ヨーロッパの地形


- バルト楯状地
- 東ヨーロッパ平原
- 北ドイツ平原
- パリ盆地:ケスタ地形が発達
- ロンドン盆地:ケスタ地形が発達
※ケスタ地形=地層の硬軟と侵食により、急崖と傾斜面が交互に配列する地形
- イベリア半島
- ユトランド半島
- スカンディナヴィア半島
- スカンディナヴィア山脈
- ペニン山脈
- ピレネー山脈
- アルプス山脈
- アペニン山脈
- カルパティア山脈
- セーヌ川:河口部にエスチュアリー
- ローヌ川
- ライン川
- エルベ川:河口部にエスチュアリー
- ドナウ川
- テムズ川:河口部にエスチュアリー
- ポー川
- 地中海
- 北海
- バルト海
- アドリア海
- スカンディナヴィア半島:フィヨルドが見られる
- スペイン北西部:リアス式海岸が見られる
- スロベニア:カルスト地形が見られる
- アイスランド:大西洋中央海嶺上の火山島
北海:ドッガーバンクやグレートフィッシャーバンクなどトロール漁業にとって好漁場があり、ニシン・タラ・カレイなどが豊富に水揚げされる。
ヨーロッパの気候
西岸海洋性気候(Cfb)が広く分布
(理由)暖流の北大西洋海流と、その上空を吹く偏西風の影響
東ヨーロッパ:冷帯湿潤気候(Df)が分布
地中海沿岸:地中海性気候(Cs)が分布
イタリア中部:温暖湿潤気候(Cfa)が分布
ヨーロッパの雨温図判定問題は頻出

ヨーロッパの文化

民族・言語
インド・ヨーロッパ語族:ヨーロッパ系民族を中心とする言語集団。ゲルマン語系、ラテン語系、スラブ語系などに分かれる。
- 北西部→ゲルマン系が多い
- 南部→ラテン系が多い
- 東部→スラブ系が多い
ゲルマン系
- 英語
- ドイツ語
- オランダ語
ラテン系
- フランス語
- イタリア語
- スペイン語
- ポルトガル語
- ロマンシュ語
スラブ系
- ロシア語
- ウクライナ語
- ポーランド語
- セルビア語
※ハンガリー語(マジャール語)はウラル語族
※複数の言語を公用語にしている国もある。
- スイス(ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語)
- ベルギー(オランダ語、フランス語、ドイツ語)

宗教
主にキリスト教
- 北西部→プロテスタントが多い
- 南部→カトリックが多い
- 東部→東方正教が多い
プロテスタント
北・西ヨーロッパ、北アメリカの国々に信徒が多い。
カトリック
南ヨーロッパ、ラテンアメリカ、東ヨーロッパの一部の国々に信徒が多い。ローマ教皇が最高権力者。
- バチカン市国:イタリアの首都ローマの市内にある世界最小の独立国。
- サンピエトロ寺院:バチカン市国にあるローマ=カトリック教会の本山としての首席大聖堂。
東方正教
聖像崇拝問題を契機としてローマ=カトリック教会から分かれた。東ローマ帝国滅亡(1453年)後は、ロシア正教、セルビア正教など、各国・各地方の呼称が用いられている。

民族問題
北アイルランド問題(イギリス・アイルランド)
多数派のプロテスタント vs アイルランドへの帰属を求める先住民のケルト系カトリック
カタルーニャ地方(スペイン)
少数民族カタルーニャ人の居住地で、カタルーニャ人の自治が認められている。
バスク・ナショナリズム(スペイン・フランス)
スペインとフランスの国境地帯であるバスク地方に住むバスク人が、統一を目指して独立運動を展開。
- 1979年、スペインでバスク自治州が成立。
ベルギー言語戦争(ベルギー)
- 北部のゲルマン系フラマン人(オランダ語) vs 南部のラテン系ワロン人(フランス語)
- ベルギーが独立をした19世紀はフランス語が国際語だとみなされていたため、フランス語のみが公用語だった。
- 1993年の憲法改正により、オランダ語・フランス語・ドイツ語を公用語とし、連邦制に移行。
コソボ(from セルビア)
- アルバニア系住民が多数派
- セルビア系住民は少数派
- 旧ユーゴスラヴィア連邦のセルビア内のコソボ自治州が独立を要求して、紛争が起こった。旧ユーゴ軍が反撃し、1999年にはNATO軍が空爆。
- 2008年にコソボ共和国の独立を宣言
キプロス紛争(キプロス)
- 北部に少数派でイスラム教徒のトルコ系が居住
- 南部に多数派でギリシャ正教徒のギリシャ系が居住
→内紛・軍事クーデタを経て、1983年に北キプロス=トルコ共和国の樹立が宣言された。トルコ以外からの国家承認は受けていない。
※2004年、南のキプロス共和国だけがEU加盟を認められた。

ヨーロッパの地域統合

1948 ベネルクス関税同盟 | ベルギー、オランダ、ルクセンブルク(ベネルクス三国) |
1950 シューマン=プラン(石炭と鉄鋼を共同管理する提案) | |
1952 ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体) | フランス、西ドイツ、イタリア、ベネルクス三国 |
1958 EEC(欧州共同体)・EURATOM(ヨーロッパ原子力共同体) | フランス、西ドイツ、イタリア、ベネルクス三国 |
1960 EFTA(欧州自由貿易連合) | イギリス、オーストリア、スウェーデン、スイス、デンマーク、ノルウェー、ポルトガル(イギリスの提唱によりEECに対抗して設立) |
1967 ECSC・EEC・EURATOMを統合→EC(欧州諸共同体) | フランス、西ドイツ、イタリア、ベネルクス三国 |
1973 EC拡大 | イギリス、アイルランド、デンマーク |
1981 EC拡大 | ギリシャ |
1986 EC拡大 | スペイン、ポルトガル |
1992 マーストリヒト条約 | |
1993 EU(欧州連合) | |
1995 EU拡大 | スウェーデン、フィンランド、オーストリア |
1999 ユーロ導入 | |
2004 EU拡大 | バルト三国、ポーランド、チェコ、スロバキア、マルタ、キプロス、ハンガリー、スロベニア(東ヨーロッパ諸国が加盟) |
2007 EU拡大 | ルーマニア、ブルガリア |
2013 EU拡大 | クロアチア |
2020 イギリスがEUから離脱 |
EU(欧州連合)
2022年現在、EUの加盟国は27カ国。
- EU域内の関税撤廃
- 対外共通関税の実施
- 共通農業政策による域内農業の保護
- ユーロ導入による通貨統合
- ヒト・モノ・カネ・サービスの移動の自由化
※国境管理の甘い国から密入国した不法移民が域内を自由に動き回ることができるという問題がある。


EFTA(欧州自由貿易連合)
2022年現在、アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインの4カ国。
ヨーロッパの農業
EUの共通農業政策

共通農業政策の影響
【メリット】
- 農民の生産意欲が向上し、農産物の供給量の増大、価格の安定がもたらされた
- 域内農業の適地適作化が進行した
【デメリット】
- 生産過剰によりEU財政が圧迫している
- 分担金をめぐる対立が生じた
農業地域

北海・バルト海沿岸→酪農
- かつて大陸氷河の影響を受けたやせ地が広がる
ヨーロッパ中部→混合農業
地中海沿岸→地中海式農業
ヨーロッパの野菜生産拠点の変化
かつてはオランダ等で施設園芸農業を行っていたが、エネルギー消費量が多かったため、輸送手段の発達や無関税のEU共同市場の成立により、近年は南スペインで太陽光を利用した安価な生産をしている。
スイスアルプスの移牧
- フェーンが低地を襲う春〜夏に乳牛を高地の牧場に移動させる
- 寒冷な冬には低地の牛舎に戻す
- 垂直移動を伴う
ヨーロッパの鉱工業

重工業 @原料がとれるところの近く
- イギリスのミッドランド地方(←石炭と鉄鉱石)
- ドイツのルール工業地域(←ルール炭田の石炭とライン川の水運)
- フランスのロレーヌ地方(←鉄鉱石)
↓(資源の海外依存度アップ、エネルギー革命)
重化学工業 @資源の輸入に便利な臨海部
- イギリスのミドルズブラ、カーディフ
- フランスのダンケルク(鉄鋼業)
- オランダのロッテルダム(石油化学工業)
- フランスのマルセイユ(石油化学工業)
↓(石油危機)
先端技術産業・機械工業
- ドイツ車:フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、ベンツ、BMW
- スペイン車:セアト
- フランス車:プジョー、シトロエン、ルノー


鉱産資源
原油 | ノルウェー、イギリス(北海油田) |
天然ガス | ノルウェー、オランダ |
石炭 | ポーランド |
鉄鉱石 | スウェーデン |
ヨーロッパのエネルギー事情
国土の広い中国や欧州で再生可能エネルギーの比率が高いのは、まさにその国土の広さゆえです。欧州は各国間で電力を輸出入しているため、電力に関しては広大な1つの国と同じで多様化がとても容易です。
少々不安定な電力が増えても域内全体で充分吸収できるわけです。たとえば、デンマークが不安定な風力発電を増やせたのも、安定的な電力を輸入でまかなえるため、自前の(安定供給のための)火力発電所などを減らせたからです。(これは他国に負担を押し付けるやり方との批判もあります。)
ヨーロッパの国々
イギリス

ヨーロッパ最大の牧羊国
- イギリスは国土全体が西岸海洋性気候(Cfb)であるため、混合農業や酪農が盛んであり、それゆえ牧場・牧草地が広い。また、なだらかな古期造山帯の国土であるため、森林の多くは農地・宅地等にされ、森林の面積割合は小さい。
- 夏でも冷涼で国土の多くが氷食を受けたやせ地であるため、小麦などの穀物生産が可能な地域は少なく、16世紀の囲い込み(エンクロージャー)で牧羊地が拡大したこともあり、牧場・牧草地率が高い。
18世紀後半にマンチェスターを中心とするランカシャー地方で産業革命が始まった。
- マンチェスターで綿工業が発達(偏西風に対してペニン山脈の風上側に位置して湿潤な気候であるため綿糸が切れにくいという自然条件に恵まれていた)
- ヨークシャー地方では羊毛工業が発達
鉄鋼業
- バーミンガムを中心に発達したが、生産設備の老朽化と資源の枯渇により衰退
- 鉄鋼業の中心はミドルズブラやカーディフに移動(輸入しやすい沿海部)
田園都市
ロンドンの過密化を解消するため、郊外開発を目的とした大ロンドン計画が実施された。スプロール現象を防ぐためにグリーンベルトが設置され、郊外にはニュータウンが設置されたが、工場やオフィス、商業・文化施設なども備えた職住近接型の自立都市である。
ドックランズ
かつて世界的な港湾として活気に満ちていたが、輸送のコンテナ化や航空貨物の発達に対応できず、荒廃が続いていた。1980年代から官民協同でウォーターフロントの再開発が始まった。
アイルランド

住民の多くがケルト系(カトリック)
ユーロ導入国で英語圏であり、安価で教育水準の高い労働力が存在する上、外資進出に対し優遇税制をとったため、米国企業の欧州進出拠点となり、先端技術産業や医薬品産業が発達した。
フランス

フランスは中央集権国家で、首都パリへの一極集中が進んでいる
旧植民地のアルジェリアやモロッコなどの北アフリカから外国人労働者を多く受け入れている
EU最大の農業国(世界的な小麦・トウモロコシの主要生産国・輸出国)
カマンベール(←村の名前に由来)
ロレーヌ地方で鉄鋼業が発達していたが、鉄鋼業の中心は臨海部に移動した
- ダンケルク
- フォス
EUでは、アメリカや日本に対抗するために、工業製品の共同開発、共同生産が進められている。エアバスもその一環で、部品を各国で国際分業して、フランスで組み立てている。
スイス
4つの言語(ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語)を公用語とする連邦国家で、各州は直接民主制や住民投票により地域住民の意を反映した行政を行なっている。
精密機械工業、医薬品、金融業、観光業
スイスの銀行業
- 預金者の情報秘匿を保障
ドイツ

連邦制をとるドイツでは首都ベルリンのほか、ハンブルク、ミュンヘンなどの都市にも人口や経済機能が分散している。
ガストアルバイター
経済成長を遂げた1960年代を中心に、若年層を中心に労働力が不足
→トルコや南欧諸国など海外からの公式な移民の受け入れ(ガストアルバイター)
→1970年代の石油危機以降の不況で募集は停止され、帰国が奨励されているが、定住化する人も多い
※トルコ出身者=イスラム教徒
酪農
混合農業(ライ麦、じゃがいも、豚の飼育)
→ハムやソーセージ
ルール工業地帯
- エッセン
- ドルトムント
- デュースブルク
西ヨーロッパ最大の炭田を持つルール地方は、フランスのロレーヌ地方からライン川を通じて運ばれる鉄鉱石を基礎に重化学工業を発達させた。
エルベ川河口部
- ハンブルク
- ミュンヘン(ビール、ジーメンス、BMW)
ルール工業地帯の地位が相対的に低下した理由
- 産業構造の転換により重化学工業が低迷した
- 新しい先端技術産業が、交通の便が良いライン川流域に集積した
デンマーク
氷食の影響で肥沃な土壌に恵まれていないため、農業協同組合を組織し、農業教育に力を入れることで、酪農を中心とする合理的な畜産業の普及に努めてきた。
国土が北海に突き出した半島と島からなり、偏西風を利用しやすいため、風力発電が盛ん。
ベルギー

首都のブリュッセルにEU、NATOの本部が置かれている(ヨーロッパ全域から見てゲルマン系とラテン系の境界に位置している)
- 北部:フラマン人(オランダ語)
- 南部:ワロン人(フランス語)
長い間、両地域間で対立が続いたが、1993年に地域の自治の幅を拡大する連邦制(フラマン・ワロン・ブリュッセルの3地域政府で構成)へ移行
ユーロポート
- ECの玄関口。1958年から埋立てが開始され、広大な埠頭が建設された。石油精製・石油化学の工場が集中。
オランダ

干拓
- 国土の4分の1が干拓してできたポルダー
- 低地を堤防で囲み、風車などで排水して国土を広げた
農業
- 砂丘では集約的園芸農業が行われる(温室施設、化学肥料を利用し、大都市向けの野菜・花卉を栽培)
- 排水が悪く土壌の塩分濃度が高いポルダーでは酪農が行われる
ルクセンブルク
イタリア

北部の工業都市
- ミラノ(化学、機械、繊維)
- トリノ(自動車)
- ジェノヴァ(造船、鉄鋼、石油化学)
第三のイタリア
イタリア北部の工業都市や農業に依存する南部の都市とは異なり、中小企業や職人による伝統工芸が発達している。
- ボローニャ
- フィレンツェ
- ヴェネツィア
南部
南北問題の解決を目標としたバノーニ計画に基づいて、日本の新日本製鐵の支援による鉄鋼業が立地。
- タラント(鉄鋼業)
スペイン

- バスク人:ピレネー山脈
- カタルーニャ人:北東部
1986年にEUに加盟したことで、EU市場に向けての生産拠点として、中心地に近い北東部のバルセロナを中心とするカタルーニャ地方に機械・自動車工業などが進出した。
ヨーロッパのサンベルト
- カタルーニャ地方に知識集約型の電子産業や研究所が集中
ノルウェー
原油・天然ガスに依存する経済体質が問題(北海油田)
世界有数の漁業国
水力発電が9割
- 偏西風の風上側に位置するため降水量が多いことに加えて、フィヨルドの急崖が発達しているため、水の落下エネルギーを利用しやすく、水力発電が大半を占めている。
農業や工業に頼れないので、漁業上の利害からEUへの加盟を躊躇している。
スウェーデン
主要産業は機械工業(自動車)、化学工業、林業、ICT。高い技術力を背景とした輸出が経済を支えている。
2003年の国民投票でユーロ導入を否決
社会保障制度は世界最高水準
水力発電・原子力発電が盛ん(それぞれ発電量の約4割を占める)←化石燃料はクリーンじゃないから
フィンランド
かつての主要産業は製紙・パルプなどの木材関連と金属
↓
1990年代後半からエレクトロニクス・ICTなどの先端技術産業が経済の中核をなすようになった
エストニア
電子政府(結婚・離婚を除く行政手続きの99%をインターネット上で完結させることができる)
アイスランド
プレートの広がる境界にあたる大西洋中央海嶺上に位置する火山島で、火山活動が活発。地殻の裂け目から噴出した玄武岩質の溶岩が不毛の台地を形成している。
地熱発電
農業や工業に頼れないので、漁業上の利害からEUへの加盟を躊躇している。
ポーランド

チェコ

ハンガリー
肥沃な風積土レスが堆積し、プスタと呼ばれる温帯草原が広がる。
ルーマニア
スロベニア
カルスト地形が見られる(シュコツィアン洞窟群は世界遺産)

地理の記事・動画一覧はこちら


参考文献
通信教育
学習漫画・参考書
社会科チャンネル
社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。