエさんは皇族の身分を離れています。
つまり、カツオしかいない!
まだカツオがいる分、「波平の次の天皇」に不安はないから良いんですけど、
でも!
カツオが天皇になって、誰か(←たぶん花沢さん)と結婚して子供が生まれた時、もし女の子しか生まれなかったどうするの?
っていう問題があります。
こうなったらマズイですよね。それでもカツオと花沢さんが頑張って(←意味深)、男の子が生まれるまで頑張れたらOKですけど、花沢さんだって人間なんだから限界があります。
こんな感じで、皇位継承者が少ないと超大問題なんです。そして実際、現在の皇室では同じような問題が起きています。
1965年の秋篠宮文仁親王の誕生から2006年の悠仁親王の誕生まで、41年間も男系男子が生まれなかったんです。
悠仁親王の誕生によってなんとか持ちこたえそうな感じはありますが、悠仁親王の次の世代で男系男子が生まれるかは当然わかりません。
女系天皇の何が問題なのか?
ここまで読んだ方の中には、
「いやいや別に女系天皇でもいいじゃん。皇室典範第1条を書き換えればいいだけでしょ…?」
って思った方もいると思います。
が、
女系天皇を認めた瞬間、日本で約2000年続いてきた(と言われている)伝統が崩れてしまいます。
「別に伝統なんていいじゃん!」って思うかもしれませんが、「約2000年、国のトップの血筋が途絶えることなく続いてきた」っていうのはむちゃくちゃスゴイことなんです。
こんなにも長く一つの血筋が続いているのは、世界中を見渡しても日本しかありません。
※例えば4000年の歴史を持つと言われる中国だって、王(皇帝)の血筋は変わりまくっています。「隋が滅んで」とか「唐が滅んで」、、、とか勉強しましたよね。モンゴル人に征服されたりもしているわけですし。それに1911年の辛亥革命で王(皇帝)はいなくなって、現在の中国には王(皇帝)はいません。
※ヨーロッパの国でも、「○○朝」ってやつが変わりまくっています。
「約2000年、国のトップの血筋が途絶えることなく続いてきた」っていう日本の伝統は、ものすごく貴重なことなんです。
もちろん、いろいろ疑惑があることは確かです。天皇の血筋が途絶えることなく続いたって…本当なの?っていう。
でも、もう世界的に「そういうこと」になっているわけです。世界中の国々が「そういうこと」だと認めている。である以上、厳密に正しいのかどうか?を問うことにあまり意味はないし、価値もないと思います。
実際、「約2000年、国のトップの血筋が途絶えることなく続いてきた」皇室が果たしてきた役割は計り知れません。
→くわしくは『知られざる皇室外交』という本を読むとわかります!
安定的な皇位継承のあり方が検討されている
女系天皇を認めたら日本の伝統が崩れてしまうけど、
かといって男系男子だけに限定していたら天皇の血筋が断絶するかもしれない、、、
ということで、現在、安定的な皇位継承のあり方をめぐって議論がなされています。
※報道やtwitterを見てみると、どうも「秋篠宮はけしからん!」「悠仁さまは嫌!愛子さまが好き!」っていう感情論が入り混じった議論になっているような感じがします。うーん。。。