【解説&掘り下げ】2024共通テスト地理B 大問2 世界と日本の資源と産業の変化
共通テスト地理(※)で9割超え、理想は満点!を目指していた僕が、実際にどんなふうに問題に取り組んでいたのかを紹介します。(※僕が受験生だった時はセンター試験でした)
70〜80点台で伸び悩んでいる人にとって、きっと参考になると思います!
大きく2つの場面に分けて解説します。
1. 問題を解いている最中の思考
- ① 時間を意識しながら、どうやって答えを特定していくか
- ② 自信がない時・迷った時に、どうやって確証を得るか
2. 解き終わった後の復習(事後学習)
- ③ 教科書知識の確認と、そこからの深掘り・整理
問題
問題は東進ハイスクールさん等のページを参照してください…!
解答番号7(鉄鉱石の産出と輸出入)
問題を解いている最中の思考
鉄鉱石の産出量はオーストラリアやブラジルで多い。輸出量も同様の傾向を示す。
輸入量は鉄鋼業が盛んな中国で多い。日本や韓国もそれなりに輸入しているはず。
A:オーストラリアとブラジルの割合が大きいので、産出量か輸出量。
B:中国が多いので輸入量?日本や韓国も多いので、産出量と輸出量はありえない。Bは輸入量。
C:オーストラリアとブラジルの割合が大きいので、産出量か輸出量。
AとC、どちらが産出量か。AとCの大きな違いは、Cは中国、アメリカ合衆国が世界全体に占める割合が1%以上の国として示されていること。また、AよりもCの方がインドの割合が大きい。
中国は鉄鉱石を大量に輸入して製鉄を行っているので、鉄鉱石の輸出はそんなにしていないのでは。
また、インドも経済成長著しく、製鉄業に力を入れているので、国内で産出した鉄鉱石を国内で使っていて輸出量はそんなに多くないはず。
アメリカ合衆国も、メサビ鉄山の鉄鉱石を活用した製鉄業がまだ残っているはず。
Cは産出量で、残ったAが輸出量だろう。よって答えは⑤。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
なぜ中国は鉄鋼業が盛ん?
製造業について考えるときは、原料と作るための手段(道具、装置、必要なエネルギー)、製品の需要に注目する。
鉄鋼業は、
- 鉄鉱石と石炭を原料に、
- 高炉(こうろ)や転炉(てんろ)といった巨大な装置や
- 熱エネルギーや人手を使って、
- 鉄製品を作るために使う材料(粗鋼)を作る工業。
中国は以下の理由から鉄鋼業が発展した。
- 資源が豊富
- 大規模な製鉄所を建設できる広大な土地があった
- 安価な労働力が豊富だった
- 鉄鋼の需要が極めて大きかった
参考:うんこドリル「鉄と地球」
解答番号8(日本の鉄鋼業の立地)
問題を解いている最中の思考
①正しい。原料の鉄鉱石と燃料の石炭は重い。鉄鋼業の立地は原料指向。
②国内に埋蔵される原料や燃料が枯渇したんだっけ?鉄鉱石はもともと中国から輸入していて、石炭は国内から算出されたものを使っていた。でも石炭は自国で掘るよりも輸入した方が安く済むから、国内の炭鉱はクローズしたっていう話だったはず。②は間違いっぽい。
③正しい。瀬戸内や東京湾は埋立しまくって工場を作りまくった。
④正しい。日本(やアメリカ)の鉄鋼業は中国の鉄鋼業の成長に押されて、価格競争で負けている。高品質な鉄鋼を作れない製鉄所は生き残れなくなっている。
よって、②がやっぱり間違い。答えは②。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
北九州(八幡製鉄所)で鉄鋼業が盛んだったのは知っているけど、北海道と岩手県も鉄鋼業が盛んだったんだ?
日本の近代製鉄発祥の地。日本初の洋式高炉を建設し、八幡製鉄所よりも早く近代的な製鉄に成功した(1857)。
釜石鉱山の鉄鉱石、近隣の石炭(大嵐炭田)を活用。
国内資源型。
日清戦争・日露戦争を経て、新たな製鉄拠点が必要になったため、輸入鉄鉱石を輸送しやすい室蘭に製鉄所が建設された(1907操業開始)。
室蘭は夕張などの石炭産地と鉄道でつながっていた。
高度経済成長期に製鉄所が太平洋ベルトにたくさん建設された・・・ってのは勉強したけど、そっか、戦前の日本って製鉄所がそんなに多くなかったのか。
戦前の日本は、国内の鉄資源が乏しく、近代化に必要な鉄を十分に生産できなかったため、鉄鉱石・鉄鋼製品ともに大きく輸入に依存していた。
※日本の北部仏印進駐・日独伊三国同盟締結と前後して、アメリカは日本への経済制裁を本格化させ、くず鉄などの禁輸措置をとった(1940〜)。
参考:アメリカとの関係悪化と日米交渉・対米開戦についてわかりやすく【日本の歴史】
日本の高度経済成長期に、製鉄所や石油化学コンビナートなどが臨海部に建設される際、特に瀬戸内海沿岸が選ばれたのはなぜ?
当時、他の工業地帯(京浜、阪神など)では土地が既に不足・高騰していたのに対し、瀬戸内沿岸部では比較的安価で広大な土地を確保しやすかった。
※瀬戸内海沿岸では古くから塩の生産が盛んだったが、1970年前後からイオン交換膜法という効率的な製塩法が導入されたことにより、伝統的な塩田(入浜式や流下式)が次々と廃止されていった。


現在の日本の主な鉄鋼メーカーは?
日本の鉄鋼業界は、国際競争力の強化のために長い時間をかけて再編が進み、現在の3社体制が確立された。
| 日本製鉄 | 官営八幡製鉄所が母体。 |
| JFEスチール | 川崎製鉄が主な母体。 |
| 神戸製鋼所 | 上記2社のような大規模な合併を経ずに、単独の企業として現在に至る。 |
解答番号9(日本の石炭輸入相手国)
問題を解いている最中の思考
アメリカ合衆国には石炭を産出するアパラチア山脈がある。日本ってアメリカから石炭を輸入していたのかな・・・?
インドネシアは石炭輸出国。でも積極的に輸出するようになったのは最近から?
オーストラリアも石炭輸出国。
んー、インドネシアとオーストラリアの違いがよくわからん。とりあえず文章を読んで判断するしかない。
ア:採掘技術の進歩が見られるのは発展途上国のインドネシアかな?火力発電を中心に消費量が増加していることも、発展途上国のインドネシアっぽい。石炭輸入量の推移のグラフ的に、この説明に当てはまるのはEかF。インドネシアで経済成長が始まったのは遅いので、Fじゃないかな・・・?
イ:世界有数の資源大国はオーストラリア。オーストラリアの石炭は大規模な露天掘りで採掘されるというのも教科書で学んだ。国内市場が小さいから、石炭輸出量が多い。この説明を表しているのはEだろう。
ウ:わからん。消去法的にアメリカ合衆国だけど、石炭の確認埋蔵量が世界で最も多いの?国内市場が大きいのはアメリカ合衆国の特徴だけど、人口が多いインドネシアにも当てはまりそう。
ただ、アメリカ合衆国の方が鉄鋼業など様々な産業が集積しているので、「消費量も世界有数」というのはアメリカ合衆国のことを言おうとしているのだろう。グラフは消去法的にG。
1990年代後半から2000年代にかけて減少したのは、日本が近隣国インドネシアから石炭を輸入するようになって、アメリカ合衆国への依存度が低下したからだろう。
ってことで、答えは③。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
石炭について理解を深めよう
石炭の可採埋蔵量(2020 Energy Institute資料)
- 1. アメリカ合衆国
- 2. 中国
- 3. インド
- 4. オーストラリア
- 5. ロシア
石炭の生産量(2021 世エネ’21)
- 1. 中国
- 2. インド
- 3. インドネシア
- 4. オーストラリア
- 5. ロシア
石炭の輸出(2021 世エネ’21)
- 1. インドネシア
- 2. オーストラリア
- 3. ロシア
- 4. アメリカ合衆国
- 5. 南アフリカ共和国
石炭の輸入(2021 世エネ’21)
- 1. 中国
- 2. インド
- 3. 日本
- 4. 韓国
- 5. ドイツ
石炭って今は何に使われることが多いの?
主に火力発電の燃料として、次いで鉄鋼業の原料(コークス)として使われることが多い。
解答番号10(イギリス、中国、ドイツ、ベトナムの製造業)
問題を解いている最中の思考
付加価値の高い製品の製造は先進国が得意なはず。だからイギリスとドイツは人口1人当たりの製造業付加価値額が高いはず。
中国とベトナムを比べると、中国の方が付加価値が高い製品の製造が得意そうだけど、中国の人口が多すぎるので、1人当たりで計算すると値はかなり小さくなるはず。
GDPに占める製造業の割合は中国で高いはず。また、自動車産業など製造業が得意なドイツも高いはず。イギリスは製造業からサービス業に転換しているので低めの値になるはず。
ということで図を見る。
人口1人当たりの製造業付加価値額が高い③と④が先進国のイギリスかドイツ。
製造業の割合が高い③がドイツで、④がイギリスだろう。④は1990年から2018年にかけて、製造業の割合が大きく低下している。これもイギリスの特徴を表している。
残った①と②が中国とベトナム。
どちらも製造業が成長しているので、2018年の製造業の割合の方が高くなっている。1990年段階で、より製造業が発達していたのは中国かな?ベトナムの方が成長し始めたのは遅い。だから②が中国かな?
総人口の製造業付加価値額を計算してみよう。
②が中国だとしたら、約3,000ドル×10億人。
①がベトナムだとしたら、約500ドル×1億人。中国の方が圧倒的に製造業付加価値額が大きいはずだから、正しそう。
逆に①が中国だとしたら、約500ドル×10億人。②がベトナムだとしたら、3,000ドル×1億人。総額で中国とベトナムにそんなに差がないことになってしまう。ベトナムも製造業が発展しているとはいえ、さすがに中国と肩を並べるほどではない。ベトナムは電化製品の組み立てや、衣服の縫製ばかりしているし。
ってことで、やっぱり②が中国で、①がベトナムだろう。
ということで、答えは③。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
イギリス、中国、ドイツ、ベトナムそれぞれが得意な製造業は?
かつては「世界の工場」と呼ばれたが、現在は伝統的な重工業よりも、高付加価値で技術集約型の産業に強みを持っている。
- 航空宇宙産業:ロールス・ロイス(航空機エンジン)
- 製薬・バイオテクノロジー:グラクソ・スミスクライン(GSK)、アストラゼネカ
※イギリスは金融・サービス業中心の経済に移行した
- 自動車産業:メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン(VW)
- 機械工業:工作機械、産業用ロボット、精密機器、医療機器など
- 化学工業:BASFやバイエルなど
「世界の工場」と呼ばれている
- 鉄鋼業:世界最大の鉄鋼生産国
- 家電・エレクトロニクス:スマートフォン、テレビ、白物家電など(ファーウェイ、シャオミなど)
- 自動車産業 (EV):BYDなど
- 繊維・衣料品
安価で豊富な労働力と国際貿易協定への積極的な参加により、軽工業とハイテク製品の組立の拠点となっている。
- 繊維・アパレル産業:主要な輸出品目であり、衣料品や靴のOEM(受託製造)で世界的な地位を確立
- 電子機器・組立産業:サムスンなどの外資系企業が進出。スマートフォンや電子部品の最終組立の主要な拠点。
- 家具製造業
イギリスが金融・サービス業中心の経済に移行したのに対し、ドイツは一貫して製造業を経済の柱として維持してきた。一体なぜ・・・?
解答番号11(工場撤退後の再開発)
問題を解いている最中の思考
工場が減ったことを表している写真?とりあえず文章を読もう。
①1988年に閉鎖された繊維工業の工場は、国内の農村部に移転したのか・・・?この時代はもう中国とか東南アジアとかに移転したのでは?①は怪しい。
そもそも国内の農村部に「豊富な労働力を求めて」移転というのは、この時期(1988年)の説明としては不適切だろう。高度経済成長の前ならともかく。①が間違いっぽい。
②街のスーパーマーケットよりも、イオンモールみたいな大型複合商業施設に人が集まるはず。正しい。
③南にある工場はほぼそのまま残っている。西側を見ると、区画がより細かくなっているように見えるので、マンションではなく戸建ての住宅地ができたのかな。以前は工場労働者が住むマンション(社宅?)があったけれど、それも取り壊されて戸建てになったって考えるのが自然かな。
北の工場は、むしろ西方向に拡張しているように見える。その西側には大きな細長い建物が新設されているが、これはマンション…?でもこの細長い建物は「残っている工場の西側」ではなく「拡張された工場の西側」にあたるから、この文章で言っている場所とは違うかな。んー・・・なんとも言えない問題出してくるなあ・・・。
④正しい。というか適当でないとは言えない。研究開発のような付加価値が高い作業に転換するのは合理的。
ということで③が微妙だけど、①が間違いだと気づいてくれっていう問題っぽいから答えは①。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
高度経済成長期以降、東京から移転した工場はどこに向かった?
東北地方や北関東:東北新幹線や高速道路網の整備が進み、東京圏へのアクセスが比較的良好な東北地方南部(福島、宮城など)や、北関東(群馬、栃木、茨城など)に多くの工場が移転した。
アジア新興国・中国:地理的に近く賃金が安価な韓国、台湾、ASEAN諸国(特にタイ、マレーシア、インドネシア)、中国に、自動車部品や家電製品などの労働集約的な生産部門が移転した。
高度経済成長期以降、東京から移転した工場は東北地方や北関東、アジア新興国や中国に移転したが、東京以外の都市(名古屋や大阪など)から移転した工場も同じ傾向?
「海外(アジア・中国)」への移転については、大阪も名古屋も東京と全く同じ傾向。
しかし、「国内」の移転先については違いがある。
東北へ行くことは少なく、近隣の内陸部や西日本に向かう傾向がある(滋賀県、九州など)。
※大阪は東京ほど本社機能が残らなかったため、工場移転とともに地域経済の地盤沈下(空洞化)が深刻化した。
他地域への流出が極めて少ない。自動車産業が中心産業であるため、組み立て工場と部品工場が物理的に近くに立地する必要がある。
工場が移転した後、跡地はどのように活用・再開発されることが多い?いくつかパターンがあるよね。
- 大規模ショッピングモール(ロードサイド型)
- マンション・戸建て住宅
- 巨大物流倉庫(←ネット通販の拡大)
- 研究開発機関(マザー工場など)
- 公園・レクリエーション施設
- 商業施設(例:横浜赤レンガ倉庫、神戸ハーバーランド)
- 高層タワーマンション(←眺望を売りにできる)
- テーマパーク等の観光施設(←巨大な敷地&騒音を出しても迷惑がかかりにくい)
- 業務・オフィス地区(新都心)
- 公園・レクリエーション施設
「微妙な再開発」が生まれるのはいろんな「大人の事情」があるんだろうなー
解答番号12(製造業依存からの脱却)
問題を解いている最中の思考
サ:「地元の中小企業が」「製造業の新たな分野に進出する」という文は、「特定の大企業」への「依存」からの「脱却」を表している。サはR。
シ:製造のための施設である「工場群を、夜景として鑑賞できる」ようにして観光施設としての価値を見出すということだから、「関連する施設に新たな価値を見出し」という文とマッチする。シはP。
ス:「生ごみや間伐材を利用して発電」は「持続可能なエネルギー利用」を表している。スはQ。
よって答えは④。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
企業城下町って産業の空洞化が起きると大変なことになるよなあ・・・
1. 直接的な雇用喪失
- マザー工場の閉鎖・縮小:大企業の工場が海外へ移転すると、数千人の従業員が職を失うか、配置転換で町を出ていくことになる。
2. 下請け企業の連鎖倒産
- 城下町には、親企業に部品を納める下請け・孫請けの中小工場が密集している。親がいなくなれば仕事がなくなり、これらが次々と倒産・廃業する。
3. 地域経済の壊滅
- サービス業の衰退:工場労働者がいなくなると、彼らが利用していた飲食店、居酒屋、床屋、スーパー、タクシーなどの売り上げが激減する。
- 地価の下落:人が出ていくため、不動産価値が暴落する。
4. 行政サービスの崩壊(財政破綻)
- 税収の激減:企業からの法人税と、住民からの住民税の両方が一気に入らなくなる。
- インフラの維持不能:道路、橋、水道、学校、市民病院などを維持するお金がなくなり、行政サービスをカットせざるを得なくなる。
- 結果、「住みにくい町」になり、残っていた住民(特に若者)も流出し、高齢者だけが取り残される。
参考:日立市、揺れる企業城下町
参考:デトロイト




