国会についてざっくりまとめました!
国会とは
国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関
- 国権の最高機関=選挙によって選ばれた全国民の代表機関である
- 唯一の立法機関=国会以外で法律を作ることができない
国会が必要な理由
人間が生きるために必要なものはそんなに多くない。
- 水
- 食べ物
- 安全
↓
しかし、それら必要なものを手に入れるためには様々な活動が必要。
- きれいな水を見つける、水を運ぶ(→水の確保)
- 狩猟、採集、農業、林業、水産業など(→食べ物の確保)
- 衣服を作る、住居を作る(→安全の確保)
↓
これらの活動をすべて一人でやるのは大変。
人間は自分が持っていないものを手に入れたいという欲求がある。(→交換、略奪)
人間には種の保存という本能もある。
↓
人間は一人ではなくグループを作って生活をする。こうしてできたグループが「社会」。
↓
人間は全員が同じ考えを持っているわけではないので、社会の中で意見の食い違い(対立)が生じる。
↓
対立を調整するために毎回話し合うのは大変なので、「〜しましょう」「〜するのはダメ」っていうルールを作ると便利
↓
ルールを作るための場所が必要
その場所が国会!
社会をちゃんと機能させるためには、様々なシステムが必要。
- 他の人とコミュニケーションをするためのツール(=言語、文字、絵画、記号)
- ルール(法)
- ルールを破られないようにするための仕組み(刑罰)
- トラブルが起きた時の解決方法(裁判)
- 合意形成のための仕組み(政治)
- 弱者を救済するための仕組み(社会福祉)
- グループの中で、もしくは他グループとの間でモノを交換するための決まり(→お金)
- モノの交換や他グループとの交流を楽に素早く行うための仕組み(交通)
- 他グループから自らのグループを守るための仕組み(軍事)
などなど
社会のルール(社会規範)とは
社会規範
人間の行動や社会生活を律する基準をいう。法・宗教・道徳・慣習などとして存在する。
法
社会規範の一つで、国家権力に裏付けられた強制力をもつもの。
→これを国会で話し合って作る!
宗教
神や仏などの対象物を信仰し、救い・安心・幸福を得ようとする人間の働きのこと。
引用:政治・経済用語集
道徳
社会規範の一つで、人間の良心に支えられ、権力の強制がなくても守るべきとされるもの。
伝統
社会規範の一つで、ある社会の中で法によらず人々の間に何世代にも渡って受け継がれてきたもの。
慣習
社会規範の一つで、ある社会の中で法によらず人々の間に受け継がれてきたもの。
国会議員はなぜ必要なのか?
人間は全員が同じ考えを持っているわけではないので、社会の中で意見の食い違い(対立)が生じる。
↓
対立を調整する(=政治)ために全員で話し合うのは大変。対立の調整に時間がかかりすぎて「生きるために必要な活動」が疎かになったら、何のためにグループを作ったのかわからない。※2人(夫婦)でも揉めるんだから、人数が多いとなおさら・・・
↓
全員で話し合うのではなく、代表メンバーが話し合う。
「グループのための活動」を担う代表メンバーが登場する。
この代表メンバーを選ぶ作業が「選挙」!
国の代表メンバー→国会議員
地域の代表メンバー→地方議員
国会議員の地位
国会議員は国会が開かれている間は原則、逮捕されない(不逮捕特権)
議院内の演説や言論について法的な責任を問われない(免責特権)
〔両議院議員相互兼職の禁止〕
第四十八条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
〔議員の歳費〕
第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
〔議員の不逮捕特権〕
第五十条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
〔議員の発言表決の無答責〕
第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
〔資格争訟〕
第五十五条 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
〔役員の選任及び議院の自律権〕
第五十八条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
国会と内閣との関係
国会の仕組み
国会の役割・仕事
- 法律の制定(ルールを作る)
- 予算の審議・議決(政策を実行するためのお金の配分を決める)
- 条約の承認(外交官が結んできた外国との間のルールを認める)
- 内閣総理大臣の指名(政策を実行するチームのリーダーを決める)
ここまでが基本の仕事だと思ってOK。
それ以外にも仕事がある。
- 国政調査権
- 弾劾裁判所の設置
- 憲法改正の発議
〔法律の成立〕
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
〔衆議院の予算先議権及び予算の議決〕
第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
〔条約締結の承認〕
第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
〔議院の国政調査権〕
第六十二条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
〔弾劾裁判所〕
第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
〔内閣総理大臣の指名〕
第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
〔憲法改正の発議、国民投票及び公布〕
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
議決は基本的に多数決
人間は一人一人いろんな考えを持っているので、全員の意見は一致しないのが普通。
(例)
友達10人グループでディズニーランドに行った時に「次に乗るアトラクションどうする?」ってのを決める時
- 4人は「スプラッシュマウンテン」
- 3人は「カリブの海賊」
- 3人は「メリーゴーランド」
って感じで、一人一人の意見は分かれる。
このような時、全員の意見を実現するのは不可能(同時にスプラッシュマウンテン・カリブの海賊・メリーゴーランドに乗るのはムリ)。
つまり
何らかの結論を出す=それ以外の意見を拒絶する
ということ。んで、その結論の出し方の一つの方法が多数決。
民主主義 ← 物事を決める時の参加人数の概念
多数決 ← 一つの結論を出す時の方法(=他の結論を諦めさせるための方法)の概念
多数決はあくまで結論の出し方に過ぎないので、結論の正しさとは無関係(「多数派だから正しい」ってことはない)。
→多数派という強者の立場から少数派(という弱者)をバカにするのは絶対にNG
関連:民主主義について
〔議事の定足数と過半数議決〕
第五十六条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
法律・予算ができるまで
内閣は、国に必要な政策を考える(「~したい!」「〜するべきだ!」って考える)。
↓
内閣はそれを、
- 法律案(「〜する」「〜しちゃダメ」というルール)
- 予算案(何にどれだけお金を使うか?の計画)
という形で、文書にする。
↓
その案について、国民に選挙で選ばれた国会議員が集まる国会で話し合う。
↓
国会で決まった(可決された)法律や予算にもとづいて、内閣が政治を行う。
(大臣のリーダーシップのもと、○○省・〇○庁などが税金を使って政策を実行する)
国会の構成
二院制
衆議院と参議院からなる(二院制)
衆議院と参議院の性質が同じにならないように、衆議院議員と参議院議員の任期や選び方が異なる。
国会の議決は衆議院と参議院の両方の議決が一致した時に成立する。
関連:参議院議員選挙の仕組み
二院制のメリット
・慎重に審議することができる
・国民の意見をより公平に代表することができる
・
二院制のデメリット
・審議に時間がかかる
・
・
〔二院制〕
第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
〔両議院の組織〕
第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
衆議院の優越
原則:国会の議決は衆議院と参議院の両方の議決が一致した時に成立する。
例外①:両院の議決が異なった時は両院で協議を行う(両院協議会)
例外②:両院の対立により国会が機能停止に陥らないように、衆議院の優越が認められている
衆議院の優越が認められている内容
衆議院の優越が認められている理由
参議院よりも任期が短く解散もあるという点で、衆議院の方がより国民の意見を反映していると考えられているから。
〔議員及び選挙人の資格〕
第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
〔衆議院議員の任期〕
第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
〔参議院議員の任期〕
第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
〔議員の選挙〕
第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
国会の種類(いつ話し合うのか?)
常会(通常国会)
召集タイミング | 毎年1月 |
---|---|
会期 | 150日間(延長は1回まで) |
臨時会(臨時国会)
召集タイミング | 内閣が必要と認めた時 or いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求がある時 |
---|---|
会期 | 不定 |
特別会(特別国会)
召集タイミング | 衆議院総選挙後30日以内 |
---|---|
会期 | 不定 |
参議院の緊急集会
召集タイミング | 衆議院解散中に内閣が必要と認めた時 |
---|---|
会期 | 不定 |
〔常会〕
第五十二条 国会の常会は、毎年一回これを召集する。
〔臨時会〕
第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
〔総選挙、特別会及び緊急集会〕
第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
〔議事の定足数と過半数議決〕
第五十六条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
〔会議の公開と会議録〕
第五十七条 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
〔国務大臣の出席〕
第六十三条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
論点
参考文献
公民の記事・動画一覧はこちら
【公民・政治経済サイト】中学公民・高校政治経済をわかりやすく解説
公民を解説したYouTube動画まとめ(準備中)
通信教育
学習漫画・参考書
社会科チャンネル
社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。