人間の活動

農家への補助は必要なのか?

モチオカ(望岡 慶)

農業の特徴

社会的必要性が高い

農業は、人間の生活にとって欠かすことのできない産業。人間は食べなければ生きていけない。

また、食料の供給が不安定になれば、物価が上昇し、人々の健康が損なわれ、最終的には治安の悪化や社会の不安定さにもつながりかねない。

特に、災害や戦争、輸入ストップといった有事の際には、国内で安定して食料を生産できるかどうかが国家の命運を分けることになる。

つまり農業は、単なる「産業」のひとつというよりも、社会全体の安定と安全を守る基盤としての役割を担っている。

しかし、そうした重要性とは裏腹に、農業は経済的には非常に脆弱で、リスクの大きい産業でもある。

経済的脆弱性が高い

自然に左右されやすいことはもちろん、努力が必ずしも報われるとは限らない

たとえば、どれだけ丁寧に作物を育てても、台風や大雨、干ばつなどで一瞬にしてすべてが失われることがある。

しかも皮肉なことに、豊作になった年ほど価格が下がり、赤字になってしまうことがある。

さらに、農業には「売れないリスク」がつきまとう。少しでも形が悪かったり、サイズが外れていたりすると「規格外」として流通に乗せられず、やむなく廃棄せざるを得ない。

農家は弱い立場にあり儲かりにくい

また、農家は「価格を自分で決められない」という弱い立場にも置かれている。

農産物は生鮮品であることが多く、保存がききにくいという特徴がある。市場に大量に出回ったときには、買い叩かれてしまうことが多くある。

取引は多くの場合、卸売市場などで行われるが、そこでは「相場」で価格が決まり、生産者が希望価格を出せる場面はほとんどない。

さらに、流通の過程では卸・仲卸・小売など複数の業者が関わるため、消費者が支払う価格のうち、生産者に届く金額はごく一部にすぎないという構造になっている。

さらに農業は、製品としての差別化が難しく、たとえ品質が良くても「選ばれる理由」をつくるのが簡単ではありません。

ブランド化や販路の工夫といった努力が報われることもありますが、それができるのは一部の農家に限られ、多くの人にとっては自助努力だけでは限界がある構造になっている。

だから農家への補助は必要!

このように、農業は「社会にとって不可欠である」にもかかわらず、個々の農家の立場から見ると、非常に不安定でリスクの高い産業である。

だからこそ、農業には公的な支援=補助が必要。

それは「弱いものを助ける」という意味ではなく、「社会全体の基盤を守る」という視点からの戦略的な投資なのだ!

というのが一般的な理解だが、本当なのだろうか?

本当にすべての農家に補助を出し続ける必要があるのだろうか?

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