人間の活動

魚の養殖はなぜ難しいのか?

モチオカ(望岡 慶)

そもそもなぜ養殖を行うのか。

これは、天然の漁獲だけで満たそうとすると天然資源の枯渇が懸念されるためです。

それならすべての水産物を養殖すればいいのではないか、と思うかもしれません。が、養殖を成功させるのは簡単ではありません。

この記事では、養殖の難しさについて説明します!

もちおか
もちおか

モチオカです。noteTwitterYouTubeやってます!【お問い合わせ自己紹介

養殖業の難しさ

養殖を成功させるためには、その水産物が何を食べて成長するのかといった「生態」を理解することが不可欠です。

例えばウナギの場合、幼い頃は深海で生活しており、長年その時期に何を食べているのかがよく分かっていませんでした。

近年の研究でマリンスノー(海中を沈降する有機物)を食べていることが判明し、2010年には日本の研究機関が完全養殖に成功しました。しかし技術的に可能になった現在でも、コスト面での課題から大量生産・実用化にはまだ至っていません。

愛知(2022.12撮影)

このように、水産物は常に目視できるわけではないため、生態の全体像を完全に解明するのは非常に難しく、解明できたとしても実用化までにはさらなるハードルがあります。

とはいえ、生態さえ解明できれば、人工的な飼料の開発や適切な飼育環境の構築が可能になります。

完全養殖の可否を分ける要因

特に養殖が難しいのは、回遊性が高く、ライフサイクルの特定の時期に深海や特定の水域に移動する水産物です。

沖縄(2022.10撮影)

ウナギやマグロのような水産物は、産卵場所や稚魚の時期にどのような生活をしているのかを追跡しにくいため、生態の全体像を解明して「完全養殖」を行うことが長年困難でした。

※クロマグロについては2002年に完全養殖が成功し、現在は実用化も進んでいます。

大阪万博(2025.4撮影)

逆にいえば、淡水魚は比較的養殖がしやすい傾向にあります。淡水魚は回遊性が弱く、海に出るわけではないため生態の全体像を解明しやすいからです。

また、淡水魚に限らず海水魚であっても、回遊性が弱い水産物であれば生態を解明しやすく、養殖のハードルは下がります。

つまり、完全養殖ができるかどうかは「淡水魚か海水魚か」という区別よりも、「水産物の生態を把握しやすいか」によって決まります。

(2025.10撮影)

内水面養殖と海面養殖の管理の違い

一般的に、海で行う「海面養殖業」のほうが、淡水で行う「内水面養殖業」よりも管理が難しいとされています。

  • 内水面養殖:池や水槽で飼育できるため、水質・水温・病原菌の管理・制御が比較的容易です。
  • 海面養殖:海に設置したいけすでの飼育が主体となるため、自然の環境変化による影響を受けやすく、人間の手でコントロールすることが難しくなります。

このように、管理の面からも淡水での養殖のほうが比較的容易であると言えます。理の面からも淡水での養殖のほうが比較的容易であると言えます。

大阪万博(2025.4撮影)

中国で淡水魚の養殖が盛んな理由

こうした背景もあり、中国では淡水での養殖業が非常に盛んに行われています。

中国は内陸部が広大であるだけでなく、長江や黄河などの巨大な河川、そして無数の湖が分布しているため、養殖に必要な水資源が非常に豊富です。そのため、生態の解明がしやすく養殖の難易度が低い淡水魚が大量に養殖されています。

代表的な養殖魚として、コイとティラピアが挙げられます。

コイは古くから中国で重要なタンパク源として消費されてきた歴史があり、食文化に深く根ざした魚です。

一方、ティラピアはアフリカ原産で、中国に導入されたのは1950年代以降のことです。歴史的な伝統はないものの、成長が早く養殖しやすいという特性から、現在では中国の重要な養殖魚の一つとなっています。

豊富な水資源という地理的条件と、こうした各魚種の特性が結びついた結果、中国では淡水魚の養殖業が大きく発展しました。

中国の水産業をわかりやすく:なぜ養殖に力を入れるのか?
中国の水産業をわかりやすく:なぜ養殖に力を入れるのか?
世界の水産業の変化と背景:養殖が拡大するとどうなるか?
世界の水産業の変化と背景:養殖が拡大するとどうなるか?
もちおか
もちおか

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事、悪くないな、結構いいなと思っていただけた方はSNSでのシェアなど、お願いします!

Xnoteもやっています。ぜひフォローお願いします!

記事URLをコピーしました