中国・四国地方の自然環境(地形・気候)をわかりやすく
中国・四国地方は、瀬戸内沿岸は恵まれているものの、博多や大阪のような大都市が生まれることはなかった。
その理由は、中国・四国地方の地理的条件にある。

中国・四国地方の地形

中国・四国地方の山地
中国山地 | |
吉備高原 | |
四国山地 |

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中国・四国地方の平野
広い平野が少ない。
鳥取平野 | |
出雲平野 | |
津山盆地 | |
岡山平野 | |
広島平野 | |
讃岐平野 | |
徳島平野 | |
松山平野 | |
高知平野 |


中国・四国地方の河川
江の川 | 読み方は「ごうのかわ」。 |
太田川 | |
吉野川 | 徳島平野を形成。 |
四万十川 |

中国・四国地方の海
瀬戸内海 | |
中海 | 読み方は「なかうみ」。 |
宍道湖 | 読み方は「しんじこ」。夕陽が綺麗。 |
鳴門海峡 | 渦潮が見られる。 |
周防灘 | |
関門海峡 | |
土佐湾 | |
宇和海 | 読み方は「うわかい」。リアス式海岸が見られる。 |



中国・四国地方の気候
山陰・瀬戸内・南四国で異なる。

山陰
日本海に面した山陰は、夏は南東の季節風の風下になるため降水量が比較的少なくなる。冬は北西からの湿った季節風が吹くため雨や雪の日が多くなる。
瀬戸内
中国山地と四国山地にはさまれた瀬戸内は、夏と冬の季節風が山地に遮られるため、降水量が少ない。
南四国
太平洋に面した南四国は、夏は南東からの湿った季節風が吹き込んでくるため降水量が多い。また、暖流の黒潮が近海を流れているため、冬でも温暖。
重要ポイント
瀬戸内は恵まれている
日本海に面している山陰側は、冬季に荒天が多く、安定した航行や港湾利用が難しい。
太平洋に面している南四国(高知)は黒潮の影響を受けて外洋にさらされやすく、大規模港湾の形成には不利。
その点、瀬戸内海は波が穏やかで、島々が風や波を遮るため、安全で利用しやすい港湾が多い。また、博多と大阪を結ぶ交通・物流の中継地として、瀬戸内沿岸は自然と都市・港が発達しやすかった。

大規模都市の形成には限界があった
しかし、瀬戸内の都市は、博多や大阪のような大都市には育ちにくかった。
なぜなら、瀬戸内沿岸は海岸線が入り組み、平野も小規模で、大都市が立地しやすい広大な土地が少ないからである。

また、瀬戸内は降水量が少なく、河川は短くて流量が乏しいため、水資源を確保しにくかったからである。
- 飲料水や生活用水が不足 → 人口が集中しにくい
- 農業用水が乏しい → 食料を確保しにくい
- 工業用水が不足 → 大規模産業が立地しにくい(ただし近代以降はダム建設や用水整備で克服)

あくまで「通路」
中国・四国地方の中で最も恵まれている瀬戸内といえど、博多や大阪のように国際的・全国的な大都市は育たなかった。
瀬戸内が担ったのは、あくまで博多と大阪・東京をつなぐ「通路」的な役割にとどまった。
参考文献
長谷川利昭ほか. (2010). ホウ素による西南日本弧火山の沈み込み成分マッピング. 科学研究費補助金研究成果報告書.
Stern, R. J. (2002). Subduction zones. Reviews of Geophysics, 40(4), 3‐1–3‐38.