【地理】北アメリカの自然環境(地形と気候)をわかりやすく
移民の侵入の仕方がわかるように
北アメリカの地形
地形の大前提
- 山を越えるのはしんどい
- 平地なら、人やモノの移動がしやすい
この2つを基本にして、北アメリカの山や平野を見ていく。


北アメリカの山地
| ロッキー山脈 | 北アメリカ大陸の西側を南北に貫く、新期造山帯の険しい大山脈。標高4,000m級の峰々が連なり、大陸の分水嶺となっている。 |
| アパラチア山脈 | 大陸東部に位置する、なだらかな古期造山帯の山脈。標高は低く、石炭などの地下資源が豊富で、東側の麓には滝線都市群が形成された。 |
| シエラネヴァダ山脈 | カリフォルニア州東部に位置する険しい断層山脈。西側はカリフォルニア盆地(セントラルヴァレー)、東側は乾燥の著しい大盆地(グレートベースン)。 |
| コロラド高原 | ロッキー山脈の南西に広がる、標高の高い隆起高原。コロラド川による浸食が進み、グランドキャニオンに代表される深い峡谷が発達している。 |
| アラスカ山脈 | |
| ラブラドル高原 | カナダ北東部、ローレンシア台地の一部をなす安定陸塊の高原。氷河に削られた古い岩盤が露出し(カナダ楯状地)、鉄鉱石資源が豊富。 |
北アメリカの平野
| 中央平原 | アパラチア山脈とプレーリーの間に広がる平坦地。ミシシッピ川流域を含み、湿潤で肥沃な土壌が広がるアメリカ最大の農業地帯の一部。 |
| プレーリー | ミシシッピ川以西からロッキー山脈東麓に広がる長草草原の平原。肥沃なプレーリー土が分布し、トウモロコシや大豆の栽培が盛ん。 |
| グレートプレーンズ | プレーリーのさらに西、ロッキー山脈の東麓に広がる半乾燥の広大な台地状平原(短草草原)。チェルノーゼムに似た肥沃な黒色土があり、企業的穀物農業や放牧が行われる。 |
| セントローレンス低地 | 五大湖からセントローレンス川に沿って広がる平地。カナダの人口・産業の集積地。 |
北アメリカの河川
| ミシシッピ川 | 北米最大級の流域面積を誇る大河。流れが緩やかで支流が多いため、古くから内陸部を結ぶ南北の水運の要として、アメリカの経済統合を支えてきた。 |
| リオグランデ川 | アメリカとメキシコの国境を流れる川。乾燥地帯を流れるため、農業用水としての利用価値が高い。 |
| コロラド川 | ロッキー山脈からカリフォルニア湾へ注ぐ川。乾燥した南西部を流れる貴重な水源であり、グランドキャニオンの形成やフーバーダムによる大規模な発電・灌漑を支える。 |
| コロンビア川 | 北米北西部を流れ太平洋に注ぐ川。水量が豊富で落差が大きいため、世界有数の水力発電地帯となっており、地域のアルミニウム工業などを支えている。 |
| ミズーリ川 | ロッキー山脈に源を発するミシシッピ川の最大支流。ミシシッピ川本流よりも長く、合流点から西方の広大な平原(グレートプレーンズ)を横断している。 |
| セントローレンス川 | 五大湖と大西洋を結ぶ重要な水路。セントローレンス海路として整備され、五大湖沿岸の工業地帯と世界を結ぶ。 |
北アメリカの海・湖・半島
| メキシコ湾 | 北米南部の広大な湾。温暖な海域で、海底油田(石油・天然ガス)が豊富。また、沿岸部はハリケーンの通り道としても知られる。 |
| ハドソン湾 | カナダ北部の巨大な内海。一年中氷に閉ざされる期間が長く、周囲は古い岩盤(ローレンシア台地)が露出している。かつては毛皮貿易の主要ルートであった。 |
| 五大湖 | 氷河の浸食によって形成された世界最大級の淡水湖群。水運、飲料水、工業用水の供給源として、周辺の鉄鋼業や自動車産業などの発展に決定的な役割を果たした。スペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖 |
| フロリダ半島 | 北アメリカ大陸の南東端に突き出した、低平な石灰岩質の半島。 |
北アメリカの気候
ここまで地形を見てきたが、それと同じくらい重要なのが「気候」。
なぜなら、気候は人々の暮らし方や農業の発展に直結するから。


多様な気候
北アメリカの気候は、西経100度線による東西の分断と、緯度による南北の変化によって特徴づけられる。

西経100度線付近が乾燥と湿潤の境界
西経100度線付近を年降水量500mmの等降水量線が通過する。
- 東側(湿潤地域): 年降水量500mm以上。農業に適した湿潤な地域が広がる。
- 西側(乾燥地域): 年降水量500mm未満。ステップ気候や砂漠気候など、乾燥した台地や山岳地帯が広がる。
緯度による南北の変化(大陸東部〜中央部)
緯度の上昇に従って、熱帯から寒帯へと変化する。
- 寒帯(ET): 北極海沿岸。樹木が育たない凍土の広がるツンドラ気候。
- 冷帯(Df): 大陸北部(カナダ・アメリカ北部)。冬の寒さが厳しい冷帯湿潤気候。
- 温帯(Cfa): 大陸南東部。温暖で四季があり、夏に降水が多い温暖湿潤気候。
- 熱帯(Am): フロリダ半島南端部。年間を通じて高温多湿な熱帯気候。
温暖な気候(太平洋岸)
偏西風と海流の影響を受け、沿岸の狭い範囲に特殊な気候が分布する。
- 西岸海洋性気候(Cfb): 高緯度側の北西沿岸部。偏西風の影響で、高緯度のわりに冬が穏やかで、年中雨が降る。
- 地中海性気候(Cs): カリフォルニア州周辺。夏は乾燥して晴天が続き、冬に一定の降水がある。
なぜ北アメリカ大陸の東部でモンスーンが吹かないのか?
北アメリカ大陸はユーラシア大陸ほど東西に広いわけではなく、東部の陸地が広いわけでもない。大きな湖(五大湖)もあるし。
→北アメリカ大陸は”陸地らしさ”があまり発揮されず、アジアほどのモンスーンは吹かない。
※ただ、モンスーン的な風は吹くには吹く。でもアジアに比べると微弱。
参考:North American monsoon(Wikipedia)
参考:Australian monsoon(Wikipedia)
なぜ北アメリカはヨーロッパと違って西岸海洋性気候が広く分布しないのか?
西ヨーロッパには海からの風をさえぎる山脈がない一方、南北アメリカには海からの風をさえぎる山脈(ロッキー山脈、アンデス山脈)がある。
また、大西洋は比較的狭いため、メキシコ湾流という暖流が熱を帯びたままヨーロッパ近海まで到達する一方、太平洋は広大なため、日本付近を流れる暖流(黒潮)が東へ進んで北米西岸に届く頃には相対的に熱を失ってしまう。
ゆえに、ヨーロッパでは内陸まで西岸海洋性気候が広がるが、北アメリカでは沿岸の狭い範囲にしか西岸海洋性気候が見られない。
北アメリカの自然環境の重要ポイント
アメリカ合衆国は自然環境に恵まれている地域
アメリカ合衆国は自然環境に恵まれている。特に東部は地形的にも気候的にも人間が暮らしを営みやすい地域である。
アメリカ合衆国の東部には平原が広がり、温暖で降水量が多い地域が多く分布する。低くなだらかなアパラチア山脈の東側の麓では、滝の落差による水力を活用することができる。
中央部、ミシシッピ川流域から西方のグレートプレーンズにかけては、世界最大級の肥沃な平坦地が広がる。
西部はロッキー山脈を中心とした山岳地帯が広がっていて降水量も少ないので、人間の居住に適している地域は限られているものの、太平洋岸(カリフォルニア・オレゴン・ワシントン州)は温暖で農業にも適している。
ミシシッピ川
特にアメリカ合衆国が恵まれていたのは、中央部に広大な平坦地が広がり、大河川であるミシシッピ川が流れていることだろう。
ミシシッピ川は流れが緩やかなため、船で行き来しやすい。また、支流が多く、アメリカ中央部の広範囲をカバーしている。
本来、内陸部は移動・交易が困難で発展から取り残されやすいが、ミシシッピ川の存在が国内の経済統合を支え、アメリカ合衆国を強大な国家たらしめた。
カナダは人間の居住に適した場所が限られる
カナダの国土の大部分は、人間の居住に適しているとは言い難い。
カナダは北アメリカ大陸の北部に位置し、国土の大部分が冷帯(亜寒帯)に属する。かつて氷河が大陸を覆っていたことから、氷食を受けた痩せた土壌が広がっている。東部にはロッキー山脈を中心とした山岳地帯が広がっている。
人間の居住に適した地域は、主に以下の3地域である。
- セントローレンス川によって作られた谷
- 五大湖周辺
- 太平洋岸
地形・気候は植民の在り方と深く関わる
フランス系の侵入
フランス人は、大陸の巨大な水系を侵入経路として選択した。
- 北の入り口: セントローレンス川から内陸へ入り、ケベックやモントリオールを拠点とした。
- 南の入り口: ミシシッピ川の河口から遡上し、広大な内陸部(ルイジアナ)を確保した。
イギリス系の侵入
一方、イギリス人は現在のアメリカ東海岸に上陸した。
- 入植地のすぐ西側にはアパラチア山脈が南北に走っていた。このなだらかながらも険しい山脈が障壁となり、イギリス人の活動範囲はしばらくの間、東部沿岸平原に限定された。
西漸運動:温帯から乾燥帯へ
アメリカ合衆国として独立後、人々はついにアパラチアを越え、西への拡大(西漸運動)を開始する。最終的にロッキー山脈を越えて太平洋岸へと到達した。










