北アメリカの地形
- 北アメリカ中央平原
- プレーリー:ミシシッピ川以西からロッキー山脈東麓に広がる長草草原の平原。土壌は肥沃なプレーリー土からなる。
- グレートプレーンズ:ロッキー山脈の東部に広がる台地状の平原。ステップ気候に属し、土壌が肥沃で、灌漑によってトウモロコシ・小麦などを栽培。また、牛の大放牧地帯。
- ラブラドル高原
- 五大湖(スペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖)
- ミシシッピ川:支流を含め多くが航行可能
- セントローレンス川
- コロンビア川
- コロラド川:コロラド高原を流れ、グランドキャニオンを作る
- リオグランデ川
グランドキャニオン:コロラド高原を刻むコロラド川の大峡谷
ロッキー山脈
アパラチア山脈:西麓に炭田群
シエラネヴァダ山脈:西側はカリフォルニア盆地(セントラルヴァレー)、東側は乾燥の著しい大盆地(グレートベースン)
- ハドソン湾
- フロリダ半島
- メキシコ湾
- カリブ海
ハワイ諸島
- マントルからマグマが常に上昇する地点であるホットスポット
- 太平洋プレートが北西に移動しているので、火山島はホットスポットからはずれるとマグマが供給されず、侵食を受けて低くなる(→やがて水没)
北アメリカの気候
西経100度線付近を年降水量500mmの等降水量線が通過する
西側:乾燥地域
東側:湿潤地域
- 北側:冷帯湿潤気候(Df)
- 南側:温帯湿潤気候(Cfa)
フロリダ半島南端:熱帯雨林気候(Am)
太平洋沿岸:地中海性気候(Cs)、西岸海洋性気候(Cfb)
北極海沿岸:ツンドラ気候(ET)
メキシコ湾岸:ハリケーン(カリブ海で発生。8〜9月に最も多く発生する。)
アメリカ合衆国
人口
約3.3億人(2020)
人種・民族
白人
- 初期の移民の子孫
- 北東部から中西部で多い
黒人
- プランテーション農園の労働力として17〜18世紀に連れてこられた
- 南部の綿花地帯に位置する州で多い
ヒスパニック
- スペイン語を話す地域からの移住者
- カリフォルニア州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州、フロリダ州で多い
アジア系
- カリフォルニアで見つかった金を求めて集まった
- カリフォルニア州、ワシントン州、ハワイ州で多い
先住民
- ネイティブアメリカン(インディアン):1万5000〜2万年前にアジアから移住したとされる南北アメリカ大陸の先住民。土地を追われたネイティブアメリカンの多くは、西部山岳地帯の居留区に住んだ。
- エスキモー(イヌイット):シベリア東部・アラスカ・カナダ・グリーンランドの北極海沿岸に居住している。北アメリカの先住民の1つで、アジア系民族に属する。
日系移民:1868年、約150人の日本人がハワイへ渡ったのが最初。ハワイでのサトウキビ栽培、カリフォルニアでの米・野菜の栽培など。
カリフォルニア州への移民の変化
- かつてはゴールドラッシュを機に坑夫が流入
- 近年はシリコンバレー形成に伴いIT技術者が流入
都市
ニューヨーク(880万人)
ロサンゼルス(390万人)
シカゴ(270万人)
ヒューストン(230万人)
北東部
- メガロポリスが形成されている(ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ボルティモア)
- 中高所得者は居住環境が良い郊外に住み、都心部には移民や低所得者層が住む(インナーシティ問題)
- 大都市内部では、人種や民族、所得階層ごとに居住地の分離が進んでいる(セグリゲーション)
内陸部
- 乾燥気候が広がり、人口密度が低い
農業
- 利益をあげることを目的に、
- 広大な農地を、
- 大型機械を使って少ない人手で管理して、
- 高い生産性をあげている。
※大型農業機械を利用するために、等高線耕作を行う(→土壌や肥料の流失も防げる)
※農場主は農業機械の運営会社と契約して作業を委託
タウンシップ制
- 18世紀後半から19世紀前半にかけて実施された、公有地の分割制度。6マイル四方を1タウンシップとし、その1/36を1セクション、その1/4にあたる160エーカー(約65ha)に1農家を入植させた。
ホームステッド法(1862)
- 自営農を創設するために制定された法律。公有地に5年間定住し、開墾した者に対し、土地160エーカー(65ha)を無償交付する。これにより中央平原の開拓が促進された。
アグリビジネス(農業関連企業):農産物の生産から加工・貯蔵・運搬・販売などの農業関連産業の総称
穀物メジャー:穀物の国際流通を支配する多国籍穀物商社
穀物エレベーター:穀物をもみ殻のついたまま貯蔵する大規模な倉庫。
フィードロット:肉牛肥育場。粗飼料で育てられた18ヶ月ほどの牛を、約5ヶ月間、濃厚飼料で集中的に肥育する。
適地適作
西経100度線付近を通過する年降水量500mmの等降水量線が境界
放牧
ロッキー山脈東側のグレートプレーンズなどで行われる
フィードロット
センターピボットによる灌漑(地下水を利用)→トウモロコシなどの飼料作物を栽培→肉牛の飼育頭数が増加
小麦
西経100度付近に広がる温帯草原のプレーリーなどで行われる
- 春小麦:ノースダコタ州、サウスダコタ州
- 冬小麦:カンザス州、オクラホマ州
トウモロコシ(コーンベルト)
トウモロコシや大豆の輪作と豚の飼育・肉牛の肥育を行う混合農業地域
アイオワ州、イリノイ州
地中海式農業
ブドウ、オレンジ、野菜など
カリフォルニア州
- 肥沃なセントラルバレーを中心に果樹・野菜の集約的農業が行われていて、収穫など機械化できない農業労働はヒスパニックに依存している。
酪農
五大湖から北東部で行われる
園芸農業
北東部の大西洋岸、フロリダ、メキシコ湾岸
綿花(コットンベルト)
現在は大豆やトウモロコシの栽培も
テキサス州、ジョージア州
牧牛の変化
かつてはグレートプレーンズで育てた牛をコーンベルトで肥育していたが、近年ではグレートプレーンズにある大型肥育場で、コーンベルトで生産された濃厚飼料を用いて肥育する例が増加した。
綿花地帯の変化
連作障害や土壌侵食により、栽培地域は灌漑施設の整った西部に移動し、地力回復のため輪作を伴う混合農業が展開されるようになった。
企業的経営による環境問題
- 等高線耕作の無視や連作による土壌侵食
- 乾燥・半乾燥地域での過剰揚水による地下水の枯渇や塩害
- 化学肥料・農薬の大量投下による土壌汚染
近代的な農業の功罪
機械化・大規模経営・適地適作などの合理化、品種改良により生産量は増えたが、生産過剰による価格低迷で中小農家は没落し、化学肥料や農薬、等高線の無視により土壌汚染・侵食が進んだ。
農産物の生産過剰が生じた対内的・対外的要因
【内】
- 機械化・大規模経営・適地適作などの合理化
- 品種改良
【外】
- 共通農業政策、緑の革命、生産責任制によりヨーロッパ、途上国、中国の自給率が高まった
工業
植民地時代、滝線都市で軽工業が発達
滝線都市:アパラチア山脈東側のピードモント台地から海岸平野に落ちる滝線で発達した都市。滝の水流による水車動力によって、製粉業や紡績業・水力発電が発達。
(例)ボルチモア、リッチモンド
↓
19世紀半ばから産業革命が進む
原料を得やすい地域に工業の中心が移動し、重化学工業が発達
(例)ペンシルバニア炭田、メサビ鉄山
↓
第二次世界大戦頃
航空機産業、石油精製業、アルミニウム工業、IT産業が発達
(例)サンフランシスコ、ロサンゼルス
↓
第二次世界大戦後
化学工業が発達
(例)ヒューストン、ダラス
北東部
- ボストン:大学や研究機関が多数立地
中西部
- 重化学工業
- デトロイト:自動車工業
- シカゴ:農業機械、食品加工業
- ピッツバーグ:大学や研究機関が多数立地
南部
- ニューストン:航空宇宙産業、石油化学工業
- ダラス:情報、エレクトロニクス産業(シリコンプレーン)
西部
- ロサンゼルス:航空宇宙産業(ロッキード)
- シアトル:航空機産業(ボーイング)
- シリコンバレー
アラスカ州
- 北極海沿岸で油田開発
北東部工業地帯が衰退した理由
- 地元資源の枯渇
- 生産設備の老朽化と技術革新の遅れにより品質と生産が低下した
- 日本・韓国などの安価で高品質な鉄鋼製品に駆逐された
※ピッツバーグは鉄鋼不況で衰退したが、近年ではITや生物工学など先端技術産業で復活した。
サンベルトに企業が進出した背景
- 連邦政府の資金投入によりインフラ整備が進んでいた
- 地下資源が豊富
- 州政府が積極的に企業誘致を行った
- 労働組合の組織率が低い安価な労働力が豊富
- 温暖な気候と広大な土地
自動車産業が日本からアメリカに移転した理由
- 日本の輸出超過による貿易摩擦を緩和する
- 石油危機による燃料価格の高騰で燃費の良い日本車が好まれた
- 円高による為替差損を縮小する
- アメリカの失業者を救済し反日感情を緩和する
カナダ
公用語:英語、フランス語
多文化主義
首都のオタワはオンタリオ州(英語圏の中心)とケベック州(フランス語圏の中心)の境界に位置している
民族
イギリス系住民が多数
ケベック州:フランス系住民が多数居住
北極海沿岸:イヌイットも居住(ヌナブト準州)
カナダへの移民が1990年代後半以降に増加した理由
- カナダは多文化主義政策のもとで、移民に対して寛容だった
- ホンコンやマカオの中国返還の際に、それらの地域の人々が移住した
歴史
開拓の初期
沿岸のイギリス領植民地と、セントローレンス川沿いのフランス植民地に分かれていた
↓
七年戦争(1756〜63年)後のパリ条約(1763)によって、フランス領植民地はイギリス領に統合された
↓
1867年、カナダ自治領ができる
オンタリオ、ケベック、ノヴァスコシア、ニューブランズウィック
↓
ウェストミンスター憲章(1931)
→イギリス領からの完全独立
ケベック州
カナダではイギリス系住民が多数派だが、ケベック州はフランス系住民が多数を占める(カトリック)。
- 主権の拡大、分離・独立などの要求が強い
→カナダ政府は融和を図るために、英語とフランス語を公用語としている。しかし、ケベック州はフランス語だけが公用語だと宣言。
ヌナブト準州
1999年に設立された、イヌイットの準州。自治機能を持つが、州政府運営資金をカナダ政府に依存している。
農業
春小麦の栽培
カナダで小麦の作柄の変動が大きい理由
- 高緯度・内陸部に位置し、気温の年較差が大きく、年降水量が少ない
- その結果、冷害や干ばつの影響を受けやすい
鉱業
ラブラドル高原:鉄鉱石
ロッキー山脈:原油、天然ガス
サドバリ鉱山:ニッケル
ウランの埋蔵量は世界の約5分の1を占めると言われている
工業
多くの産業がアメリカ資本の支配下にある
五大湖周辺が工業の中心(アメリカ資本が多数進出)
ヴァンクーヴァー:先端技術産業
ラブラドル高原:アルミニウム工業(←水力発電)
水力発電によるアルミニウム工業(←多くの湖の水資源)
オンタリオ州で製造業が発達した理由
- 水運に恵まれている
- 鉱物資源に恵まれている
- アメリカ合衆国と一体化した重工業地域を形成
- NAFTA成立以降、アメリカ企業の進出が活発化し、アメリカと分業体制を形成
エネルギー
水力発電
ハドソン湾の南のジェームズ湾で盛ん
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参考文献
通信教育
学習漫画・参考書
社会科チャンネル
社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。