オセアニア

オセアニアの民族と文化をわかりやすく:なぜポリネシア人は体格がいい?

モチオカ(望岡 慶)

ニュージーランドに行くと、体格の大きな人がたくさん見かける。

「いかにもヨーロッパ系だな」という人が多数派だったが、教科書で勉強したマオリっぽい雰囲気の人もたくさんいる。

ニュージーランド・マリタイム・ミュージアムにて(2024.11撮影)

マオリ系の人は肩幅が広く、筋肉質でがっしりしている。ディズニー映画『モアナ』に登場するマウイのような迫力を感じた。

オークランド博物館にて(2024.11撮影)
オペラハウス(2023.7撮影)

一方、同じオセアニアのオーストラリアの印象は違った。全体的にヨーロッパ系が多いが、アジア系も多く、多民族国家の雰囲気が強い。

「これぞオセアニアの人!」と感じる大柄な人はニュージーランドほどは見かけなかった。

シドニー空港にて(2023.7撮影)

では、なぜニュージーランドではマオリが今も強い存在感を放っているのだろうか?

また、なぜ彼らの体格はがっしりしているのだろうか?

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マオリとアボリジニ

理由のひとつは歴史の違いにある。

マオリ @ニュージーランド

ニュージーランドのマオリは、部族ごとにまとまった社会を築いていた。

関連:なぜ狩猟採集社会より農耕社会の方が、人口が多くなるのか?

オークランド博物館にて(2024.11撮影)

ニュージーランドに入植したヨーロッパ人も彼らを無視できず、1840年にはワイタンギ条約が結ばれ、形式的とはいえマオリの権利が認められた。

その後も教育や政治にマオリ文化を取り入れる動きがあり、文化が残りやすい環境が整った。

現在、人口の約17%がマオリ系で、特に若い世代では割合がさらに高くなっている。

アボリジニ @オーストラリア

オーストラリアのアボリジニは、ヨーロッパ人の入植後に病気や紛争で人口が大きく減少した。

広大な大陸に分散して暮らしていたこともあり、組織的に抵抗するのが難しかったのだ。

※アボリジニは食料生産の技術を身につけなかった。

関連:なぜ狩猟採集社会より農耕社会の方が、人口が多くなるのか?

メルボルン博物館にて(2024.11撮影)
アボリジニは伝統的に弓矢を狩猟に使わなかった。不思議だ。(国立民族学博物館にて2025.9撮影)

現在は全人口の3〜4%程度。都市部では目立ちにくいが、北部や内陸部にはアボリジニ文化が今も根強く残っている。

なぜマオリは体格が大きいのか?

マオリを含むポリネシア系の人々の体格が大きいのは、航海民としてのルーツを持つからではないか?(←仮説)

ニュージーランド・マリタイム・ミュージアムにて(2024.11撮影)

ポリネシアの人々はカヌーで航海をして島々に移住した。長い航海には筋力や体力が不可欠であり、結果として丈夫な体格を持つ人が生き残りやすかったのでは?と考えられる。

※食料が乏しい島や航海に備え、脂肪やエネルギーを効率よく蓄える体質になったのでは?という仮説もあるらしい。(倹約遺伝子?)

オセアニアは一枚岩ではない

ニュージーランドとオーストラリアは隣国同士である。また、同じように西洋化の道を歩んだ国である。

しかし、先住民の特徴、そして文化の残り方には大きな違いがあることがわかる。

とても広いオセアニアの文化を、一括りにして捉えるのは難しい。

オセアニアを理解するには、「島ごとにまったく違う文化と歴史がある」という視点が欠かせない。

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オーストラリア

メラネシア

ほとんどの国でキリスト教が主流。

ミクロネシア

ほとんどの国でキリスト教が主流。

ポリネシア

ほとんどの国でキリスト教が主流。

ポリネシアでは文字は生まれなかった。

参考文献

木村靖二他(2023). 『世界史探究 詳説世界史』. 山川出版社.

帝国書院編集部(2025). 『最新世界史図説タペストリー 二十三訂版』. 帝国書院.

矢ケ﨑典隆他(2023). 『新詳地理探究』. 帝国書院.

帝国書院編集部(2021). 『新詳 資料地理の研究』. 帝国書院.

ジャレド・ダイアモンド(2013). 『銃・病原菌・鉄 上巻』. 草思社.

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