議院内閣制ってわかりづらいですよね。
議院内閣制は、理解しづらい「つまずきポイント」だということ。
「内閣が国会の信任にもとづいて成立し、国会に対して連帯して責任を負う仕組み」って何だよ!意味不明!
ってなりがち。(ぶっちゃけ僕も中高生の時、全然わかってなかったです)
そこで本記事では、議院内閣制について説明をします!
この記事の信頼性
僕(もちお)は元社会科教員
ざっくりと学校の勉強の経歴(?)を書くと、こんな感じ。
- 小学生の時は偏差値40台だったけど、「学年で10位以内に入ったら携帯電話を買ってあげる」という親の甘い言葉で火がつき、猛勉強。その結果、
- 中学生では、塾に行かずに学年1位
- 高校では、学年で1ケタの順位をキープ
- 東大文科三類不合格
- 浪人(Oh…)
- 東大模試で文科三類1位
- 東大に合格
議院内閣制とは
議院内閣制とは
内閣が国会の信任のもとに成立し、国会に対し連帯責任を負う制度
でも、これだけだとよくわからないですよね。
もう少しくわしく説明すると、こうです。
「内閣が国会の信任のもとに成立し」
=内閣総理大臣と国務大臣は、衆議院で最も議席数が多い政党の国会議員から、ほぼ選ばれる
「国会に対し連帯責任を負う」
=内閣は国会と近い関係にあるので、国会に「内閣、おまえダメ!」って言われたら、
- 内閣はそれにしたがう
- 内閣は国会を道連れにする
の、どちらかを選ぶ
とりあえず、
議院内閣制は、「国会と内閣がつながっている!(= 三権分立とは逆の方向!)」ということ
っていうイメージでとらえると理解しやすいです。
で、このイメージをつかむためには、三権分立について理解しておく必要です。
三権分立
三権分立
- 立法権は国会に
- 行政権は内閣に
- 司法権は裁判所に
受け持たせ、権力が一つの機関に集中しないようにする制度
※国会 = 衆議院 + 参議院
※内閣 = 内閣総理大臣(首相) + その他の国務大臣
このような三権分立の仕組みをとって、三権が互いに抑制しあってバランスを保つことによって、権力の行き過ぎを防ごうとしています。
議院内閣制は三権分立とは逆の方向
議院内閣制のもとでは、三権分立の図はこのようになります。
三権(立法権・行政権・司法権)が完全に分立してバランスを保っているのではなく、国会と内閣が近い関係にあるということです。
議院内閣制とは
内閣が国会の信任のもとに成立し、国会に対し連帯責任を負う制度
「内閣が国会の信任のもとに成立し」とは
内閣総理大臣と国務大臣は、衆議院で最も議席数が多い政党の国会議員から、ほぼ選ばれる
ということです。
日本国憲法では、このような条文があります。
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。(第67条)
内閣総理大臣は、衆議院議員から選ばれています。(今まで参議院議員から選ばれたことはない)
じゃあ、内閣総理大臣はどうやって選ばれるのか?というと、国会議員による選挙で選ばれます。
で、国会議員は自分の政党の党首に投票することがほとんど。
なので、ほぼ間違いなく衆議院で一番議席数の多い政党の党首が内閣総理大臣に選ばれることになります。
(自由民主党が衆議院で一番議席数の多い政党→党首の安倍晋三さんが内閣総理大臣に選ばれている)
このように、内閣総理大臣は、衆議院で最も議席数が多い政党と近い関係になります。
また、日本国憲法には、このような条文もあります。
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばなければならない。(第68条)
内閣総理大臣が国務大臣を任命して、その過半数は国会議員の中から選ばれます。
なので、国務大臣は、衆議院で最も議席数が多い政党の国会議員の人が務めることが多いです。
(国会議員以外の人や、他の政党の人が選ばれることもある。そのあたりは、内閣総理大臣のさじ加減=バランス感覚。)
以上のように、
内閣総理大臣と国務大臣は、衆議院で最も議席数が多い政党の国会議員から、ほぼ選ばれる
のです。
これが、「内閣が国会の信任のもとに成立し」の部分の意味です。
そうすると、「国会があってこその内閣」ってことになるので、内閣は「国会に対し連帯責任を負う」ことになります。
「国会に対し連帯責任を負う」とは
内閣は国会と近い関係にあるので、国会に「内閣、おまえダメ!」って言われたら、
- 内閣はそれにしたがう
- 内閣は国会を道連れにする
の、どちらかを選ぶ
ということです。
日本国憲法では、このような条文があります。
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。(69条)
※内閣信任決議案が出されることはものすごくレアなことなので、省略。
内閣不信任決議ってのは、「いまの内閣に政治を任せるのはやめよう!」ってことです。
「国会があってこその内閣」という関係なので、
内閣が国会(衆議院)から「いまの内閣は政権を担当するのにふさわしくない」って言われているのに、そのまま政権を担当するのはおかしいんです。
なので、内閣は何かしらのアクションを起こさなければいけません。
1つ目が「総辞職」です。
これは、内閣総理大臣と国務大臣が、その地位を辞めることです。
総辞職したら、新しく内閣総理大臣と国務大臣を決め直すことになります。
2つ目が「衆議院の解散」です。
これは、「ほう、俺たちが信用できないだと!そういうこと言うんだったら、国民に聞いてみようじゃないか!解散!選挙!」ってことです。
解散する場合、内閣は10日以内にやらないといけません。
衆議院が解散されれば、「国会あってこその内閣」なので、結局は内閣も総辞職する運命になります。
以上のように、
内閣は国会と近い関係にあるので、国会に「内閣、おまえダメ!」って言われたら、
- 内閣はそれにしたがう
- 内閣は国会を道連れにする
の、どちらかを選ぶ
のです。
まとめ
議院内閣制とは
内閣が国会の信任のもとに成立し、国会に対し連帯責任を負う制度
「内閣が国会の信任のもとに成立し」
=内閣総理大臣と国務大臣は、衆議院で最も議席数が多い政党の国会議員から、ほぼ選ばれる
「国会に対し連帯責任を負う」
=内閣は国会と近い関係にあるので、国会に「内閣、おまえダメ!」って言われたら、
- 内閣はそれにしたがう
- 内閣は国会を道連れにする
の、どちらかを選ぶ
ちなみに、「議員内閣制」って書いてバツになる人が多いので、書くときには気をつけてください!
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