朝鮮半島(北朝鮮・韓国)の地形と気候をわかりやすく:権力集中に向かう自然環境
朝鮮半島は、中央集権型の国家ができやすい地域である。
その背景には、朝鮮半島の地形と気候の特徴がある。

朝鮮半島の地形
地形の大前提
- 山を越えるのはしんどい
- 平地なら、人やモノの移動がしやすい
この2つを基本にして、朝鮮半島の山や平野を見ていく。


朝鮮半島の山脈
朝鮮半島の大部分は古期造山帯(変成岩や火成岩が多い)で、山がち。
東側に山脈が連なる。東高西低の地形。
ハムギョン山脈 | |
ケマ高原 |
テベク山脈 | |
ソベク山脈 |

朝鮮半島の平野
西側には比較的なだらかな地形があるが、全体で見ると人が暮らしやすい平地は限られている。
東高西低の地形。

※古代から中世にかけての朝鮮半島の歴史を見ても、最も広い平野である「ソウル(漢城)の近く」を押さえた国が、政治・経済・軍事の面で有利に立っていた。(例:初期の百済、新羅、高麗、李氏朝鮮)
朝鮮半島の河川
大河川がない。東高西低の地形で、川はすぐに西側の海に注いでしまう。
ゆえに、「大きな川が広い平野をつくる」という地形(=沖積平野)が見られない。
鴨緑江(アムノック川) | 北朝鮮と中国の国境沿いを流れる。 |
大同江(テドン川) | 北朝鮮の南西部(平壌)を流れる。 |
臨津江(イムジン川) |
漢江(ハン川) | 韓国の北西部(ソウル〜仁川)を流れる。 |
洛東江(ナクトン川) | 韓国の南東部(慶尚北道~釜山)を流れる。 |
錦江(クム川) | 韓国の中西部(大田~群山)を流れる。 |

朝鮮半島(北朝鮮・韓国)の気候

ここまで地形を見てきたが、それと同じくらい重要なのが「気候」。
なぜなら、気候は人々の暮らし方や農業の発展に直結するから。
参考:気候をわかりやすく①:なぜ地球上にはいろんな気候が見られるのか?【大気の循環】
参考:気候をわかりやすく②:なぜ地球上にはいろんな気候が見られるのか?【気候因子】
気候の大前提
温暖で雨が多い地域(農業がしやすい地域)は生活しやすく、人が集まりやすい。
朝鮮半島の気候の仕組み
季節風(モンスーン)の影響を強く受ける。
- 夏:南の海洋からの暖かく湿った風が吹き、降水量が多くなる
- 冬:北の内陸からの冷たく乾いた風が吹き、降水量が少なくなる

冬になると北西からの季節風が大陸で冷やされたまま吹き込むため、緯度のわりに寒さが厳しく、乾燥する。
- ユーラシア大陸の東部でモンスーンが吹く理由
-
ユーラシア大陸の東部でモンスーン(季節風)が吹くのは「ユーラシア大陸の東部は”陸地らしさ”がものすごく強く発揮される」から。
ユーラシア大陸の西岸(ヨーロッパ)では、海の上を吹く偏西風の影響で陸地の気温の上昇・下降にブレーキがかかる。
しかし、その影響(海洋性の湿った空気の影響)は大陸の東部までは届かない。ユーラシア大陸はあまりにも東西に広い大陸だから。(※偏西風自体はユーラシア大陸東部にも届いているが、風の湿度や温度が変わっている)
この結果、ユーラシア大陸の東部では「温まりやすく冷めやすい」という陸地の性質がモロに発揮される。
しかもユーラシア大陸の東部の陸地は広い。南北に広がる形状になっている。
そのため、「温まりやすく冷めやすい」という陸地の性質はさらに発揮されやすくなる。
こうして、
- 夏は陸地の気温が高くなって上昇気流が生じるので海から強く風が吹き込むことになり、
- 冬は陸地の気温が低くなって下降気流が生じるので海へと強く風が吹き出すことになる。
これがモンスーン(季節風)がユーラシア大陸の東部で吹く理由。
地域ごとの気候区分
北朝鮮 | 大部分が冷帯(Dw) |
韓国 | 北部:冷帯(Dw) 南部:温帯(Cfa、Cw) |
重要ポイント
決して恵まれた土地とは言えない
朝鮮半島は、地理的に決して恵まれた土地とは言えない。

地形 | 国土の約7割を山が占め、平野部が限られている。東側は山が海沿いまで迫っており、港として活用するのが難しい地域が多い。西側には比較的なだらかな地形もあるが、国全体で見ると人が暮らしやすい平地は限られている。 |
気候 | 夏は暑く湿気が高い一方、冬はシベリアからの厳しい寒波にさらされる。(→食料の保存が課題になり、冬を乗り越えるための保存食としてキムチ文化が発達) |
資源 | 北部を除けば鉱産資源は乏しく、産業に必要な原材料やエネルギーを国内だけでまかなうのは困難。 |
広い平野が少なく、山地が国土の大部分を占めているという地形は、産業集積を困難にさせている。
「集中」に向かう地理的条件
こうした地理的な条件の中で、朝鮮半島は、限られた土地と資源を効率的に活用する必要に迫られた。
また、山が多く、平野が小規模に分かれて点在する地形では、大きな独立した地方勢力が育ちにくい。
そのため、社会のあり方も、「分散してそれぞれが強くなる」より、「力を一箇所に集中させる」方向に進みやすかった。
