オセアニア

ポリネシア・メラネシア・ミクロネシアの違いをわかりやすく

モチオカ(望岡 慶)

太平洋の島々を学ぶ時に出てくる区分が「ポリネシア・メラネシア・ミクロネシア」。

なぜこのように分けるのか?よくわからないまま暗記するやつ。

この記事では、「ポリネシア・メラネシア・ミクロネシア」は具体的に何が違うのか?をわかりやすく説明したい。

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ポリネシア・メラネシア・ミクロネシアの違い

もともとは「とりあえず分けた」だけ

実はこれ、19世紀にヨーロッパの探検家や学者が「太平洋の人々を分類しよう!」と考えて、とりあえず分けたもの。ギリシア語で名前をつけた。

  • Polynesia(ポリネシア) = 「多くの島々」
  • Melanesia(メラネシア) = 「黒い島々」
  • Micronesia(ミクロネシア) = 「小さな島々」

つまり、「島の大きさ」や「人の見た目」というざっくりした特徴から生まれた分類に過ぎない。

よって、あまり厳密に考えすぎないほうがいい。

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「人類の移動・拡散」という視点で理解する!

ポリネシア・メラネシア・ミクロネシアの違いは、「人類の移動・拡散」という視点から理解するのがいい。

  • ポリネシア=拡散の最終段階
  • メラネシア=ミックス
  • ミクロネシア=(たぶん)周りからの寄せ集め

このように、「だいたいこんな感じ」と大まかなイメージをつかむくらいがちょうどいい。

オークランド博物館にて(2024.11撮影)

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ポリネシア:太平洋拡散の最終段階

ポリネシア人は、台湾やフィリピンあたりを出発点としたオーストロネシア語族の大航海の最終段階の人たち。

カヌーで太平洋を渡り、ハワイ・ニュージーランド・イースター島と、最も遠くまで広がっていった。

言語や文化に共通性があり、メラネシア人に比べると一般に肌の色がやや明るめ(褐色〜小麦色)。

オークランド博物館にて(2024.11撮影)

メラネシア:ミックスの地

ニューギニア島あたりの人たち(パプア系)と、台湾〜東南アジア方面から海を渡ってきた人たち(オーストロネシア語族)のミックス。

遺伝的にも言語的にも非常に多様だが、強い紫外線環境に適応し、「メラ(黒い)ネシア」という名前の通り、非常に肌の色が濃い人々が多い。

大阪万博のパプアニューギニア展示(2025.9撮影)
大阪万博のパプアニューギニア展示(2025.9撮影)
大阪万博のパプアニューギニア展示(2025.9撮影)

ミクロネシア:(たぶん)周りからの寄せ集め

ミクロネシアは「小さな島々」という意味。その起源・歴史はまだ研究途上。

一部はポリネシア人に近い系統、一部はメラネシアやフィリピンに近い系統。島ごとに成り立ちが違うため、まとめて「ミクロネシア人」と言うのはかなり便宜的。

大阪万博のパプアニューギニア展示(2025.9撮影)

なぜオーストラリアは別枠なのか?

よく出る疑問が「なぜオーストラリアは、3つの分類のどこにも入らないの?」というもの。

国立民族学博物館にて(2025.9撮影)

オーストラリアの先住民であるアボリジニは、数万年前に大陸に到達した人々の子孫で、大陸に到達した後、ほとんど外部から大規模な移住や混血を経験していない。

地理的にはメラネシアに近いが、「ミックスの地」ではないのである。

そのため、オーストラリアはポリネシア・ミクロネシアはもちろん、メラネシアとも別枠で理解されている。

メルボルン博物館にて(2024.11撮影)
Q
オーストラリアとニューギニアの特異性

最終氷河期(約11万年前〜1万年前)には、海水面が現在より低かったため、東南アジアでは多くの島々が陸続きになり、スンダランドと呼ばれる広大な大陸を形成していました。

  • スンダランド: 現在のマレー半島、スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島などが陸続きになった地域です。
マレーシア国立博物館にて(2024.12撮影)

しかし、オーストラリア大陸やニューギニアは、その隣に位置するにもかかわらず、スンダランドとは海によって隔てられていました。この海峡はウォーレス線として知られ、動植物の分布境界線にもなっています。

  • サフル大陸: オーストラリアとニューギニア、そしてタスマニアは、最終氷河期には陸続きになり、サフル大陸と呼ばれる一つの大陸を形成していました。

この地理的な隔絶のため、人類がサフル大陸に到達するには、海を渡る必要がありました。これは、陸路で移動してきた人類の歴史において、大きな転換点となりました。人類は初めて(筏やカヌーのようなもの)を使い、海を越えることを試み、成功したのです。

このことから、オーストラリアやニューギニアへの人類の到達は、単なる移動ではなく、人類が高度な航海技術と知能を発揮した、歴史上最初の出来事の一つとして、極めて特別な意味を持っています。

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参考文献

木村靖二他(2023). 『世界史探究 詳説世界史』. 山川出版社.

帝国書院編集部(2025). 『最新世界史図説タペストリー 二十三訂版』. 帝国書院.

矢ケ﨑典隆他(2023). 『新詳地理探究』. 帝国書院.

帝国書院編集部(2021). 『新詳 資料地理の研究』. 帝国書院.

ジャレド・ダイアモンド(2013). 『銃・病原菌・鉄 上巻』. 草思社.

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