農業についてまとめました!(中学地理〜高校地理レベル)
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農業
分布に関する話
農業ができる場所とできない場所がある。場所によって農業の種類も違う。
なぜか?
自然条件 | 気候、地形、土壌、灌漑のしやすさ |
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社会条件 | 競争優位性(市場の大きさ、市場までの距離、生産性など)、文化(伝統や生活様式)、農業技術、機械や肥料の普及具合、国家政策 |
が農業のあり方に影響を与えるから。
※灌漑(かんがい)=農作物の栽培に必要な水を人工的に耕地に供給すること。
質に関する話
なるべく小さなインプットで、多くのアウトプットを得たい。
- インプット:労働力、土地、資本(化学肥料、農薬など)
- アウトプット:作物
アウトプット÷インプット=生産性
土地生産性 | 単位面積あたりの土地によって得られる生産量の大きさ |
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労働生産性 | 単位時間あたりの労働力によって得られる生産量の大きさ |
→適地適作=その土地の自然条件・社会条件に最も適した作物を栽培する方式。
一定面積の農地に対する労働力や資本の投下度のことを集約度という。
- 集約度が高い→集約的農業
- 集約度が低い→粗放的農業
生産性を高めるための工夫
二毛作 | 1年の間に2種類の農作物を同じ耕地で栽培する。 |
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二期作 | 1年の間に同じ農作物を同じ耕地で2回栽培する。 |
連作 | 同じ農作物を同じ耕地で毎年栽培する(→年々収穫量は減少するが、水稲の場合は減少しにくい)。 |
輪作 | 異なる農作物を同じ耕地で年ごとに循環的に作付けする(→地力の消耗を防ぐ)。 |
肥料 |
肥料について
農作物の生育の際は、窒素、リン酸、カリウムが多く消費される。そのため、補充が必要になる(→肥料)。
- 有機肥料:動植物を原料とする
- 無機肥料:化学工業で生産される(→化学肥料)
化学肥料の多くは水溶性で吸収されやすく、貯蔵しやすく、運搬しやすい。
有機農業:無機肥料や農薬などを使わないで作物を栽培する農業。
目的に関する話
自給的農業 | 主に自分たちで食べるために生産する農業 |
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商業的農業・企業的農業 | 主に誰かに販売するために生産する農業(※企業的農業は商業的農業より大規模) |
- 自給作物:自分たちで食べるために栽培する作物。
- 商品作物:商品として市場に出荷するために栽培する作物。
経営形態に関する話
自作農 | 耕地の全部またはそのほとんどが自分の所有地である農家。(→耕作を他人に委託する請負耕作を行う例も) |
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小作農 | 耕地の多くが地主などの所有地である農家。土地の借用料(地代)を支払う。 |
地主 | 自分の所有地などを小作農に貸し付けて、小作農から土地の借用料(地代)を得る。(規模が大きくなると、大土地所有制になる) |
農業の種類
ホイットルセーの区分(1936年)が有名。
原始的農牧業
- 移動式農業
- 焼畑農業
- 遊牧
アジア式農業
- アジア式稲作農業
- アジア式畑作農業
- オアシス農業
ヨーロッパ式農牧業
- 混合農業
- 酪農
- 地中海式農業
- 園芸農業
新大陸・熱帯の企業的農牧業
- 企業的穀物農業
- 企業的放牧業
- プランテーション農業
原始的農牧業
移動式農業
覚えなくてOK
焼畑農業
【内容】
森林や草原を焼くことで農地を作り、草木灰を肥料にして作物を栽培する。
→数年間耕作をして地力が低下したら、耕地を放棄して違う場所で焼畑を行う。
【分布】
主に熱帯地域で見られる。
(理由)養分に乏しいラトソルという土壌において農業をするためには、森林や草原を焼いて草木灰を肥料にする必要がある。
【生産物】
- イモ類(キャッサバ、タロイモ、ヤムイモ)
- 雑穀(アワ、ヒエなど)
【問題点】
人口増加などによって焼畑のサイクルが短くなり、森林や草原が回復する前に焼畑を行うと、地力の低下が激しくなって森林の再生が難しくなる。
遊牧
【内容】
自然の草や水を求めて、家畜とともに広い範囲を移動する。
【分布】
- 乾燥地域(西アジア、北アフリカ)
- 寒冷地域(北極海沿岸)
- 高山地域(チベット高原、アンデス山脈)
【生産物】
乳、肉、毛、皮革、排泄物(→燃料)
- 乾燥地域:羊、ヤギ
- モンゴル:馬
- サハラ砂漠やアラビア半島:ラクダ
- 北極海沿岸:トナカイ
- アンデス山脈:リャマ、アルパカ
- チベット高原:ヤク
アジア式農業
アジア式稲作農業
【内容】
季節風の影響を受ける平野などで見られる、稲作を中心とした集約的農業。
【分布】
モンスーンアジア。年降水量1000mm以上の地域。
【生産物】
米
【問題点】
アジア式畑作農業
【内容】
アジアの冷涼・乾燥した地域に見られる、畑作を中心とした集約的農業。
【分布】
年降水量500〜1000mmの地域
- 中国の華北・東北地方
- インドのデカン高原・パンジャブ地方
【生産物】
小麦、雑穀、綿花、大豆など
【問題点】
オアシス農業
【内容】
乾燥地域の中で、水が得られる場所で行われる集約的農業。
【分布】
ナイル川流域
メソポタミア地方
イラン高原
サハラ砂漠
※灌漑のための地下水路の名称
カナート(@イラン)
フォガラ(@北アフリカ)
【生産物】
穀物、綿花、ナツメヤシ、油ヤシ、ココヤシなど
【問題点】
ヨーロッパ式農牧業
混合農業
【内容】
主食となる穀物と飼料作物の輪作と、牛・豚などの家畜の飼育を組み合わせた農業。
【分布】
- 西ヨーロッパ
- アメリカ合衆国のトウモロコシ地帯
- アルゼンチンのパンパ
【生産物】
- 小麦、ライ麦
- トウモロコシ、根菜類、牧草
【問題点】
酪農
【内容】
飼料作物を栽培して乳牛を飼育し、乳製品を生産する農業。
※夏季は山地で放牧し、冬季は谷間で舎飼いする酪農は、移牧とも呼ばれる。
【分布】
冷涼・湿潤な気候で消費地に近い地域。
- 西ヨーロッパの北海沿岸
- アメリカ合衆国の五大湖沿岸
【生産物】
- 消費地に近いエリア→生乳、クリーム
- 消費地から遠いエリア→バター、チーズ
【問題点】
地中海式農業
【内容】
地中海性気候(夏に乾燥する)を利用して、乾燥に強い樹木作物と穀物を栽培する農業。
【分布】
- 地中海沿岸
- カリフォルニア
- チリ中部
【生産物】
- 夏→オリーブ、ブドウ、柑橘類、コルクガシ
- 冬→小麦など
【問題点】
園芸農業
【内容】
都市への出荷を目的に野菜、果樹、花卉などを集約的に栽培する農業。
出荷時期をズラして市場価値をアップさせる工夫
促成栽培:温室やビニールハウスなどを利用して作物の成長を促進させて出荷時期を早める。
※逆に、出荷時期を遅くする抑制栽培もある。
【分布】
大都市周辺
- ヨーロッパの北海・地中海沿岸
- 北アメリカの大西洋沿岸
近郊農業:消費地周辺で行う園芸農業
輸送園芸:消費地の遠隔地で生産し、遠距離輸送する園芸農業
【生産物】
野菜、果樹、花卉
【問題点】
新大陸・熱帯の企業的農牧業
企業的穀物農業
【内容】
小麦などの穀物を大規模に栽培して販売する農業。
【分布】
新大陸やロシアなどの半乾燥地域
- アメリカ合衆国からカナダにかけてのプレーリー
- アルゼンチンのパンパ
- ウクライナからロシアにかけてのチェルノーゼム地帯
- オーストラリアのマリーダーリング盆地
【生産物】
小麦などの穀物
【問題点】
企業的放牧業
【内容】
畜産物を大規模に生産して販売する農業。
【分布】
新大陸のステップ気候の地域
- アメリカ合衆国のグレートプレーンズ
- ブラジル高原
- アルゼンチン南部
- オーストラリア内陸部
【生産物】
畜産物
【問題点】
プランテーション農業
【内容】
熱帯・亜熱帯に見られる大規模な農園農業。欧米人が資本や技術を投入し、地元民や移民の安価で豊富な労働力を利用して、商品作物を大量に単一耕作する。
【分布】
熱帯・亜熱帯
【生産物】
サトウキビ、カカオ豆、コーヒー豆、天然ゴム
【問題点】
日本の農業の課題
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通信教育
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