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中国の地形をわかりやすく:用語の丸暗記にならないために

モチオカ(望岡 慶)
なぜ地形について学ぶのか?

中国という地域の本質は、「1つにまとまるのが難しい場所だが、1つにまとまるのが決して不可能ではない場所。ゆえに中国は分裂と統一を繰り返してきた」ということ。

そして、その背景には地形と気候の特徴がある

→「分裂と統一を繰り返す」という中国の本質を理解するために、地形と気候について学ぶ!

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中国の地形

中国は広大な国土を持ち、「絶妙にまとまりにくい地形」である。

地形の大前提

  • 山を越えるのはしんどい
  • 平地なら、人やモノの移動がしやすい

この2つを基本にして、中国の山や平野を見ていく。

関東山地と関東平野。山を越えるのはしんどい…(2024.1撮影)
関東平野。平地は移動しやすくて便利!(2024.12撮影)

参考:大地形・小地形をわかりやすくまとめた【地理】

中国の山脈

基本的に「中国の内部に大きな山脈はない」と思ってOK。

テンシャン山脈(天山山脈)
クンルン山脈(崑崙山脈)
ヒマラヤ山脈中国とインドの交流を阻む自然障壁として機能。
チンリン山脈(秦嶺山脈)中国の南北を分ける境界線。

中国の平野

中国の大地は全体として、西側の標高が高く、東側が低い

ただし、東部は平坦ではなく、絶妙に起伏がある。特に東南アジア方面の南部はゴツゴツしている。

華北平原黄河と長江、チュー川(珠江)が流れる。大河によってもたらされた肥沃な土壌が堆積。
スーチョワン盆地(四川盆地)人々が独自の文化や社会を築いてきた
トンペイ平原(東北平原)
タリム盆地

中国の河川

2本の大河が西から東に流れる。

黄河チベット高原に源流がある
淮河(ホワイ川)
長江チベット高原に源流がある
珠江(チュー川)河口の両端にマカオと香港がある。

中国の砂漠

西部の内陸部に砂漠がある。

タクラマカン砂漠
ゴビ砂漠モンゴルとの国境にまたがり、中国にとって(モンゴルにとって?)防御装置として機能している。
チベット高原アジアの給水塔(黄河、長江、メコン川の源流)

重要ポイント

ちょうどよく分断される地形

中国の大地は、広くて起伏があり、さらに黄河と長江という2本の大河が流れている。この地形が、「たくさんの社会」を生む土台になってきた。

どういうことかというと、山や川によって自然に区切られた土地ごとに、人々が独自の文化や社会を築いてきた、ということ。

つまり、中国という地域は「いくつもの地域社会の集合体」である。

そのため、近い地域同士が合わさって1つの国になることはあっても、中国全体を1つにまとめるには、かなり強い力と意図的な動きが必要になる。

完全には分断されていない地形

しかし、中国の地形はそれほど険しいわけではない。

ヒマラヤ山脈のような超巨大な山がところどころにあれば、「じゃあこの山の向こうとは別々の国でいいよね」って話になっていたかもしれない。

が、現実はそうではない。「行こうと思えば行ける」という、中途半端な境界が中国には多い。

だからこそ、地域社会同士が完全に分断されることはなく、「せっかくだからまとめよう」という野望を持つ者が現れる。そのような人が、何度も何度も歴史に登場してきた。

周囲から完全に隔離されてはいない

また、中国は四方を完全に囲まれているわけではない。

  • 北はモンゴル高原(ゴビ砂漠)
  • 西は中央アジアの乾燥地帯
  • 南は東南アジアと地続き
  • ベトナムとの国境は、そこまで苦労せずに越えられる地形
  • ラオスとの国境は、丘陵地帯のジャングルで横切るのは困難
  • ミャンマーとの国境は、山脈ゆえに越えるのは困難
  • 東は海だけど、船で外から来ることもできる

このように、完全に隔離されたわけではない場所だからこそ、外からの文化や人々が入り込んできやすい。離れた土地に行けば行くほど、文化・民族・言語がグラデーションのように変化していく。

現代でも、広東、チベット、新疆など、中国国内には言語も文化も大きく違う地域が存在している。同じ漢民族の地域ですら、日常的に話す言葉(方言)が地域によってかなり違うのが中国の特徴。

中国はその広大さと周囲との境界の少なさゆえに、単一民族・同一文化の社会にはなり得ない地域なのである。

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