中国の気候をわかりやすく:用語の丸暗記にならないために
中国という地域の本質は、「1つにまとまるのが難しい場所だが、1つにまとまるのが決して不可能ではない場所。ゆえに中国は分裂と統一を繰り返してきた」ということ。
そして、その背景には地形と気候の特徴がある。
→「分裂と統一を繰り返す」という中国の本質を理解するために、地形と気候について学ぶ!

中国の気候
気候の大前提
温暖で雨が多い地域(農業がしやすい地域)は生活しやすく、人が集まりやすい。
中国の気候の仕組み
季節風(モンスーン)の影響を強く受ける。
- 夏:南の海洋からの暖かく湿った風が吹き、降水量が多くなる
- 冬:北の内陸からの冷たく乾いた風が吹き、降水量が少なくなる

※特に中国南部には丘陵や山地が多いため、降水量が多くなる。夏の湿った季節風が山にぶつかることで、上昇気流が生じるため。また、台風の通り道でもある。
- ユーラシア大陸の東部でモンスーンが吹く理由
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ユーラシア大陸の東部でモンスーン(季節風)が吹くのは「ユーラシア大陸の東部は”陸地らしさ”がものすごく強く発揮される」から。
ユーラシア大陸の西岸(ヨーロッパ)では、海の上を吹く偏西風の影響で陸地の気温の上昇・下降にブレーキがかかる。
しかし、その影響(海洋性の湿った空気の影響)は大陸の東部までは届かない。ユーラシア大陸はあまりにも東西に広い大陸だから。(※偏西風自体はユーラシア大陸東部にも届いているが、風の湿度や温度が変わっている)
この結果、ユーラシア大陸の東部では「温まりやすく冷めやすい」という陸地の性質がモロに発揮される。
しかもユーラシア大陸の東部の陸地は広い。南北に広がる形状になっている。
そのため、「温まりやすく冷めやすい」という陸地の性質はさらに発揮されやすくなる。
こうして、
- 夏は陸地の気温が高くなって上昇気流が生じるので海から強く風が吹き込むことになり、
- 冬は陸地の気温が低くなって下降気流が生じるので海へと強く風が吹き出すことになる。
これがモンスーン(季節風)がユーラシア大陸の東部で吹く理由。
地域ごとの気候

東北 | 冷帯冬季小雨気候(Dw):冬は極寒で長く、夏は短く暑い。 |
華北 | 冷帯冬季小雨気候(Dw):冬は乾燥、夏は高温で雨が多い。 |
華中 | 温暖湿潤気候(Cfa):四季が明瞭。 |
華南 | 温暖湿潤気候(Cfa)、温帯冬季小雨気候(Cw):年中温暖で雨が多い。 |
西部内陸 | 砂漠気候(BW)、ステップ気候(BS):内陸部なので降水量がかなり少ない。 |
※チンリン・ホワイ川線:中国東部南部に位置するチンリン山脈と淮河を結ぶ線のこと。年降水量1,000mmの降水量線とほぼ一致する。北は「華北」、南は「華南」で、華北は小麦の栽培、華南はコメの栽培が盛ん。

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重要ポイント
恵まれた気候だからこそ、人がたくさん住める
中国の多くの地域は温暖で、モンスーンの影響でよく雨が降る。
この雨やチベット高原に蓄えられた水は、黄河や長江という大きな川になって東へ流れ、平野部に肥沃な土をもたらした。
このような環境は、稲作など多くの人を養える農業に向いていた。
つまり、中国は昔から多くの人が生きることができる場所だった。人が住める場所(人口密度の高い場所)は東部に偏っており、西部は人が少ない。
