ヨーロッパ

ヨーロッパで混合農業が発達した理由と、近年の変化

モチオカ(望岡 慶)

混合農業について。

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混合農業とは

耕種(=作物栽培)と畜産(=家畜飼育)を組み合わせて行う農業のこと。

  • 主食となる穀物や家畜のエサになる飼料作物を育て、
  • それを使って家畜(肉用・乳用)を飼育し、
  • 家畜のふんを畑の肥料として使う

※混合農業における「畜産」には、酪農も含まれる。

混合農業の様子:フランス〜ドイツ国境付近(2025.6撮影)

上空から見ると、カラフルなモザイク状の農地に見える。

  • 様々な作物を栽培している
  • 区画が細かく分かれていて、形が不規則(←長い歴史の中で開拓・相続してきた)

参考:ヨーロッパの農業をわかりやすく:地域差が大きいからこそ・・・

なぜヨーロッパで混合農業が発達したのか?

① 土地が広くないから、最大限に活かす必要があった

ヨーロッパでは、農地は昔から人々に使われ続け、代々の相続で分割されてきた。そのため、「新大陸」(南北アメリカ、オーストラリア)のように広大な農地があるわけではない。

規模が比較的小さい限られた土地からできるだけ多くの収穫や利益を得るために、土地をムダなく使う工夫が求められた。

② 作物と家畜の両方が生活に欠かせなかった

ヨーロッパの農民にとって、小麦やライ麦などの穀物は主食として欠かせないものである。同時に、牛や豚などの家畜も、肉や乳、労働力などの面で生活に必要な存在だった。

そのため、広くはない農地の中で、作物の栽培と家畜の飼育を両立させる工夫が必要だった。

ドイツ・ベルリンにて(2025.6撮影)

③ 作物と家畜は、おたがいを支え合う関係にあった

畑で育てた牧草や飼料作物は家畜のエサになり、逆に家畜のふんは畑に栄養分をもたらす堆肥になる。

化学肥料がなかった時代、作物の栽培と畜産を組み合わせることによって、畑の力(地力)を保ち続けることができた。

参考:土壌をわかりやすく:なぜ黒っぽい土は農業に適しているのか?【成帯土壌】

混合農業から「特化型農業」への変化

ヨーロッパの農家は昔ながらの混合農業から、より収益性の高い「特化型農業」へとシフトしていった。

その背景には、アメリカなどからの安価な穀物の大量流入がある。

  • アメリカやカナダのプレーリー地帯では、広大な農地を使って小麦やトウモロコシなどを大量生産する「企業的農業」が発達した。
  • その結果、安くて大量の穀物がヨーロッパにもどんどん入ってくるようになった。
  • 付加価値の小さい穀物生産では、狭い農地で混合農業を行っているヨーロッパは広大な農地でに特化しているアメリカに勝てない。

そこでヨーロッパの農家は、競争に勝てない穀物ではなく、地域性や付加価値を活かせる農産物にシフトしていくことになった

酪農(乳製品)牛乳やチーズは鮮度が命。長距離輸送が難しいため、地元生産が有利。
園芸農業(果物・野菜・花卉)痛みやすく、鮮度・品質が重視されるため、地元消費を意識した生産に向いている。
集約的畜産(豚・鶏など)飼料は輸入に頼るものの、少ない面積でも効率よく育てられるため、小規模農家でも成り立つ。
オランダ・アムステルダムにて(2025.6撮影)
アムステルダム近郊のビニールハウス(2025.6撮影)
オランダの首都アムステルダムの花市場(2025.6撮影)

なぜアジアでは混合農業は発達しなかった?

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