オセアニア

オセアニアの歴史をわかりやすく

モチオカ(望岡 慶)

オセアニアの歴史の大きな流れをざっくり整理する。

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人類の到達

人類が初めてオセアニアに到達したのは、およそ5万年前。

オーストラリアやニューギニアに到達

人類は海を渡って、オーストラリアやニューギニアに到達した。

これは単なる移動ではない。それまで陸路を移動してきた人類が、高度な航海技術と知能を発揮した歴史上最初の出来事の一つとして、極めて特別な意味を持っている。

マレーシア国立博物館にて(2024.12撮影)
国立民族学博物館にて(2025.9撮影)
Q
オーストラリアとニューギニアの特異性

最終氷河期(約11万年前〜1万年前)には、海水面が現在より低かったため、東南アジアでは多くの島々が陸続きになり、スンダランドと呼ばれる広大な大陸を形成していました。

  • スンダランド: 現在のマレー半島、スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島などが陸続きになった地域です。
マレーシア国立博物館にて(2024.12撮影)

しかし、オーストラリア大陸やニューギニアは、その隣に位置するにもかかわらず、スンダランドとは海によって隔てられていました。この海峡はウォーレス線として知られ、動植物の分布境界線にもなっています。

  • サフル大陸: オーストラリアとニューギニア、そしてタスマニアは、最終氷河期には陸続きになり、サフル大陸と呼ばれる一つの大陸を形成していました。

この地理的な隔絶のため、人類がサフル大陸に到達するには、海を渡る必要がありました。これは、陸路で移動してきた人類の歴史において、大きな転換点となりました。人類は初めて(筏やカヌーのようなもの)を使い、海を越えることを試み、成功したのです。

このことから、オーストラリアやニューギニアへの人類の到達は、単なる移動ではなく、人類が高度な航海技術と知能を発揮した、歴史上最初の出来事の一つとして、極めて特別な意味を持っています。

太平洋の島々に到達

その後、航海技術を持った人々が東南アジア方面から太平洋へ広がっていく。

星や潮の流れを頼りに大きなカヌーで航海し、無人島を発見しては定住していった。

ニュージーランド・マリタイム・ミュージアムにて(2024.11撮影)
国立民族学博物館にて(2025.9撮影)
オークランド博物館にて(2024.11撮影)

ポリネシア・メラネシア・ミクロネシアの形成

こうして広大な太平洋の島々に人が住みつき、地域ごとに異なる文化を築かれていった。

オークランド博物館にて(2024.11撮影)
ニュージーランド・マリタイム・ミュージアムにて(2024.11撮影)

ポリネシア・メラネシア・ミクロネシアの違いをわかりやすく

ヨーロッパとの接触と植民地化

16世紀以降、マゼランやクック船長といったヨーロッパの探検家がオセアニアを訪れるようになる。

The Rocks Discovery Museumにて(2023.7撮影)

最初は探検や交易が中心だったが、19世紀になるとイギリス、フランス、ドイツ、アメリカなどが次々と進出し、植民地支配が進んだ。

  • サトウキビやコプラ(ヤシの実)といった農業が始められ、労働者としてアジアから移民が送り込まれる。
  • リン鉱石などの資源が採掘され、島々は資源供給地として利用される。
  • 同時にキリスト教が布教され、伝統的な宗教や習慣が大きく変化。

こうしてオセアニアの多くの島は「外から利用される存在」となっていった。

The Rocks Discovery Museumにて(2023.7撮影)

日本の南洋諸島統治

第一次世界大戦でドイツが敗れると、旧ドイツ植民地の南太平洋の島々のうち、赤道以北のものは日本の委任統治領となった。

日本はここでサトウキビ栽培を行う一方、軍事拠点化を進めた。

その結果、第二次世界大戦ではこれらの島々が太平洋戦争の激戦地となり、多くの住民が巻き込まれた。

関連:第一次世界大戦中の日本の行動と影響を簡単に【日本の歴史】

関連:太平洋戦争についてわかりやすく【日本の歴史】

戦後と冷戦

戦後、太平洋の多くの島はアメリカやオーストラリア、ニュージーランドの影響下に置かれた。

特にアメリカはマーシャル諸島やビキニ環礁で核実験を行い、深刻な被害を残した。

この時代、太平洋は冷戦構造の中で軍事的に重要な位置づけを持つようになる。

独立、そして現代

1960年代〜70年代にかけて、アジアやアフリカと同じようにオセアニアでも独立の波が押し寄せた。

  • フィジー(1970年)
  • パプアニューギニア(1975年)

などが独立を果たし、国連加盟国として国際社会に参加していく。

ただし、すべての島が独立したわけではなく、今もグアム(アメリカ領)やフランス領ポリネシアのように独立していない地域も残っている。

また、多くの島国は経済基盤が弱く、輸入や支援に依存している。地球温暖化による海面上昇の危機にもさらされている。

オセアニアの産業・経済をわかりやすく

オセアニアの本質:「人が全然いない」からこそ、独自の発展を遂げた

参考文献

木村靖二他(2023). 『世界史探究 詳説世界史』. 山川出版社.

帝国書院編集部(2025). 『最新世界史図説タペストリー 二十三訂版』. 帝国書院.

矢ケ﨑典隆他(2023). 『新詳地理探究』. 帝国書院.

帝国書院編集部(2021). 『新詳 資料地理の研究』. 帝国書院.

ジャレド・ダイアモンド(2013). 『銃・病原菌・鉄 上巻』. 草思社.

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