時差の計算って頭がこんがらがりますよね。「東経と西経ってどっちが早いんだっけ?」とか。
そこで本記事では、時差の基礎知識・求め方(公式みたいなもの)について説明をします!
- 時差の前提知識
- 時差の求め方
- 日付変更線をまたぐ時差の求め方
- 飛行機が出てくる時差の求め方
時差の求め方の前提となる知識
時差の計算方法(公式)を暗記・丸覚えしなくて済むように、本質的な部分を説明します!
※計算方法だけ知りたい」っていう人はこちらをクリックしてください。
そもそも時差とは?
まず、なんで国ごとに時刻が決まっていて「時差」というものがあるのか?についてです。
「時刻」の簡単な歴史から説明します!
もともと人類は、太陽の位置で時の流れを判断していました。
もちろん時計なんてものはなかった。
だから「2時」「3時」「4時」って細かく区切って時間をとらえていたわけではなく、「朝」「昼」「夜」っていう大雑把なとらえ方だったはず。
時計を見ないで1日過ごすイメージをしてみるとわかりやすいかも
やがて、人類は時計を発明します。
ただ、時計が発明されたとはいっても、
この時計が表す時刻(●時●分)は「その地域でしか使えない時刻」でした。
「町Aに住む人が使っている時刻」と「町Bに住む人が使っている時刻」が違ったってこと
世界で統一の時計(時刻)というものは最初はなかったんです。
まあ昔はそれでも大丈夫でした(町Aに住む人は町Aから出ないから)
でも、鉄道の発明などで人間の動く範囲が広がってくると、時刻がグチャグチャになって困ることになりました。
そこで、世界で時刻を合わせよう!っていう動きが生まれた。
で、「じゃあ、どこかの時刻を基準にしよう!」ってなった。
それがロンドン
世界の基準となる時刻を、経度0度のロンドン(イギリス)の時刻としました。(→ここの経線を本初子午線にした)
で、ロンドンの時刻を基準にして、各国は「ロンドンの時間から数時間進んだ(遅れた)」時刻をその国の時刻(=標準時)としたんです。
この時間のズレを時差と言います。
じゃあ、ロンドンから見てどれくらい時間をズラすのか?
「経度15度で1時間の時差」の理由
結論を先に言うと、「経度が15度ズレるごとに、時差が1時間生まれる」ってことにしました。
これを丸暗記している人が多いんですけど、丸暗記することじゃないです
地球は1周360度です。1日は24時間。
ってことは、地球は1時間で
360度 ÷ 24時間 = 15度
回転するということがわかります。
となると、例えば以下のようなことが言えます。
- ロンドンから経度が15度ズレている場所は、ロンドンと1時間の時差がある
- ロンドンから経度が90度ズレている場所は、ロンドンと90 ÷ 15 = 6時間の時差がある
このように計算すればわかることなので、「経度15度で1時間の時差」は丸暗記する内容じゃないです。
「東の方が時刻が進んでいる」理由
時差の計算の時に「東経と西経ってどっちが時間が早いんだっけ?」って混乱しがち。
で、「東の方が時刻が進んでいる」って丸暗記する人が多いけど、、、これも丸暗記することではないです。
地球の自転についてわかっていれば、「東の方が時刻が進んでいる」理由が理解できます!
イメージしやすいように、図を使って説明します。
地球は反時計回りに自転しています。
で、今この地球を眺めている「あなた=太陽」とします。(ブログを見ている読者の視点が、太陽。)
次に、片方の目だけ、まつ毛を付けます。(!?)
ためしにこの地球を自転させてみると、こんな感じになりますよね。
で、あなたは太陽です!あなたと地球が目が合っている時は、地球からも太陽が見えているってことになります。
地球の目からすると(地球の目のところにいる人からすると)、地球がクルクルと自転すると太陽が昇っているように見えます。これが日の出。
じゃあ、どっちの目の方が先に日の出をむかえるのか?
もう一回、回転させてみるとわかります!
先に日の出をむかえるのは、まつ毛の目です。
- まつ毛の目の方が先に日の出をむかえる
- 遅れて普通の目が日の出をむかえる
つまり、まつ毛の目の方が「時刻が進んでいる」ってことになります。
で、まつ毛の目は東西南北で言ったら東の方です。
こんな感じで、地球の自転についてわかっていれば「東の方が時刻が進んでいる」理由が理解できます!
ポイントは、地球は反時計回りに自転しているということ。
※ただ、「あれ?地球って時計回り?反時計回り?」ってところで悩むと終わりなので、最悪、丸暗記でも良いです。
※聖徳太子を思い出すのがおすすめ。歴史の勉強をしていると出てくる、中国がブチギレたってやつ(「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。」)。この事件から、中国よりも日本の方が東にあって、その日本が「日出ずる」だから、東の方が先に日がのぼる・・・ってことがわかります。
とにかく、日本は地球の中でも時刻が進んでいる方の国なんです!
日付変更線とは?
最後に、日付変更線って何なのか?についてです。
東経と西経でどっちが時間が進んでいるのか?について話をしましたが、
ロンドンを基準にしているんだから、「ロンドンが一番時刻が進んでいて、ロンドンから1日がスタートする」っていうのでも良さそうな気がします。
つまり、ロンドンを通る経線(本初子午線)を日付変更線と一致させてもいいんじゃないの?ってこと
でも、これじゃすごく不便。
「経度15度につき1時間の時差が生まれる」っていうのを24回くり返すと、1周ぐるっと回ったところで24時間の時差が生まれる(丸1日ズレる)っていうことになるので、
「丸1日ズレる境界線」を地球上のどこかに引かなきゃいけないわけですが、、、
この境界線がロンドンにあると不便ですよね。
ロンドンは陸地なので、ロンドンに日付変更線を引くと簡単にこの境界線をまたげちゃう。簡単に行ったり来たりできてしまうことになる。
そうすると、数歩動くだけで「1日進む」「1日戻る」ってタイムワープすることができてしまいます。
なんか楽しい気がするけど、さすがに不便。
で、ロンドンの反対側(180度向こう側)を見てみたら、、、ちょうど太平洋(海)だったんですよ!
「これは便利だ!」となった。
ということで、ロンドンの真反対の海に「1日ずれる境界線」が作られました。これが日付変更線です。
ちなみに豆知識を言うと、
経度180度付近の国は「1日遅れる」か「1日早い」か、どっちを選んでも良いことになっています。
日付変更線を自分の国の東側にズラすか?西側にズラすか?を、その国が決められるっていうことです!
どっちを選んでも良いことになっているので、日付変更線はこんな感じで曲がっている。
「1日早い」のを選んだ国もあれば、「1日遅い」のを選んだ国もあるってことです。
時差の求め方
ここまで理解すれば、時差を求めるのはとっても簡単!
時差(時刻)を求める時には、3つのステップを踏むのがコツです。
- 経度差を出す
- 時差を出す
- 求めたい場所の時刻を出す
時差の問題は3パターンに分かれるので、パターン別に解説します
(1)【難易度★】簡単なやつ
エジプトは、東経30度の時刻を標準時としている。エジプトが午前8時の時、日本は何時か?
①経度差を出す
エジプト:東経30度
日本:東経135度
(日本では、兵庫県明石市を通る東経135度の時刻を標準時としている)
経度差は135-30=105
②時差を出す
経度差を15で割れば、時差が出ます。
105÷15=7
よって、エジプトと日本の時差は7時間です。
③求めたい場所の時刻を出す
エジプトよりも日本の方が、より東側にあって、時刻が進んでいるので、
8+7=15
日本は15時。
答えは、午後3時です。
(2)【難易度★★】日付変更線をまたぐやつ
現在、日本時間で6時17日午前9時である。ロサンゼルス(標準時子午線=西経120度)は現在、何月何日の何時か?
この地図を見ると日本とロサンゼルスの経度差は105度だから…時差は7時間!
で、西経の方が遅いから、7時間巻き戻して…ロサンゼルスは6月17日午前2時!
っていうのが、典型的なミスです。
時差の計算をする時には、日付変更線をまたいで経度差を求めないように!(頭がこんがらがるので)
①経度差を出す
日本:東経135度
ロサンゼルス:西経120度
このように図を描いてみるのがおすすめ。
日付変更線をまたがない経度差は
135+120=255
②時差を出す
経度差を15で割れば、時差が出ます。
255÷15=17
よって、日本とロサンゼルスの時差は17時間です。
③求めたい場所の時刻を出す
日本よりもロサンゼルスの方が、より西側にあって、時刻が遅れているので、
9-17=-8
ロサンゼルスは6時17日-8時。
-8時っていうのは、24から8引いて、昨日の16時(午後4時)のことです。
よって、答えは、6月16日午後4時です。
時差の計算をする時は「24時間表記」で計算するのがコツ
ちなみに、日付変更線をまたいで計算しても正解は出せます。
でもミスが出やすいのでおすすめできません。
余力がある人以外は読み飛ばしてOK。
①経度差を出す
このように図を描いてみると、日付変更線をまたぐ経度差は
45+60=105
②時差を出す
経度差を15で割れば、時差が出ます。
105÷15=7
③求めたい場所の時刻を出す
「ロサンゼルスは、日本よりもさらに東にある」と考えてしまいます。
ロサンゼルスの時刻は日本の時刻よりも7時間進んでいる、と。
9+7=16
6月17日16時。(6月17日午後4時)
でも、本当は日付変更線をまたいでいるから、ロサンゼルスは1日遅れている。
よって、答えは、6月16日午後4時。
(3)【難易度★★★】飛行機が出てくるやつ
6月17日正午東京発の飛行機に乗って、ニューヨーク(標準時子午線=西経75度)に行った。
飛行機のフライトはちょうど13時間だった。
ニューヨークには、ニューヨークの現地時間で何月何日の何時に着いたか?
飛行機の問題は頭がゴチャゴチャになりやすいので、僕は表を書くことにしています。
①経度差を出す
日本:東経135度
ニューヨーク:西経75度
このように図を描いてみると、日付変更線をまたがない経度差は
135+75=210
②時差を出す
経度差を15で割れば、時差が出ます。
210÷15=14
よって、日本とニューヨークの時差は14時間です。
③求めたい場所の時刻を出す
まず、飛行機の出発時間が、ニューヨークの現地時間では何月何日の何時だったのかを出します。
飛行機の出発時間は、日本時間で6月17日正午(12時)。
日本よりもニューヨークの方が、より西側にあって、時刻が遅れているので、
12-14=-2
ニューヨークは6時17日-2時。
-2時っていうのは、24から2引いて、昨日の22時(午後10時)のことですね。
よって、飛行機の出発時間は、ニューヨークの現地時間では6月16日22時です。
次に、飛行機の到着時間が、ニューヨークの現地時間では何月何日の何時だったのかを出します。
フライトはちょうど13時間だったので、13足せばいいです。
6月16日22時+13時間=6月16日35時
35時っていうのは、翌日の11時(午前11時)のことですね。
よって、飛行機の到着時間は、ニューヨークの現地時間では6月17日11時です。
答えは6月17日11時。
一応、検算をして、ミスしていないかチェックするのがコツ。
飛行機の到着時間は、日本時間では
6月17日12時+13時間=6月17日25時=6月18日1時
飛行機の到着時間
- (日本時間)6月18日1時
- (ニューヨーク時間)6月17日11時
時差は
6月18日1時-6月17日11時
=6月17日25時-6月17日11時
=14時間
で、「日本とニューヨークの時差は14時間です。」っていうのと一致していますね。
計算ミスはないようです。
時差を求める必要はあるのか?問題
最後に雑談です。
教員の時に、僕も時差の授業をしました(僕は授業でiPadを自由に使ってOKってことにしていた)。
で、時差の問題を出したところ、、、
ある生徒がiPadで「ロサンゼルス 時刻」って調べて、一瞬で答えを出したんですw
これを見て、「そういえば、なんのために時差の求め方の計算をするんだろう・・・?」って疑問に思いました。調べれば一瞬なんですよね。
ただ、「時差の求め方を理解できない思考力」だと後々でシンドいことになる気がしなくもない。
ってことで、将来使わないとしても、時差の求め方を理解できるようにすることは大事かなーって思います!
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