【解説&掘り下げ】2024共通テスト地理B 大問3 都市と生活文化
共通テスト地理(※)で9割超え、理想は満点!を目指していた僕が、実際にどんなふうに問題に取り組んでいたのかを紹介します。(※僕が受験生だった時はセンター試験でした)
70〜80点台で伸び悩んでいる人にとって、きっと参考になると思います!
大きく2つの場面に分けて解説します。
1. 問題を解いている最中の思考
- ① 時間を意識しながら、どうやって答えを特定していくか
- ② 自信がない時・迷った時に、どうやって確証を得るか
2. 解き終わった後の復習(事後学習)
- ③ 教科書知識の確認と、そこからの深掘り・整理
問題
問題は東進ハイスクールさん等のページを参照してください…!
解答番号13(日本の都心・郊外・臨海地域の変化)
問題を解いている最中の思考
ア:高度経済成長期からバブル経済期にかけて、地価が上昇したのは都心。バブル崩壊後、都心で地価が下落したので、再び人口が増加した。高層ビルが写っているBだろう。
イ:高度経済成長期に大都市圏に人が集まった結果、郊外に住宅街(ニュータウン)が開発された。現在では、当時ニュータウンに転入した世代が年齢を重ね、街の高齢化が進んでいる。団地が写っているCだろう。
ウ:高度経済成長期には、大都市圏の臨海地域が埋め立てられ、多数の工場が建設された。しかし中国や東南アジアの低賃金労働力を求めて、工場の移転が進んだ。大阪湾が代表例。文にあるレジャー施設の具体例はUSJ。工場っぽい建物が見られるAだろう。
よって答えは⑤。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
バブル崩壊後、都心回帰が起きたのはなぜ?地価が下落したから、っていうのはわかるけど、それだけで都心回帰が急激に起こるのかな?
1.バブル崩壊による地価下落
- バブル崩壊で地価が暴落し、普通のサラリーマンでも「頑張れば都心の住宅に手が届く」状態に戻った。
2.工場の海外移転
- 円高や産業構造の変化で、東京の湾岸部(豊洲、有明など)や川崎(武蔵小杉など)にあった巨大な工場や倉庫が次々と閉鎖・海外移転し、都心に「広大でまとまった土地」が生まれた。
3.規制緩和(容積率の緩和)
- バブル崩壊後、高度経済成長期に建設されたビルの老朽化が進んでいた中で、景気低迷から抜け出すための一つの策として、1990年代末から超高層ビルを建てやすくするための規制緩和が行われた。
※免震技術の工場も高層ビルの建築を後押し。
これらが重なったことで、2000年代以降、都心でのタワーマンションや高層オフィスビルの建設が加速した。
工場の移転については、2023年共通テスト地理B解答番号15と2024年共通テスト地理B解答番号11で。
解答番号14(昼夜間人口比率)
問題を解いている最中の思考
昼夜間人口比率は、住宅街が少なく、職場が多く集まる地域で大きな値になる。
東京都心の中央区は極めて大きい値になるはず。また、鉄道網が発達しているので、電車通勤・通学が多い。
一方、都心に働きに行く人が多い東京郊外の調布市は小さくなるはず。鉄道網が発達しているので、鉄道利用の割合が高くなるはず。
福岡市は職場が多く集まるが、同時に住宅街もそれなりにあるコンパクトシティ的な地域なので、昼夜間人口比率は大きくも小さくもならないだろう。福岡市も鉄道網が発達しているので、鉄道利用の割合が高くなるはず。あと福岡は何気にバスの交通網が発達している。
秋田市は職場や学校が少なく、周辺から通勤・通学者が集まる地域ではない。かといって周りに大きな都市はない。昼夜間人口比率は大きくも小さくもならないだろう。また、大都市ではないので鉄道網は発達していない。自家用車で移動する人がほとんどなはず。
ということで、①が中央区。②が福岡市。バスの割合が何気に高い。③は秋田市。自家用車の割合が突出して高い。④は調布市。ベッドタウンらしく昼夜間人口比率が小さい。
よって答えは②。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
福岡市って思ったよりは鉄道網が発達していないんだな。なぜだろう?
福岡市は「バス王国」と呼ばれるくらい、西鉄バスの路線網が発達している・・・から?
解答番号15(都市の成長)
問題を解いている最中の思考
産業構造が高度化し、経済が発展するにつれて、都市人口が多くなる傾向にある。農業に従事する農村人口が減り、工業労働者やサービス労働者が増えるから。
なので、先進国は1990年の時点でも都市人口は多いはず。一方、経済が急速に発展しているBRICSは1990年から2015年にかけて、都市人口が急増しているはず。
そう考えると、増加率が高いキがBRICSで、カが先進国だろう。先進国は人口増加が緩やかになりつつあるから、都市圏人口があまり変わらない都市が多いのも納得。
次に文章を読む。発展途上国の都市圏に流入した人たちが従事する産業は何か?金融業は小売業やサービス業の次の段階って感じ。発展途上国はまだそのレベルに達していないはず。xに当てはまるのは小売業・サービス業だろう。
よって答えは④。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
なぜ発展途上国では金融業はそれほど発達していないのか?
発展途上国では、「お金を貸す・集める」ビジネスである金融業が成立するための前提条件が揃っていないことが多い。
(例)
- 人々の所得が低いため、預金や借入の金額が非常に少ない。
- 個人信用情報(クレジットスコア)が乏しい。
- 貸したお金が返ってこない時のための法制度の整備・実効性が不十分。
- 通貨価値が不安定で長期取引しにくい。
- 政治的に不安定で長期取引しにくい。
解答番号16(プライメートシティ)
問題を解いている最中の思考
イタリアもオーストラリアも、人口は複数都市に分散している。
一方、発展途上国のバングラデシュは首都のダッカに人口が集中している。発展途上国は首都に人口が集まりがち。資金面での余裕のなさゆえに投資が一箇所(たいていは首都)に集まり、就労機会を求める人がその都市に行くしかなくなるから。
ということでスがバングラデシュ。
次にサとシの区別。オーストラリアはシドニーとメルボルンが二大都市で、人口が拮抗している。だから1位と2位の人口規模が近いサがオーストラリアだろう。
イタリアはミラノ、トリノ、ジェノヴァ、ローマなど、規模の大きな都市が複数ある。人口規模に極端な差がないシがイタリアだろう。
よって答えは③。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
発展途上国で首都一極集中が起きる背景は?
中央集権的な統治体制を持つ国が多く、政府機関、裁判所、主要な大学といった政治・行政・教育の機能がすべて首都に置かれる。
外国からの投資が、港湾、空港、高速道路、電力網といったインフラが整備されている首都周辺に集中する。これにより、雇用機会や高賃金の仕事が首都に偏る。
地方では、高等教育機関や質の高い病院が不足していることが多い。より良い教育と医療を求めて、人々が首都へと移動する。
首位都市(プライメートシティ)は古くから見られる現象?それとも比較的最近の現象?
発展途上国で見られるような過度な一極集中は20世紀後半以降の比較的最近の現象。
- 第二次世界大戦後のグローバル化の進展により、外国企業からの投資が首都圏に集中しやすくなった。
- 第二次世界大戦後の人口急増により、農村部での就労機会が足りなくなった。
イタリアはなぜ複数の強力な都市が発達した?
イタリアが単一の統一国家になったのは1861年と、ヨーロッパ諸国の中では比較的遅い。それまでは都市国家や地方王国が分立していた。
- ヴェネツィア: 東方貿易(アジア)の玄関口。
- ジェノヴァ: 西方貿易(大西洋)の拠点。
- ミラノ: アルプス越えの交通の要衝。
- ナポリ: 南イタリアの政治・文化の中心地。
解答番号17(スラム)
問題を解いている最中の思考
「貧困が問題となっている地区」は、フィラデルフィアの場合は都心部にあり、メキシコシティの場合は郊外にある。メキシコシティは盆地になっていて、住みにくい周辺部の斜面に貧困層が集まる。
①都心部が都市化したが、住宅の老朽化により中所得者や高所得者が転出し、代わりに貧困層が流入してきたのだろう。教科書にもインナーシティ問題として書かれていた。正しい。
②周辺部の斜面はインフラが十分に整備されていないはず。そこに貧困層が住み着いている。正しい。
③「貧困が問題となっている地区」はフィラデルフィアの方が確かに中心部に集中している。正しい。
④主要な高速道路に沿って放射状に広がっているとは言えない。誤り。
よって答えは④。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
インナーシティ問題が起きるのはどういう都市?
インナーシティ問題の発生要因には2パターンある。
開発が古くから進んだ都心近郊の住宅が老朽化し、住環境の魅力が下がる。
所得が高い層や子育て世帯が、より環境の良い郊外の新興住宅地へ移住する(ドーナツ化現象)。
経済的な理由から郊外に移住できない低所得層、高齢者、外国人労働者などが都心部に残存・流入する。
地方自治体の税収が減少し、住宅やインフラ等の再整備が困難になる。
もともと製造業が集積することで、労働者が集まって住宅街ができていた。
地価高騰や生産効率の観点から、製造業(工場)が郊外や海外へ移転する。
多くの地域住民が働いていた工場の仕事がなくなり、失業率が上昇する。
特に単純労働に従事していた層は職探しに苦しみ、経済的な理由から移住できないまま都心部に残存することがある。
地方自治体の税収が減少し、住宅やインフラ等の再整備が困難になる。
インナーシティ問題は製造業と結びついた現象なのか…!
解答番号18(アメリカへの移民)
問題を解いている最中の思考
太平洋岸のシアトルはアジア・太平洋系が多いはず。
同じく太平洋岸のロサンゼルスもアジア・太平洋系が多いはず。ただ、ロサンゼルスはメキシコにも近いので、スペイン語が多くなる。
中央のミネアポリスはアジア系もスペイン系も移民として流入しにくい地域だろうから、英語が多くなるだろう。
マイアミはメキシコやカリブ海に比較的近いのでスペイン系が多くなるはず。綿花農園の奴隷労働者として連れてこられた黒人の子孫も多いはず。
アジア・太平洋系言語の割合が高いのは②と③。これらがシアトルかロサンゼルスだろう。ロサンゼルスはスペイン語が多いはずだから、③がロサンゼルス、②がシアトルになるはず。
④はスペイン語の割合が高いが、アジア・太平洋系の割合は極めて低い。南方に位置し、太平洋からは遠いマイアミだろう。
残った①がミネアポリス。スペイン語の割合がシアトルよりも高いのは、ミネアポリスがある地域は農業が盛んなので、農業労働者としてヒスパニックが雇われているからだろう。
よって答えは②。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
都市ごとに、集まっている人々の属性が異なる。「住民が使う言語が都市ごとに異なる」という現象が見られるのはアメリカ以外にどこがある?
カナダ:公用語は英語とフランス語
- トロント:英語
- モントリオール:フランス語
ベルギー:公用語はオランダ語、フランス語、ドイツ語
- 北部:フラマン語(オランダ語系)
- 南部:フランス語
スイス:公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語
- チューリッヒなど:ドイツ語
- ジュネーブなど:フランス語
- ルガーノなど:イタリア語
- グラウビュンデン州など:ロマンシュ語
ロシア:公用語はロシア語
インド:公用語はヒンディー語
中国:公用語は中国語
アメリカは「移民を大量に受け入れたことによって、都市ごとに使用言語が異なるようになった」けど、上記の他の国は「異なる言語を喋る人々が1つの国家に統一された」という感じかな。
アメリカの現象は非常に独特。移民を大量に受け入れた国ならでは。他の国ではアメリカ並みの「はっきりとした違い」は見られない。
でも「アメリカの太平洋岸にアジア系、メキシコやカリブ海周辺にヒスパニックが多い」って、現代でも当てはまるのか。
「地理的に近いところに移動するというのは、昔の船の時代なら理解できるけど、飛行機の時代なら「地理的な近さ」はそんな大きなファクターにならないような気がする。
=既存のコミュニティを頼って新たな移民が流入し続ける現象。最初にその地に定住した歴史的な理由(船での到着など)にかかわらず、一度形成されると世代を超えて強力に作用する。
- 家族や親戚、同郷の友人が先に住んでいる場所に行くことが、最も安全で確実。先に移住した人々が、仕事の斡旋、アパートの契約、言語のサポートを提供する。
- 食料品店、宗教施設、コミュニティセンターなど、自国の文化を維持できる環境が整っている。



