林業が発達する条件
- 有用樹がまとまって大量に存在する
- 伐採・運搬しやすい
- 労働力・資本に恵まれている
- 輸送機関が整備されている
Q
- 木を伐採する方法
-
- 択伐(たくばつ):太くなった木だけを選んで伐る。森を維持しながら資源を得られる。
- 皆伐(かいばつ):森の木を一斉にすべて伐る。効率はよいが、森が丸裸になる危険もある。
- 違法伐採:無許可で木を切ること。環境破壊や密輸の原因にもなる。
良い林業は、伐った後にきちんと植林(しょくりん)をして、森林を次の世代につなぐ。
木材・合板博物館でもらった『よくわかる合板ハンドブック』。(2025.4撮影)
熱帯林での林業
木材・合板博物館にて。(2025.4撮影)
特徴
- 熱帯広葉樹(マホガニー、チーク、ラワンなど)が対象
- 生育スピードが速い(年中高温多湿)
- ただし、樹種が多様すぎて一本あたりの量が少ない(=材の均質性に欠ける)
- そのため開発が遅れていたが、近年は先進国の資本や技術の投下により開発が進んでいる。
主な地域例
- ブラジル(アマゾン川流域)
- インドネシア(カリマンタン島など)
- マレーシア(サバ州・サラワク州)
問題
- 伐採後の森林再生が難しい(熱帯雨林の土壌はやせている)
- 過剰伐採・違法伐採・プランテーション開発(パーム油など)により熱帯雨林の原生林が減少している
※最近では、持続可能な認証林業(FSC認証など)の取り組みも増えてきた
Q
- 原生林とは?
-
天然林がこれ以上発達しない安定状態に至った森林のこと。
温帯林での林業
木材・合板博物館にて。(2025.4撮影)
特徴
- 針葉樹・広葉樹がバランスよく存在
- スギ、ヒノキ、マツ、ナラ、ブナなど
- 昔から開発されていたため、天然林は少ない
- 高品質な建材・家具材を産出する
主な地域例
- 日本(北海道・本州中部)
- アメリカ西部(オレゴン州、ワシントン州)
- ドイツ(黒い森地帯=シュヴァルツヴァルト)
- 中国南部(四川・湖南など)
問題
労働力コストが高く、林道整備や搬出にコストがかかるため、採算がとりにくい
- 森林が自然のままだと樹種・大きさ・形がバラバラで、用材に適した太くまっすぐな木だけを選ぶ択伐が必要
- 斜面の伐採・搬出作業には人手が必要
- 温帯林は山地や丘陵地帯に広がっていること多く、大型機械をそのまま使えない
- 木を運び出すためには林道(森林専用の道路)を造らなければならない
投資回収までが長く、短期的な利益が得られない
- 温帯の木(スギ、ヒノキ、ナラ、ブナなど)は、伐採できるまでに30〜50年以上かかる
冷帯林での林業
木材・合板博物館にて。(2025.4撮影)
特徴
- 主に針葉樹林(トウヒ、モミ、アカマツなど)
- 成長は遅いが、純林であることが多い(→伐採の手間・経費が小さい)
- 軟木が多く、加工しやすい→製材・パルプ材
主な地域例
- カナダ(ブリティッシュコロンビア州)
- ロシア(シベリア地方)
- 北欧(スウェーデン・フィンランド)
問題
一度伐採すると、自然に元の森に戻るまで非常に長い時間が必要
- 冷帯地域は寒冷なため、樹木の成長スピードが非常に遅い
冷帯林は世界最大級の炭素吸収源(カーボンシンク)でもあるため、伐採によって温暖化リスクが高まる
- 地球温暖化で永久凍土が融解すると、二酸化炭素やメタンが放出されてしまう
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