守護とは何なのか?について説明します!(※鎌倉時代の話)
守護について調べたけど、Wikipediaとかの説明は詳しすぎてわかりにくい!っていう人向けです。
この記事の信頼性
僕(もちお)は、元社会科教員。
- 日本史についてそれなりにくわしい。
僕(もちお)は、東大入試で日本史を選択。
- 日本史についてそれなりにくわしい。
守護とは
守護っていうのは、警察みたいな仕事をする役職!っていうイメージでとらえるべし!です。
守護
・有力御家人が各国一人ずつ任命された
・一国内の御家人を使って、以下の3つの職務をはたす(=大犯三カ条)
- (1)国内の御家人に京都の御所の警護をさせる(=大番催促)
- (2)謀叛人の逮捕
- (3)殺害人の逮捕
↑これが守護とは何なのか?に対する答えですが…これだとわかりにくいので、「あーなるほど!そういうこと!」って思ってもらえるように頑張って説明します!
各国一人ずつ任命された
鎌倉時代が始まる頃らへんの時代、日本列島はいくつもの地域に分かれていました。現代の都道府県みたいな感じ。
現代では一つ一つの地域を「○○県」と言いますが、鎌倉時代の頃は一つ一つの地域を「○○国」と呼んでいました。昔は「国」がたくさんあったんです(ここが「国って言ったら日本のことでしょ!」って思っちゃう現代人にとって、ちょっとわかりづらいところ)。
この一つ一つの国に対して、一人ずつ守護が置かれました。
※ちなみに、国司は一つ一つの国に対して「一人」ではありません。5〜9人くらい任命されました。
守護
・各国一人ずつ任命された
有力な御家人が任命された
守護に任命されたのは、有力な御家人です。
御家人っていうのは、将軍と主従関係を結んでいる武士のこと。主従関係っていうのは御恩と奉公の関係です。
御恩と奉公の関係について、くわしくはこちらの記事で。
守護に任命するのは将軍です。将軍が力のあるスバラシイ御家人に対して「キミ!○○国の守護として仕事してくれ!夜露死苦!」って言うみたいな感じ。
守護
・有力な御家人が任命された
守護の仕事は3つに限られた
そんな守護の職務は3つに限定されました。
守護
・一国内の御家人を使って、以下の3つの職務をはたす(=大犯三カ条)
- (1)国内の御家人に京都の御所の警護をさせる(=大番催促)
- (2)謀叛人の逮捕
- (3)殺害人の逮捕
(1)国内の御家人に京都の御所の警護をさせる(=大番催促)
守護は、国内にいる御家人に対して「京都にある天皇の御所(天皇が住んでいるところ)を警護してこい!!」って催促するのが仕事です。
京都の皇居を警備する職務のことを京都大番役と言います。その京都”大番”役を”催促”するので、「大番催促」っていう名前。
んで、たぶん”催促”っていうのがポイントで、国内にいる御家人がみんな「オレ!天皇の御所を警備したいっす!行かせてください!」って感じだったら”催促”なんて言葉使わない気がしますよね。
おそらく京都大番役は御家人にとってすごく負担の大きな仕事だったから、「あんまりやりたくない仕事」だったんだと思います。
まあ想像してみたら、わざわざ京都に行って警備するのって大変だし面倒くさそうですよね。しかも天皇の御所の警備ですから、やらかしたら大変なことになりそう。緊張。僕は正直、荷が重すぎてやりたくないです。
ってことで、国内にいる御家人に対して「京都にある天皇の御所(天皇が住んでいるところ)を警護してこい!!」って催促する…ってのが守護の仕事のうちの一つになったのでしょう。
(2)謀叛人の逮捕
守護は、国内の御家人を使って、鎌倉幕府に反抗する人を取り締まる仕事もしました。
超大変だし、危ないし、面倒くさそうな仕事ですよね。
(3)殺害人の逮捕
さらに、殺人犯を取り締まる仕事もしました。
これも怖い仕事。
これらの3つの職務をまとめて大犯三カ条(だいぼん さんかじょう)と言います。
どれも、ものすごく大変で危険な仕事ですよね。
って考えると、将軍から守護に任命されるのって、(確かに名誉なことだったかもしれないけど)本音のところは「まじかよおおおおメンドクセエ&コワスギイイイイ」って感じだったかもしれません。
んで、守護の職務はこの大犯三カ条に”限定”されました。
守護ってもともと有力な御家人ですので、武力を持った存在です。しかも国内の御家人を動員する権限も持っている存在。
だから、あまりにも権限が大きくなってしまうと、地方で好き勝手なことをする可能性があるわけです。ってことで、「守護の職務はこの3つだけだよ!」って”限定”することになったみたいです。
※ただ、鎌倉時代後期から守護の権限が拡大して、やがて”守護大名”って呼ばれるくらい大きな存在になっていきます。当初懸念されていたことが現実のものとなってしまった…って感じですね。まあ中世は実力がモノを言う時代なので仕方ないです。
守護大名についてはこちらの記事で。
守護
・一国内の御家人を使って、以下の3つの職務をはたす(=大犯三カ条)
- (1)国内の御家人に京都の御所の警護をさせる(=大番催促)
- (2)謀叛人の逮捕
- (3)殺害人の逮捕
なんでこんな仕事をするの?
なんで守護がこんな仕事をするのか?というと、、、
鎌倉幕府は朝廷(天皇)の承認(委任)のもとで日本を支配している軍事政権だから、です。
軍事政権=軍隊(武装集団)が直接的に政治を行う統治の形
天皇が武士を征夷大将軍に任命して、その将軍(例:源頼朝)が「天皇の代わりに日本をまとめまっせ!!」ってブイブイ言わせているのが鎌倉幕府なわけです。(※鎌倉時代初期は日本全土の支配を委任されていたわけでは全くない!けども)
んで、だからこそ!鎌倉幕府は「朝廷の支配をサポートする存在」でもある!っていうことなのです。
- もちろん天皇の御所を守りまっせ!→大番催促
- 天皇が認めた鎌倉幕府に反抗する人は取り締まりまっせ!→謀叛人の逮捕
- 殺人犯なんていうアブナイヤツは逮捕しまっせ!→殺害人の逮捕
鎌倉時代以降、教科書は武士の話ばっかり出てきますが、日本のトップは天皇。
将軍(征夷大将軍)は、キラキラオーラ満載の万世一系の天皇によって任命されるからこそ、力を持てるわけです。(←これ超重要)
まとめ
守護
・有力御家人が各国一人ずつ任命された
・一国内の御家人を使って、以下の3つの職務をはたす(=大犯三カ条)
- (1)国内の御家人に京都の御所の警護をさせる(=大番催促)
- (2)謀叛人の逮捕
- (3)殺害人の逮捕
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