日本

日本列島はなぜ山だらけ? 4つのプレートが生んだ日本の地形の特徴

モチオカ(望岡 慶)
Summary

日本列島の地形は、世界でもまれに見るダイナミックな特徴を持っている。山地が多く、火山が多く、活断層が多く、岩石や鉱物の種類も非常に豊富

これはすべて、日本列島が4つのプレートの境界にあるという、きわめて特殊な場所に位置していることに由来する。

日本は山地が多い国

(2022.6撮影)

日本の国土の約4分の3が山地で構成されており、これは世界平均(約4分の1)と比べても非常に高い比率

たとえば

  • 本州の背骨をなす日本アルプス(飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈)
  • 東北地方の奥羽山脈
  • 九州の九州山地

など、各地に急峻な山々が広がる。

世界的に見ればそこまで標高が高い山は多くないが、これだけ山が密集している国は極めて珍しい

ではなぜこんなに山が多いのか?

日本列島は4つのプレートの境界に位置する世界的にも珍しい場所

日本列島は、4つのプレートのぶつかり合い・沈み込みが起きる世界でもまれな場所に位置している。

  • ユーラシアプレート(大陸プレート)
  • 北アメリカプレート(大陸プレート)
  • 太平洋プレート(海洋プレート)
  • フィリピン海プレート(海洋プレート)

この4つのプレートが日本周辺でぶつかり合っているという事実が、日本列島の独特な地形・地質の理由となっている。

プレートとは?

(2025.4撮影 @国立科学博物館)

地球の表面は、十数枚の「プレート(岩盤)」で構成されている。

これらが地球内部の熱によるマントルの対流に乗って少しずつ動いている(年間数cm〜10cmの速さで)。

プレートは2種類ある。

プレートの種類主にどこにある主な岩石比重
大陸プレート陸地の下花こう岩など軽い
海洋プレート海の下玄武岩など重い

これらのプレート同士が衝突するとどうなるのか?

組み合わせ衝突の結果主にできる地形具体例
大陸 × 海洋海洋プレートが沈み込む海溝・火山列・地震日本列島・アンデス山脈
大陸 × 大陸沈み込まず押し合う隆起・大山脈ヒマラヤ山脈
海洋 × 海洋一方が沈み込む海溝・島弧(火山列島)マリアナ諸島など

日本の地形の特色

日本列島は4つのプレートがぶつかり合う「プレートの十字路」のような場所にある。この地理的な条件が、日本の地形や地下構造に独特の特徴を生み出している。

地表の特色

  • 山地が多い:プレートの圧縮で地面が隆起する
  • 火山が多い:沈み込むプレートからマグマが発生

地下の特色

  • 活断層が多い:ひずみがたまりやすく、地震が多発
  • 岩石・鉱床が多様:複雑な地質活動によって、いろんな岩石や鉱物が分布

①山地が多い

紀伊山地。(2022.6撮影)

プレート同士がぶつかり合うことで、地殻に圧縮力が加わり、地層が隆起して山地が形成される。

特に日本アルプス周辺は、ユーラシア・北アメリカ・フィリピン海の3つのプレートが交差する地質的に非常に複雑な場所で、急峻な高山が集中している。

②火山が多い

典型的な成層火山である富士山。(2024.12撮影)

日本には110を超える活火山があり、これは世界の活火山のおよそ10%にあたる。

なぜ火山が多いのかというと、日本列島のまわりで海洋プレートが沈み込んでいる「沈み込み帯」があるから

海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むとき、岩石が高温・高圧で溶けてマグマが生まれる。このマグマは、海溝から少し内陸側に向かって上昇し、海溝と平行に火山帯(火山列)をつくる。

こうして、日本列島の太平洋側を縦に走るような火山列(火山フロント)ができている。

③活断層が多い

日本列島は4つのプレートがぶつかり合う「プレートの十字路」のような場所にあるため、地殻にひずみがたまりやすい。限界を超えると地層がずれて地震が発生する。

過去に何度も動いた記録があり、将来もまた動く可能性があると考えられる断層を「活断層」と呼ぶ。日本はこの活断層の数が多い。

  • 日本では、約2000もの活断層が確認されている。
  • 特に多いのは、中部地方・近畿地方・九州地方など。

※「中央構造線」はもともとは日本列島がまだユーラシア大陸の一部だった時代に生まれた「大きな古傷」のような断層。現在でも、いくつかの区間では再びずれ動いている。

なぜ日本列島は「くの字」なのか?日本列島とフォッサマグナの誕生

④岩石・鉱床が多様

(2025.4撮影 @国立科学博物館)

日本は、とても狭い国土の中にさまざまな種類の岩石や鉱床が集まっている、世界でも珍しい国。

全長わずか約3000kmの列島の中に、以下のような岩石がそろっている。

  • 火山岩:マグマが地表で冷えてできた岩石
  • 深成岩:マグマが地下深くでゆっくり冷えて固まった岩石
  • 堆積岩:砂や泥などが長い年月をかけて積もってできた岩石
  • 変成岩:高い熱や圧力によって、もとの岩石が変化したもの
  • 付加体:海底の地層がプレート運動によって陸側に押しつけられてできたもの
  • 火山砕屑物・超塩基性岩:火山活動やマントルに由来する特殊な岩石たち

日本列島は「地質の総合デパート」とも言えるほど、多様な岩石と鉱床が集まっている。

ただし、資源の「量」は限られており、採掘コストも高いため、現在では海外からの輸入に頼ることが多くなっている。

Q
プレート境界で鉱物資源ができやすい理由

プレート境界では、沈み込んだ海洋プレートによってマグマが生まれ、熱水やガスが金属を集めて金属鉱床ができる。

また、ぶつかり合いによる高温・高圧で岩石が変成し、ヒスイなどの鉱物も生まれる。

さらに、海底の堆積物が陸地に押し上げられることで、石灰岩や石炭などの資源も見られる。

発展

日本は地形的に恵まれているのか?

山地が多いことはいいことなのか?

参考:中央構造線の始まりから現在まで概略

参考:1.大陸縁の分裂と移動

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