世界

中国が「世界の工場」と呼ばれる理由:Temuはなぜあんなに安いのか?

モチオカ(望岡 慶)

「メイドインチャイナ」はなぜこれほど世界中にあふれているのか。

その背景にある仕組みと、いま起きている流通革命を説明します。

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「世界の工場」中国の実態

中国が「世界の工場」と呼ばれるのは、世界中の企業が自社商品の製造を中国の企業や工場に大量に委託しているからです。

その中心となるのが「OEM」と「ODM」という仕組みです。

OEM(Original Equipment Manufacturing)製品の企画は自社で行い、製造のみを中国の工場へ発注するやり方です。「このような商品を作ってほしいが、自社に工場がない」という企業が中国の工場を活用します。
ODM(Original Design Manufacturing)中国の工場側がデザインや製品開発までを手がけるやり方です。工場側が作ったサンプルを外国企業が吟味し、採用が決まれば自社のロゴをつけたり綺麗な箱に入れたりして販売します。

身近な具体例として、デンマーク発の雑貨ブランド「フライングタイガーコペンハーゲン」が挙げられます。

企画はデンマークの本社で行い、製造は中国の工場へ発注する、あるいは工場側の既存デザインをもとに共同開発して商品を仕入れています。

そのため、実際に店頭の商品を見てみると、そのほとんどに「メイドインチャイナ」と書かれているのが分かります。

コペンハーゲン(2026.2撮影)

なぜ中国(特に深圳)に発注が集まるのか

世界中の企業が製造拠点として中国を選んできた背景には、3つの理由があります。

労働コストの低さ

かつての中国は人口が多く、農村部に十分な雇用がなかったため、都市部へ出稼ぎに行きたいという大きな需要がありました。

そのため、比較的安価な賃金でも働く労働力を農村から都市へと大量に確保することができ、製品を安く製造できる体制が生まれました。

※現在は中国国内の賃金水準が大幅に上昇しており、単純な低賃金を強みとする時代はすでに変わりつつあります。近年はベトナムやバングラデシュなどへ生産が移転するケースも増えており、「安い労働力」だけで中国を選ぶという時代は終わりを迎えつつあります。

深圳博物館(2024.3撮影)
深圳博物館(2024.3撮影)
深圳博物館(2024.3撮影)

深圳を中心とするサプライチェーン

中国の最大の強みは、自社工場を持たなくてもモノづくりができる体制が整っていることです。

その象徴ともいえる都市が、香港の隣に位置する深圳(しんせん)です。

深圳博物館(2024.3撮影)
深圳(2024.3撮影)
深圳(2024.3撮影)

深圳には部品の調達から試作品の作成、そして量産にいたるまでの全工程がエリア内で完結するサプライチェーンが構築されています。これにより、外国企業が「こんな商品を作りたい」と考えてから製品化するまでのスピードが圧倒的に早くなります。

深圳 華強北(2024.3撮影)
深圳 華強北:世界最大の電子部品市場があり、世界中のバイヤーや開発者がアイデアを形にするために集まる(2024.3撮影)
深圳 華強北(2024.3撮影)
深圳 華強北(2024.3撮影)
深圳 華強北(2024.3撮影)

国際物流網

深圳の工場でつくられた製品は、深圳港や隣接する香港港から世界中へと発送されます。

深圳港は現在、世界屈指のコンテナ取扱量を誇る巨大港に成長しており、単独でも世界トップクラスの物流能力を持っています。

深圳博物館(2024.3撮影)

香港は自由貿易港として税関手続きのスムーズさという強みを持ちます。

このように、「早く作れて、すぐに届く」という強みが現在も中国・深圳の競争力の核心となっています。

近年の変化

格安ECサイト(Temu)の台頭

最近の面白い変化として、「Temu(テム)」の登場が挙げられます。

Temuは、中国の工場や販売業者が出品するマーケットプレイス型のECサイトです。これにより、消費者と中国の工場・業者が直接つながるようになりました。

このサービスが登場する前は、

  • 日本の業者が中国で商品を安く買い付ける(発注する)
  • 日本に届いた商品を日本語のパッケージに入れ直す
  • 自社のロゴをつけて販売する

というパターンが一般的でした。

しかし、ネット通販の進化によって現在では買い付けのノウハウや中国語のスキルがなくても、日本の消費者が直接、卸値に近い価格で商品を購入できるようになっています。

この流通構造の変化は、これまで間に入っていた日本の買い付け業者などに、かなりの打撃を与えていると考えられます。

グレーターベイエリア構想

深圳・香港・マカオ、そして広州をはじめとする広東省の都市群。これらをひとつの大きな経済圏としてまとめようという国家プロジェクトが、中国政府が進める「グレーターベイエリア構想」です。正式名称は「粤港澳大湾区(えつこうおうだいわんく)」といいます。

この構想のポイントは、「それぞれの都市が得意なことを分担し、協力し合う」という点にあります。各都市の役割は、次のように整理できます。

  • 香港:お金を動かす「金融」の中心地。世界中の銀行や投資家が集まっており、企業がお金を集めたり、国際的なビジネスの取引を行ったりする拠点となっています。
  • マカオ:観光・リゾート産業の拠点。かつてポルトガルの植民地だった歴史から、ポルトガル語を使う国々(ブラジルやアフリカ諸国など)とのビジネスの橋渡し役も担っています。
  • 広州:古くから商業・貿易の中心として栄えてきた都市。製造業の集積地でもあります。
  • 深圳:最先端技術やIT産業のハブ。ファーウェイやDJIなどの世界的な企業が生まれた都市で、中国のシリコンバレーとも呼ばれています。

参考文献

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