衆院選って、
- なんで総選挙って言うの?
- なんで3回も投票箱に紙を入れるの??
- 小選挙区制比例代表並立制ってなんぞ???
- ドント式????
- 拘束名簿式?????
- 惜敗率??????
このあたりがわかりにくいポイントですよね。ってことで、これらについてなるべくわかりやすく説明します!
衆議院議員選挙(総選挙)の仕組み
すべての議員を一気に選ぶから「総選挙」
衆院選の場合、すべての議員をいっせいに選ぶので「総選挙」と言います。
衆議院議員は、
- 4年の任期を満了した後
- 衆議院の解散が行われた後
のいずれかのタイミングですべての議員をいっせいに選挙する。
一方、参議院議員の選挙のことは「総選挙」とは言いません。参議院議員は3年ごとに「半分ずつ」選挙されるからです。
参議院議員選挙のことは「通常選挙」と呼びます。
衆院選の投票所では3回投票する
衆院選の投票所では、僕たちは
- 小選挙区選挙で1回
- 比例代表選挙で1回
- 最高裁判所裁判官国民審査で1回
の合計3回、投票箱に投票用紙を入れることになります。
最高裁判所裁判官国民審査ってのは「最高裁判所の裁判官をやめさせることができる仕組み」で、衆議院議員選挙とは関係ないんですけど、
国民審査は衆議院議員選挙の投票日に行う!
ってことになっています。ってことで、衆院選の投票所で僕たちは2+1=3回投票するわけです。
投票①(小選挙区選挙) | 自分が住んでいる選挙区に立候補している人の名前を書く |
---|---|
投票②(比例代表選挙) | 政党の名前を書く |
投票③(国民審査) | 辞めさせたい裁判官のところに×を書く |
立候補者は2回チャンスがある(小選挙区比例代表並立制)
「衆議院議員になりたい!」って思った人は、
- 小選挙区選挙
- 比例代表選挙
の両方に立候補(重複立候補)することができるので、2回チャンスがある!ってことになっています。
このことを小選挙区比例代表並立制と言います。
小選挙区制
小選挙区選挙では、全国を289の選挙区に分けて、それぞれの選挙区から1人ずつ、合計289人の議員を選びます。
例えば、東京都の千代田区や新宿区あたりは「東京1区」という選挙区になっていてます。
この選挙区で立候補(出馬)している候補者の中で、得票数が一番多かった人が 衆議院議員に選ばれることになります。
引用:NHK
ちなみにこの表は、2017年10月の衆議院議員選挙の東京1区のデータです。
ただ、この表では、東京1区で得票数が2位だった候補者も衆議院議員になることができています。
なんで小選挙区制で2位になって落選したのに衆議院議員になることができたのか?というと、立候補者には2回チャンスがあるから。
この人、比例代表制で「復活当選」したんです。
比例代表制
比例代表制では、全国を11ブロックに分けて、全ブロック合わせて176人の議員を選びます。
北海道ブロック |
8 |
東北ブロック(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県) |
13 |
北関東ブロック(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県) |
19 |
南関東ブロック(千葉県、神奈川県、山梨県) |
22 |
東京ブロック(東京都) |
17 |
北陸信越ブロック(新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県) |
11 |
東海ブロック(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県) |
21 |
近畿ブロック(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県) |
28 |
中国ブロック(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県) |
11 |
四国ブロック(徳島県、香川県、愛媛県、高知県) |
6 |
九州ブロック(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県) |
20 |
比例代表制では、僕たちは投票用紙に政党の名前を書きます。
で、各政党の得票数に応じて、政党ごとの当選人数を決めて、議員になる人が決まります。
じゃあ、「政党ごとの得票数」から「政党ごとの当選人数」をどうやって決めるのか?というと、、、
「ドント式」と呼ばれる方法で、議席数を分配します。
ドント式で比例代表制の政党ごとの当選人数を決める
ドント式 = 政党得票数を1,2,…の整数で割り、商の多い順に議席を分配する方法
例えば、A政党〜D政党の比例代表制での得票数が
- A政党:1,500,000票
- B政党:860,000票
- C政党:760,000票
- D政党:300,000票
で、定数が6人だったとします。
それぞれの政党の得票数の合計を1で割った数字、2で割った数字、3で割った数字、4で割った数字、、、を計算します。
この数字(=商)の中から数字が大きい順に議席を分配するので、
- A政党:3人当選
- B政党:2人当選
- C政党:1人当選
となります。
じゃあ、「政党ごとの当選人数」の中から「実際に当選する人物」をどうやって決めるのか?というと、、、
「拘束名簿式」という方法に基づいて決まります。
拘束名簿式
衆議院議員選挙では、政党ごとに「比例代表制で当選させたい順に候補者名を並べた名簿」をあらかじめ作っておくことになっています。
その名簿に基づいて、「実際に当選する人物」が決まります。
A政党が
- エーコさん
- エースケくん
- エーイチくん
- エーイチロウくん
の順番で名簿を作っていたとしたら、上から3人当選することになります。
だから例えばエーコさんが小選挙区制で落選していたとしても、比例代表で「復活当選」して衆議院議員になることができるわけです。あっぱれ。
つまり、政党的にどうしても当選させたい人がいる場合は、その人を名簿の1位にしておけばOKってことです。
惜敗率
ただ、2017年10月の衆議院議員選挙の比例代表制の東京ブロックのデータを見てみると、、、
引用:NHK
名簿順位が1位の人が何人もいることに気づきます。
「名簿順位が1位の候補者が4人いて、でもその政党が3議席しか獲得できなかったとしたら、どうやって4人の中から3人を選ぶの?」っていう疑問がわきますが、、、
この場合、同じ名簿順位の中から「惜敗率」の高い順に当選します。
惜敗率 = (小選挙区での落選者の得票数) ÷ (その小選挙区での当選者の得票数) × 100
小選挙区制で負けた時にどれだけ惜しい敗北だったか?を表す数字です。
例えばある同じ小選挙区の中で
- タロウくんが100票
- ジロウくんが99票
で、タロウくんが当選した場合、ジロウくんはむっちゃ惜しい敗北ですよね。
んで、惜敗率を計算すると、99 ÷ 100 × 100 = 99%となります。惜敗率99%はかなり高い数字なので、同じ名簿順位の人が何人かいても当選しそうです。
つまり、名簿順位が同じ候補者がたくさんいたとしたら、小選挙区制でなるべく票数を獲得しておいた方が当選しやすくなるってことです。
https://social-studies-magazine.com/house-of-councillors-election
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