「内閣不信任決議って何?」
「いつも可決されないけど、可決されない理由ってあるの?」
ってことについて説明をします!
この記事の信頼性
僕(もちお)は元社会科教員
ざっくりと学校の勉強の経歴(?)を書くと、こんな感じ。
- 小学生の時は偏差値40台だったけど、「学年で10位以内に入ったら携帯電話を買ってあげる」という親の甘い言葉で火がつき、猛勉強。その結果、
- 中学生では、塾に行かずに学年1位
- 高校では、学年で1ケタの順位をキープ
- 東大文科三類不合格
- 浪人(Oh…)
- 東大模試で文科三類1位
- 東大に合格
内閣不信任決議とは
内閣不信任決議案は、
「内閣のこと信頼できないから、辞めてください」っていう衆議院(国会)からのクレーム
みたいなものです。
※内閣 = 内閣総理大臣(首相) + その他の国務大臣
(内閣と国会がやっていることや内閣と国会の関係についてわかっていないと、内閣不信任決議は理解できないので)
内閣は、国に必要な政策を考えます(「~したい!」「〜するべきだ!」って考える)。
↓
内閣はそれを、
- 法律案(「〜する」「〜しちゃダメ」というルール)
- 予算案(何にどれだけお金を使うか?の計画)
という形で、文書にします。
↓
その案について、国民に選挙で選ばれた国会議員が集まる国会で話し合ってもらいます。
↓
国会で決まった(可決された)法律や予算にもとづいて、内閣が政治を行います。
(大臣のリーダーシップのもと、○○省・〇○庁などが税金を使って政策を実行する)
これが内閣と国会の関係。
「〜したい!」「〜するべきだ!」って考えて、それを実行する内閣に対して、「お前ダメ!」って伝えるのが内閣不信任決議案です。
内閣不信任決議の流れ
内閣不信任決議の流れについて説明します。
内閣不信任決議案 | 「内閣不信任決議」が成立する前の案の状態のもの。 |
---|---|
内閣不信任案 | (内閣不信任決議案と同じ意味) |
内閣不信任決議 | 「内閣不信任決議案」が成立した状態のもの。 衆議院が内閣を信任しないという明確な意思表示。 |
可決まで
①衆議院議員が、50人以上の賛成者とともに、内閣不信任決議案を衆議院の議長に提出する。
↓
(内閣不信任決議案は、基本的に、最優先で審議される)
↓
②内閣不信任決議案は、委員会審査を省略するのが慣例。
(提出者が、「すぐに本会議で審議してくれ!」と求めて、それが認められるってことになっているらしい)
↓
③衆議院本会議で審議
↓
④衆議院本会議で採決
↓
⑤出席議員数の過半数の賛成で可決。過半数にいかなければ否決。
↓(可決)
⑥可決されたら、
- 内閣は10日以内に衆議院を解散する
- 内閣は総辞職をする
のどちらかになる。
可決後
可決されたら、
- 内閣は10日以内に衆議院を解散する
- 内閣は総辞職をする
のどちらかになります。
(※「3分の2以上の賛成で可決」ではなく、「過半数の賛成で可決」です。)
総辞職
総辞職とは、内閣総理大臣と国務大臣が、その地位を辞めることです。
総辞職したら、新しく内閣総理大臣と国務大臣を決め直すことになります。
衆議院解散
内閣不信任決議の後の衆議院解散は
「ほう、俺たちが信用できないだと!そういうこと言うんだったら、国民に聞いてみようじゃないか!解散!選挙!」ってことです。
衆議院が解散されて、衆議院議員の選挙をした後に、内閣は総辞職することになります。
(結局のところ、内閣総辞職は避けられないのです。だって、「お前ダメ!」っていうのが可決されているので。)
ちなみに、国会が内閣に対して「お前ダメ!」って伝えることができるのは、日本が議院内閣制というシステムを採用しているからです。
議院内閣制っていうのは、「国会あってこその内閣 → 国会と内閣はつながっている」という仕組みのことです。
下記の記事でくわしく解説していますので、よければどうぞ。
内閣不信任決議案は衆議院の特権
内閣不信任決議案は、衆議院のみで提出・審議することができます。
これは、いわゆる「衆議院の優越」の一つです。
なぜ衆議院の優越が認められているのかというと、
衆議院の方が、より国民の意見を反映していると考えられているからです。(参議院よりも任期が短く、解散もあるので)
内閣不信任決議案が可決されない理由
以上、内閣不信任決議の基本的なところを説明しましたが、
実は、内閣不信任決議案はほぼほぼ可決されません。
なぜかというと、内閣不信任決議案は基本的に野党が提出するからです。
※野党 = 内閣にメンバーを送り込めていない政党
内閣(内閣総理大臣+その他の国務大臣)は、衆議院で一番議席を持っている政党(第1党)のメンバーでほぼ構成されています。
内閣不信任決議案を提出して、それに賛成するのは、ほとんどの場合は野党の人なんです。
でも、衆議院の中で議席数が少ない(メンバーが少ない)からこそ、「野党」なわけです。
そんな野党が出した内閣不信任決議案は、多数決では勝てないんですよ。
ってことで、内閣不信任決議案はほぼほぼ可決されません。
ただ、可決された例が4つあります。
与党の中にも「今の内閣はダメだよな!」って思う人が結構いたので、可決されたのです。
1948年 第2次吉田内閣 |
可決後、「馴れ合い解散」 |
---|---|
1953年 第4次吉田内閣 |
可決後、「バカヤロー解散」 |
1980年 第2次大平内閣 |
可決後、「ハプニング解散」 |
1993年 宮澤内閣 |
可決後、「嘘つき解散」 |
※2020年5月現在、1993年の例が最後。
今まで出された内閣不信任決議案の約9割は否決されていますので、過去のデータ的にも、内閣不信任決議案はほぼほぼ可決されないと言えます。
内閣不信任決議案を出す意味
じゃあ、なんのために内閣不信任決議案を出すの?ってなりますよね。
ただ、野党からしたら、内閣不信任決議案を出すことで、「今の内閣はダメだ!」って世間の人にアピールできるっていう効果があります。
アピールすることで、次の選挙を少しでも有利に戦おうとしているわけです。
(ちゃんとしたタイミングで出さないと、「なんで不信任決議案を出すの?」って国民から疑問に思われることがあるので、出しまくれば良いってわけでもない)
まとめ
内閣不信任決議案は、「内閣のこと信頼できないから、辞めてください」っていう衆議院(国会)からのクレームみたいなもの。
可決されたら、
- 内閣は10日以内に衆議院を解散する
- 内閣は総辞職をする
のどちらかになる。
ただ、内閣不信任決議案はほぼほぼ可決されない。
社会科チャンネルはこちら
通信教育
学習漫画・参考書
社会科チャンネル
社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。