ラテンアメリカの地誌についてまとめました!
ラテンアメリカの地形
- メキシコ高原
- ギアナ高地
- ブラジル高原
- アマゾン盆地
- アンデス山脈
- アタカマ砂漠
- パタゴニア
- オリノコ川
- アマゾン川
- ラプラタ川:アルゼンチンとウルグアイの国境
- ユカタン半島
- カリブ海
- ペルー海溝
- チリ海溝
- ペルー海流(フンボルト海流):湧昇性の寒流。プランクトンが豊富(→ペルー沖はカタクチイワシの世界的な漁場)。
- マゼラン海峡:1914年のパナマ運河開通まで重要航路だった(航海の難所)
- ドレーク海峡:世界で最も荒れる海域の一つ
ラテンアメリカの気候
熱帯雨林気候(Af)
サバナ気候(Aw)
※ハリケーン
砂漠気候(BW):アルゼンチン南部のパタゴニア、ペルー南部からチリ北部
※パタゴニア:アルゼンチン・チリ両国の南部を指す地方名。半乾燥の台地で牧羊が盛ん。
地中海性気候(Cs):チリ中部
西岸海洋性気候(Cfb):チリ南部
温暖湿潤気候(Cfa):ラプラタ川下流域
ラテンアメリカの植生
セルバ:アマゾン川流域の熱帯雨林
リャノ:オリノコ川流域の熱帯草原
カンポ:ブラジル高原の熱帯草原
グランチャコ:パラグアイ川流域の熱帯草原
※独自の名前をつけたがる傾向にあるっぽい
パンパ:ラプラタ川下流域の温帯草原
ラテンアメリカの社会
16世紀にラテン系民族が進出して、カトリックを布教
→ほとんどの国がスペイン・ポルトガル(ラテン系言語を公用語としている国)の植民地となった(→だからラテンアメリカと呼ぶ)
人種・民族
先住民はインディオ
- メキシコ高原:アステカ人(アステカ文明)
- ユカタン半島:マヤ人(マヤ文明)
- アンデス山地:インカ人(インカ文明)
16世紀にラテン系民族(スペイン人・ポルトガル人)が入植し、原住民と混血
また、中南アフリカからネグロイドが奴隷として連れてこられた
混血
- メスチーソ:インディオと白人の混血
- ムラート:黒人と白人の混血
- サンボ:インディオと黒人の混血
日系人
関連:日本は外国人をどう受け入れてきた?【入管法改正の歴史】
人種のるつぼ
→人種差別が少なめ
しかし、住民間の所得格差が大きく、中間層が少ない(→政情不安)
(理由)大土地所有制
国別人種構成
白人が多い国
- アルゼンチン、ウルグアイ
黒人が多い国
- ハイチ、ジャマイカ
インディオが多い国
- ペルー、ボリビア
混血が多い国
- メキシコ、コロンビア、ベネズエラ
人口
人口増加が激しい国が多い
→十分な教育を受けないまま、未熟練労働者として都市に集中しスラムを形成しがち
※ファベーラ:南米の大都市に見られるスラムの呼称
言語・宗教
多くの国がスペインの植民地だったため、スペイン語を公用語とする国が多い
例外
- ブラジル:ポルトガル語
- ハイチ:フランス語
- ジャマイカ:英語
- ガイアナ:英語
- スリナム:オランダ語
宗教は多くの国でカトリックが信仰されている
ラテンアメリカの農業
植民地時代からの大土地所有制にもとづくモノカルチャー
大土地所有制
征服者にその功績として広大な土地を与えたのが始まり
農園主は大都市に住む
→経営を委ねられた支配人が農場を管理する
→実際に家畜の飼育や作物の栽培にあたるのは借地農
農地は効果的に使われていないことが多い
- 借地農は短い契約期間内に高い生産性を発揮しようとして、略奪的な土地利用を行う
- 地主は積極的な農業投資を行わない(広い土地を持っているから)
- アシェンダ:メキシコ、ペルー、チリなどに見られる大土地所有制に基づく大農園。
- ファゼンダ:ブラジルに見られる大土地所有制に基づく大農園。大地主はコロノと呼ばれる労働者と契約を結び、賃労働をさせたり、耕地を貸して請負耕作をさせたりする。
- エスタンシア:アルゼンチンの大土地所有制に基づく大牧場または大農園。コルドバ
南半球であることの強み
北半球と農事暦が夏冬逆転している
分布
アマゾン盆地
原始的な焼畑農業
熱帯の海岸部
サトウキビ、コーヒー豆、バナナなどのプランテーション
アンデス諸国
インディオによる小規模な自給的農牧業
標高によって栽培作物が異なる
- 標高が低い:サトウキビやバナナなどのプランテーション
- 標高が高い:ジャガイモ、トウモロコシ、小麦
- 耕作限度を超えた標高:リャマやアルパカの放牧
チリ中部
地中海性気候が分布するため、ブドウの栽培が盛ん
→世界有数のブドウ輸出国(チリワイン)
ラプラタ川流域
- 湿潤パンパ:混合農業(トウモロコシ・大豆、肉牛)
- 乾燥パンパ:羊の放牧
ラテンアメリカの経済
- 不平等な所得分配
- 特定の一次産品の輸出に頼っている国が多い(モノカルチャー経済)
- 銀:メキシコ
- 銅:チリ(チュキカマタ鉱山)、ペルー
- スズ:ボリビア、ペルー
- ボーキサイト:ジャマイカ、スリナム、ガイアナ
- 原油:メキシコ、ベネズエラ、エクアドル
- 鉄鉱石:ブラジル(イタビラ鉱山、カラジャス鉱山)
※ペルーはアンチョビーの肥料用魚粉
農園や地下資源は外国資本によって開発・経営されていることが多い
→利益は利子や配当として国外に流出してしまう
近年は外国資本の導入によって工業化を進めている
しかし、土地のない農民や未熟練労働者が多く、国内の購買力が弱いため、国内市場が育たない。
ラテンアメリカの一部で工業化が進まない理由
国内企業が成長しにくいし、外国企業が進出しにくい環境が継続している
- 資本や技術の不足
- 産業基盤の未整備
- 政情や通貨が不安定
- 国民の購買力が弱く市場が狭い(←貧富の格差が大きく、中間層が少ない)
- 海外市場まで遠い(←南半球)
経済発展が滞っている理由
付加価値の低い商品を供給し続けている
- 農作物を生産しやすい自然条件
- 地下資源に恵まれている
- 植民地支配により、一次産品の供給地としての役割を担うことになった
- 付加価値が高い産業を育成できるほど資本や技術が蓄積されていない(←貧富の格差が大きく、国内に十分な貯蓄がないため、投資活動が活発ではない)
モノ・サービスが売れない
- 国内市場が狭い(←貧富の格差が大きく、中間層が少ない)
- 海外市場まで遠く、輸送コストが高くつく
ラテンアメリカにおいては、熱帯気候や地下資源が豊富であるという自然条件と、スペインとポルトガルによって植民地支配されたという歴史的条件により、 早くから一次産品の供給者として世界経済に組み込まれ、支配関係により上下階層が大きく隔てられた社会が成立した。
ラテンアメリカのような所得分配が不平等な社会 においては、労働生産性が低く所得シェアが低い多数の貧困層と、人数構成で少数ではあるが労働生産性が高く所得シェアが高い富裕層を生じさせる。所得の一部を貯蓄に回し将来の社会的上昇を考えることができる中間所得層は人数と所得のシェアにおいて多数集団ではない。言うまでもなく貧困層は貯蓄する能力が低く、富裕層は奢侈的な消費を好むため、こちらもあまり貯蓄を行わない。このような理由により国内貯蓄能力が低いのがラテンアメリカ社会の特徴である。
さらに、資本蓄積は海外貯蓄による制約も受ける。ここで海外貯蓄とは輸出から消費のための輸入を引いたものであり、資本財の輸入に使用することができる外貨の量を表している。工業化するために必要な資本財をすべて国内で調達することができないので、海外貯蓄制約により必要な資本財が輸入できなければ工業化が停滞してしまうのである。ここで、ラテンアメリカは一次産品輸出に著しく特化しているという特徴がある。いわゆるプレビッシュ=シンガー仮説は、工業製品に対する一次産品の交易条件が持続的に悪化すると考えるので、海外貯蓄は持続的に減少することになる。富裕層の奢侈的消費が輸入を誘発することも投資に必要な外貨を流出させる原因となる。
累積債務問題
1970年代以降、モノカルチャー経済からの脱却・工業化のため外国資本を導入したが、その費用や金利上昇により累積債務が増大した。
欧米資本からの経済的独立
チリはアメリカ資本だったチュキカマタ鉱山を1969年に国有化
ベネズエラ、ボリビアは石油メジャーが持つ石油事業を国有化
MERCOSUR(南米南部共同市場)
- 1995年に発足
- 域内関税の原則撤廃
- 域外共通関税
- ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ベネズエラ、ボリビア
ラテンアメリカの国々
メキシコ
首都:メキシコシティ(高山都市:かつてのアステカ王国の首都)
※16世紀にコルテスが徹底的に破壊した
メキシコシティの問題
- 酸素濃度が低く生活しにくい
- 周囲が山に囲まれた盆地のため、汚染された空気が拡散しにくい(大気汚染)
- 農村部からの人口流入により、高地にスラムが拡大
- 都心の低地には高所得層が住むが、汚染された空気が停滞しやすい
鉱業
原油(メキシコ湾岸)
工業
アメリカ合衆国との国境沿いに、アメリカ資本が多数進出
※マキラドーラ:アメリカ合衆国との国境付近に設置された保税輸出加工区。NAFTAの設立で廃止。
日本とメキシコの関係
- かつてはマキラドーラ制度の下、日本企業はメキシコに進出し、日本から輸入した部品を低賃金労働力で組み立てた完成品を米国に無関税で輸出
- NAFTA結成に伴いマキラドーラは廃止
- EPA交渉を行う
アメリカ合衆国への入国
ラテンアメリカとアメリカ合衆国の生活水準の差が、メキシコ国境を経て合衆国に入国する人の群れを生んでいる。
キューバ
スペイン植民地、アメリカ合衆国の軍政支配を経て1902年に独立
キューバ革命(1959)
→ラテンアメリカで最初の社会主義国に
2015年にアメリカ合衆国との国交が回復された
一次産品である砂糖の輸出に依存するモノカルチャー経済だったが、近年は市場経済の導入により、生産の自由化が進んでいる。
ジャマイカ
1962年にイギリスから独立
ブルーマウンテン山脈でコーヒー豆が栽培される
ハイチ
1804年にフランスから独立(ラテンアメリカ最初の独立国)
コーヒー・砂糖が主産品
政情が不安定
ニカラグア
ニカラグア運河の建設(中国の関与)→2018年に建設中止
ベネズエラ
マラカイボ湖油田
OPEC加盟国
コロンビア
コーヒー豆の生産国
エクアドル
首都キトは高山都市
OPEC加盟国
バナナの輸出
ペルー
首都リマ
クスコ:インカ帝国の首都があったが、ピサロが破壊
アンチョビー
ボリビア
首都ラパスは標高4,000m以上(世界最高所の首都)
内陸国(1879〜83年にチリと争い、海岸地方を奪われた)
スズ鉱
ウユニ塩原
- かつては海底だったが、プレートの衝突による隆起で高原となり、乾燥気候により塩湖が干上がって形成された
- 塩類の下にはリチウムが大量に埋蔵されている
チリ
銅鉱
ブラジル
公用語:ポルトガル語
宗教:主にカトリック
首都はブラジリア
日系人はサンパウロ州を中心に居住
2大都市
- サンパウロ
- リオデジャネイロ
アマゾン川流域の開発
高速道路建設(1976完成)にともない、森林伐採・牧場造成など未開資源の開発が進んだ結果、森林や生態系の破壊・土壌侵食が進行した。
農業
- コーヒー豆
- サトウキビ
- 大豆
- トウモロコシ
- 牛
工業
かつてはコーヒー豆の輸出に依存するモノカルチャー経済の農業国
↓
1960〜70年代初めにかけて、外国資本を導入
→輸入代替型工業化を進めた
- サンパウロ
- リオデジャネイロ
鉱業
- 鉄鉱石(カラジャス鉄山、イタビラ鉄山)
- 近年は海底油田の開発も
- ボーキサイト
アルゼンチン
公用語:スペイン語
宗教:主にカトリック
首都ブエノスアイレス
農業
温帯草原のパンパが農業の中心
- 湿潤パンパ:混合農業(トウモロコシ・大豆、肉牛)
- 乾燥パンパ:羊の放牧
欧州の産業革命により羊毛需要が増大し、1870年代の冷凍船の発明で熱帯を越えた生肉出荷が可能になった。
バカムエルタ(Vacation Muerta)
- パタゴニア西部にある、シェールガス産出地域
フォークランド諸島(マルビナス諸島)
1833年〜イギリスが領有。イギリスとアルゼンチンとで領有を争っている(住民の大半はイギリス統治下に残りたがっている)。石油や天然ガスの資源がある。
1982年:フォークランド紛争
ウルグアイ
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参考文献
通信教育
学習漫画・参考書
社会科チャンネル
社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。