【解説&掘り下げ】2024共通テスト地理B 大問5 地域調査(島根県石見地方)
共通テスト地理(※)で9割超え、理想は満点!を目指していた僕が、実際にどんなふうに問題に取り組んでいたのかを紹介します。(※僕が受験生だった時はセンター試験でした)
70〜80点台で伸び悩んでいる人にとって、きっと参考になると思います!
大きく2つの場面に分けて解説します。
1. 問題を解いている最中の思考
- ① 時間を意識しながら、どうやって答えを特定していくか
- ② 自信がない時・迷った時に、どうやって確証を得るか
2. 解き終わった後の復習(事後学習)
- ③ 教科書知識の確認と、そこからの深掘り・整理
問題
問題は東進ハイスクールさん等のページを参照してください…!
解答番号25(中国地方の自然環境)
問題を解いている最中の思考
風上側にあたる日本海側の浜田市は、北西モンスーンの影響で降雪・降雨が見られる。なので、日照時間は少なくなるはず。
一方、モンスーンが山を越えた先にある広島市は日照時間が長くなるはず。
三次市は内陸にあり標高がそれなりに高そう、もしくは盆地(ってか中国山地の中の盆地にできた都市のはず)なので、平均気温は低めになるのかな。
ということで、最も日照時間が長いアは広島市。平均気温が低いイは三次市。日照時間が最も短いウは浜田市。
答えは⑤。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
特になし
解答番号26(商品やサービスによる商圏の違い)
問題を解いている最中の思考
食料品は住居の近くで購入する。衣料品・身回品は食料品よりも遠くに出かけて購入するだろう。娯楽・レジャーは田舎の石見地方に集積するのは無理だろう。周辺の大きめな都市まで遠距離移動をすることになるはず。
カは最も移動距離が短い。自地区で購買・利用する割合が25%以上の地域も多い。カは住居の近くで購入する食料品だろう。
キは移動距離が長い。自地区で購買・利用する割合が25%以上の地域はない。周辺の大きめな都市まで移動することがほとんどなので、キは娯楽・レジャーだろう。
クはカとキの中間って感じ。食料品よりも遠くに出かけているが、娯楽・レジャーほどではない。クは衣料品・身回品だろう。
よって答えは⑥。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
なぜ食料品や日用品は最寄品で、それらを扱うスーパーやコンビニの商圏は小さいの?
消費者が「安いもの・毎日使うものには、移動の労力をかけたくない(近場で済ませたい)」と合理的に判断するから。100円の大根や150円のノートを買うために、電車賃をかけたり車で30分かけたりするのは、コスト(交通費やガソリン代、時間)の方が高くついてしまい、割に合わないと感じる。
そのため、スーパーやコンビニは「狭い商圏の中にいる住人」を確実に捕まえるために、ドミナント出店(特定の地域に集中して出店)などをして、網の目のように店舗を配置する戦略をとる。
- 主な商品:食料品、日用雑貨
- 価格:安い
- 購入頻度:高い
- 消費者の行動:比較せず、近くの店で買う
- 店舗の例:コンビニ、スーパー
- 商圏:狭い(徒歩圏内)
- 主な商品:洋服、家電、家具
- 価格:中〜高い
- 購入頻度:中くらい
- 消費者の行動:色やデザイン、価格を比較して回る
- 店舗の例:百貨店、家電量販店
- 商圏:広い(電車・車で移動)
- 主な商品:高級車、高級ブランド、楽器
- 価格:非常に高い
- 購入頻度:低い
- 消費者の行動:遠くても特定のブランド・店を指名して行く
- 店舗の例:高級専門店
- 商圏:非常に広い(県外からも来る)
解答番号27(民間商業施設と公共施設の立地)
問題を解いている最中の思考
aが浜田市の中心地。コンビニエンスストアとまちづくりセンターともに、比較的近距離に立地する。
bはコンビニエンスストアが1つしか立地しておらず、aまで行かないとコンビニエンスストアがない。よって、コンビニエンスストアまで3km以上の距離に分布する人口の割合は大きいはず。
一方、まちづくりセンターは学校区内に分散している。3km以上の移動が必要な人口は少ないだろう。
よって、Xがコンビニエンスストアで、Yがまちづくりセンター。コンビニエンスストアまでの距離が3km以上の割合が大きいシがbだろう。
ではcはサで合っているだろうか?cは北部にコンビニエンスストアが2つ立地している。人口は北部に集まっているので、コンビニエンスストアまで3km以上の距離に分布する人口の割合は小さいだろう。
もう一箇所、人口が集まっているcの南方の地域の人はコンビニエンスストアまで3km以上の移動が必要になる。とはいえ、bよりもコンビニエンスストアまで3km以上の人口割合は小さいだろう。
一方、まちづくりセンターは人口密集地の北部と南部に1つずつ立地している。長距離の移動は必要ない人が多いだろう。よってcはサでOK。
答えは④。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
コンビニは全然ないのに、まちづくりセンターは田舎の奥まであるのはなぜ?
営利目的の施設(コンビニ)と公共目的の施設(まちづくりセンター)の立地パターンは異なる。
原理:儲かる場所にしか出店しない。
コンビニが経営を維持するために必要な最低限の人口に達していない地域には出店しない。
原理:すべての住民に公平にサービスを届ける(ナショナルミニマム)。
税金で運営されていて利益を出す必要がないため、あえて採算が取れない過疎地域にも配置される。
特に過疎化が進む地域では、高齢者の見守り、災害時の拠点として意図的に残されている。
解答番号28(地形と土地利用の関係)
問題を解いている最中の思考
①Eは内湾になっている。内湾は波が穏やかなので港として利用しやすい。
②確かに地方は自動車が不可欠な社会であることが多いと思うが、Fの写真を見るに、道路幅はそんなに広くない。3車線以上ではないように見える。古くからの街道がそのまま道路になっているにすぎないのでは。
それに、地方(しかも島根)でわざわざモータリゼーションに対応した大規模な再開発をするだろうか?
地形図を見るとFの近くには(駅近と言えるほどではないものの)鉄道が走っているので、Fの街は駅まで徒歩で歩く人が多い街なのでは。だから道路幅も狭くて問題ないのだろう。②は誤りだと思う。
③Gはきれいに区画されていて、明らかに埋立地に見える。正しい。
④Hの周りにはくねくねと曲がった等高線が複数引かれていて、高台だったことが伺える。しかしH付近には周囲にあるような等高線が見られないので、この辺りは平坦な土地となっている。切土や盛り土をしたのだろう。正しい。
よって答えは②。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
特になし
解答番号29(江戸時代の商品流通)
問題を解いている最中の思考
タは砂糖・塩だと思う。中国山地と四国山地に挟まれていて乾燥しがちな瀬戸内は、かつて塩田が多くあり製塩業が盛んだった。だから瀬戸内から浜田に塩を運んでいたのだろう。砂糖は鹿児島から大阪に運ばれたものが、浜田にも運ばれたのかな。
昆布は北海道から運ばれたものだったはず。
浜田から東北・北陸地方への商品流通は海路によって行われただろう。石見地方の特産品の陶器を陸路で運ぶのは大変。重いし、割れる心配があるし。チは海路。
浜田経由で砂糖・塩や陶器を北陸・東北・北海道に運び、帰りの船で北海道の昆布や東北の米を大阪に運んだ、ということ。
答えは③。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
日本海側の海運(西廻り海運)により栄えた都市の具体例は?
西廻り海運が確立した江戸時代において、日本海沿岸の多くの港町が北前船の寄港地となり、物資の集積・流通拠点として栄えた。
西回り海運は、主に東北や北陸の年貢米や特産品を、下関を経由して「天下の台所」と呼ばれた大坂へ運ぶために、江戸時代初期に河村瑞賢によって本格的に整備された。
酒田(山形県)
- 西廻り海運の北の起点。
新潟(新潟県)
- 信濃川や阿賀野川といった大河川の舟運と直結している。
小木(新潟県佐渡市)
- 佐渡島の南端に位置する。
輪島(石川県)
- 能登半島の港町。
- 漆器(輪島塗)も有名。
※敦賀・小浜(福井県)は、西廻海運が確立する以前は北陸から上方(京都・大坂)へ物資を運ぶ際の主要な玄関口だった。
なぜ北海道は昆布の生産が盛ん?
昆布は冷たい海水じゃないと育たない海藻。
解答番号30(過疎問題)
問題を解いている最中の思考
Pは③。地元への愛着を醸成するために、伝統行事を残す。
Qは①。日常生活における移動の利便性を向上させるために、交通空白地帯における改善を行う。
Rは④。働く場所を作るために、廃校という既存施設を活用してコストを抑える。
Sは②。地域産品をアピールするために地元の水産物をブランド化する。
答えは③。→正解でした!
解き終わった後の復習(事後学習)
過疎対策とは?
- 人の流出を防ぐ(社会減少を抑える)
- 人の流入を促す(社会増加を促す)
- 出生率を上げる(自然増加を促す)



