緯度と経度について説明します!
なぜ緯度と経度の勉強をするのか?
まず、なぜ緯度と経度の勉強をするのかというと、
地球上での位置を正確に表す時に、緯度と経度が役に立つから
です。
位置を表す方法は、ざっくりと2通りに分けられます。
①他の場所を基準に表す方法
②「住所」で表す方法
例えば日常生活で、●●中学校の位置を表すとしましょう。
すると、こんな感じで表せます。
①他の場所を基準に表す方法
「■■というマンションの目の前」「▲▲駅から北に1kmのところ」
②「住所」で表す方法
「■■県▲▲市◯◯ – □ – □」
同じように今度は、地球上で日本の位置を表すとしましょう。
「①他の場所を基準に表す方法」だと、
「太平洋の北、西の端っこ」「中国の東側」「韓国の隣」
などと表すことができます。
が、もうお気づきの通り、この位置の表し方は正確ではありません。
なので、「②『住所』で表す方法」のように、地球上の位置を正確に表す方法が必要です。
そこで、
- 南北方向の位置
- 東西方向の位置
の2つを使って、位置を正確に表します。
例えば、
このように何かモノ(顔)があって、これの位置を表したいとします。
南北方向の位置を考えます。
すると、

「この変な顔は、オレンジの太線の上に位置する」と言えます。
ですが、「変な顔は、オレンジの太線の上に位置します」とだけ言うと、この太線の上のどこに位置するのかが分かりません。
そこで、東西方向の位置も考えます。
すると、

「この変な顔は、水色の太線の上に位置する」と言えます。
よって、

「この変な顔は、オレンジの太線と水色の太線の上に位置する」
つまり、
「この変な顔は、オレンジの太線と水色の太線が交差するところに位置する」
と言うことができて、正確な位置を表すことができました。
そして、これが緯度と経度の考え方なのです。
南北方向の位置(オレンジの線) = 緯度(緯線)
東西方向の位置(水色の線) = 経度(経線)
このように、地球上での位置を正確に表す時に、緯度と経度が役に立ちます。
なので、緯度と経度の勉強をすることになります。
ちなみに、地理は「位置」がとても重要ですので、その「位置」を表す方法である緯度と経度を地理の最初に勉強します。
(緯度と経度について、地理の教科書の最初の方に書かれているのは、こういう理由からです)
緯度と経度とは?
緯度と経度が何のためにあるのかが分かったところで、緯度と経度についてもっとくわしく見ていきましょう。
ざっくり言うと、緯度と経度は、地球上の住所のようなものなのです。
- 緯度:南北方向の住所
- 経度:東西方向の住所
地球はくるくる回転(自転)しています。
回転の軸は本当は少し(23度くらい)傾いているのですが、緯度と経度の説明の時は、その傾きは無視します。
まず緯度について。
このように地球を真っ二つに切った時の円周を赤道と言います。
この赤道が、緯度の基準です。(赤道の緯度=0度)
赤道から例えば北に30度いったところの位置は、「北緯30度」と表します。
で、さっきのオレンジの線を使った説明を思い出してほしいのですが、「北緯30度」はたくさんあります。
この図のように、ぐるっと一周すべて「北緯30度」です。
これが、「北緯30度の緯線」です。
緯線 = 同じ緯度をぐるっと結んだ線
- 赤道から北にいけば「北緯」
- 赤道から南にいけば「南緯」
です。
あと、
緯度は0度~90度で表します。
90度より大きい緯度は存在しません。
例えば、「北緯120度」というものを考えてみると、これは「北緯60度」と同じ位置です。
このように、90度より大きい緯度は、90度以下の緯度で表すことができるので、
緯度は0度~90度で表します。
授業の時には、緯度の「緯」の漢字を生徒に練習させました。
黒板に大きく「緯」と書いておいて、生徒にはノートの隅などに5回くらい書いて練習してもらいました。
テストの時の漢字間違いが多いからです。
次に経度について。
イギリスのロンドンを通る、このような線を経度の基準にします。
この、イギリスのロンドンを通る基準となる線のことを本初子午線と言います。
本初子午線は、経度0度です。
本初子午線から例えば西に60度いったところの位置は、「西経60度」と表します。
で、これもさっきの水色の線を使った説明を思い出してほしいのですが、「西経60度」はたくさんあります。
この図のように、地球半周分が「西経60度」です。
これが、「西経60度の経線」です。
経線 = 同じ経度を結んだ線
ポイントは、経線は緯線とちがって地球一周ぐるっと結んだ線ではないことです。
というのも、「西経60度」の真反対は「東経120度」と表せるからです。
- 本初子午線から東にいけば「東経」
- 本初子午線から西にいけば「西経」
東経と西経がぶつかるのがちょうど180度の位置ですので、
経度は東経・西経それぞれ0度~180度で表します。
授業の時には、本初子午線の「子午」の意味を説明しても良いと思います。
子午とは、南北東西を十二支で表した時の「北から南」を意味します。
このように、十二支を円状にかくと、
北が「子」(ねずみ)
南が「午」(うま0
になります。
本初子午線のように、「子午」の線は縦の線になります。
ちなみに、「本初」は「もと」という意味らしいです。
子午線の「もと」となる線が、「本初子午線」ということです。
で、最重要ポイントは、「午」の漢字です。
本初子午線をテストで書かせると必ず「牛」と書く人がいますので、生徒に「気をつけてね」と言っておくと良いです。
緯度と経度、どっちが縦でどっちが横だっけ?【覚え方】
中高生はよく
と言います。
このような世界地図に書いてある縦と横の線のどっちが緯線でどっちが経線か…という意味です。
いろんな覚え方があるみたいですが、
- 「北緯」
- 「南緯」
という言葉から分かるように、
「緯度」はどれくらい北(南)にあるかを表すためのものだから、大量に引いてある横線が緯線
です。
「東経」と「西経」についても、同じ考え方です。
覚え方うんぬんを考えるよりも、緯度と経度のしくみ(この記事の最初に説明した内容)を理解していれば、
「緯度と経度って、どっちが縦でどっちが横だっけ?」
とはならなくて済むかなと思います!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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