鉱産資源の概要
地下に埋蔵されている有用な鉱物や岩石。
- エネルギー資源
- 金属資源
- 非金属資源
エネルギー資源
一次エネルギー:天然のまま形を変えないで利用するエネルギー
(例)水力、風力、潮力、薪、石炭、石油、天然ガス
二次エネルギー:一次エネルギーを加工・変形したエネルギー
(例)木炭、コークス、電力、液化石油ガス、液化天然ガス
木炭:木材を蒸し焼きにして炭化させたもの。
コークス:石炭を乾留(蒸し焼き)にして炭素部分だけを残した燃料。乾留することで燃焼時の発熱量が高くなり、高温を得ることができる。
化石燃料:大昔の動植物が枯死し、地圧と地熱の影響で生じたエネルギー源。
(例)石炭、石油、天然ガス
自然エネルギー:自然現象によって生じるエネルギー。
(例)水力、風力、潮力、波力、太陽熱、地熱
水素エネルギー:水素を燃焼させることで生じるエネルギー。
- 水素は大量に存在する
- 燃焼させても大気汚染の心配がない
- 発電効率が高い
原子力エネルギー:核分裂によって生じるエネルギー。
金属資源
鉄、銅、鉛、ボーキサイトなど。
非金属資源
石灰石、硅砂(けいさ)、陶土、硫黄、石綿(いしわた)、ダイヤモンドなど。
各鉱産資源について
鉄鉱石
【産出】
- 坑道堀り
- 露天掘り
【有名な鉱山】
メサビ
イタビラ
カラジャス
ロレーヌ:古くからドイツとの争いのもとになった。
キルナ
アンシャン(鞍山)
ゴア
ピルバラ地区:マウントホエールバック、マウントトムプライスがある。
オーストラリアやブラジルの資源メジャーが価格決定権を握っている。
銅
電気の伝導に優れる。
【用途】
電線や合金
【主な生産国】
チリ、中国、ペルー、アメリカ合衆国
カッパーベルト:コンゴ民主共和国南東部からザンビアの北部にかけて分布する銅鉱床地帯。
鉛
【用途】
蓄電池
亜鉛
【用途】
メッキなど鉄類の防食用
ボーキサイト
アルミニウムの原鉱石
熱帯・亜熱帯の高温多湿地域に分布。
オーストラリア、中国、ブラジル、ギニア、インド
アルミニウムは軽金属の代表(比重が鉄の3分の1)。
スズ(錫)
【用途】
青銅、ハンダ、活字
金
【主な生産国】
南アフリカ共和国、ロシア、カナダ
銀
【主な生産国】
ペルー、メキシコ、中国、チリ、オーストラリア
ダイヤモンド
最も硬い鉱物。装飾用と工業用がある。
【主な生産国】
ロシア、ボツワナ、コンゴ民主共和国、オーストラリア、カナダ
ウラン
天然に存在する最も重い元素。核分裂により巨大な熱を放出する。
【主な生産国】
カナダ、カザフスタン、オーストラリア、ナミビア、ロシア、ニジェール
レアメタル
地球上での存在量が少ないか、純粋な金属として取り出すことが困難な金属。
クロム、チタン、コバルト、マンガン、ニッケルなど。
ニッケル
マンガン
クロム
チタン
軽くて耐食性・耐熱性に優れる。
【用途】
ジェットエンジンやロケットの部品
コバルト
エネルギー
エネルギー革命
エネルギー消費の中心が石炭から石油へと変化したこと。
- 石油の方が熱効率が高い
- 第二次世界大戦後に西アジアなどで油田開発が進んだ
一次エネルギー供給構成
自分の国でエネルギー資源を生産できる→その資源の消費割合が高くなる
石炭:中国、インド、オーストラリア、南アフリカ共和国、ポーランド
天然ガス:ロシア、イギリス、オランダ
石油:サウジアラビア、メキシコ
火力発電
・消費地の近くに立地可能な発電方式
・用水が豊富で電力需要の大きい大都市に多く立地
・燃料の受け入れがしやすい臨海部に立地
・原子力発電よりも危険性が低い
分類
- 汽力発電
- 内燃力発電
- ガスタービン発電
- コンバインドサイクル発電
水力発電
・建設費が高く、消費地から遠い
黒部ダム(@富山県)
電力は貯蔵しにくい
→いかに貯蔵するか?
水力:揚水式発電(豊水時や深夜の余剰電力を利用して、水を汲み上げておく)
蓄電池
原子力発電
核分裂の際に生じる熱を利用して、蒸気でタービンを回転させて電気を得る。
・二酸化炭素の排出が少ない
課題
- 安全性
- 廃棄物の処理方法
核燃料
- ウラン235(自然に存在する)
- プルトニウム(人工)
発電用原子炉の分類
- 軽水炉形
- 重水炉形
- 黒煙ガス炉
- 高速増殖炉
太陽光発電
- 昼夜の変化や天候の変化によって発電量が大きく変動する
- 直流発電なので、インバータにより交流に変換しなければならない
宇宙太陽光発電
地熱発電
地下にある高温の熱水や蒸気を利用して行う発電。
- 二酸化炭素を排出しない
- 立地の制限がある(地熱を利用できる場所が国立・国定公園ないにあって開発規制がかかっている)
- 蒸気の温度と圧力が低いため、大容量の発電ができない
- 昼夜を問わず発電ができるので、原子力発電に代わるベース発電設備として期待されている
風力発電
風の力を利用して行う発電。一定方向に強い風が吹く地域に適している(←偏西風)。
- 騒音が発生する
- 鳥類への被害が発生する
- カリフォルニア
- オランダ
- デンマーク
洋上風力発電(→日本は急に海底が深くなる場所が多いので、浮体式が合う)
海洋エネルギー発電
- エネルギー密度が低い
- 塩害に対する設備の維持管理が難しい
分類
- 海潮流発電
- 波力発電
- 潮汐発電
- 海洋温度差発電
- 塩分濃度差発電
- 洋上風力発電
バイオマス発電
動植物や微生物の中で、燃料に転化できる生物エネルギーであるバイオマスを利用した発電。
各国の発電
原子力:フランス
水力:ブラジル、カナダ、ノルウェー
※カナダの氷河湖に貯まった水を利用
※ノルウェーは年間を通して降水量が多い
風力:ドイツ、スペイン、イギリス(←偏西風)
太陽光
地熱
バイオマスエネルギー:生物資源からつくられるエネルギー
- ブラジル:サトウキビ
- アメリカ合衆国:トウモロコシ
エネルギー資源の輸送
石油:タンカー、パイプライン
天然ガス:パイプライン、LNG
石炭
発電の仕組み
水を沸かして、蒸気でタービンを回して、電磁誘導で電気を起こす。
だから、燃やすとむちゃくちゃ熱くなるモノが必要。これが燃料。
※太陽光発電はタービンを回すわけではない
※水力発電、風力発電は水を沸かすわけではない
エネルギー資源
石油
【用途】
- 火力発電の燃料
- 自動車の燃料
- 暖房器具の燃料
- プラスチック、ゴム、化学繊維の原料
原油→石油(原油を精製したもの)
石油にはさまざまな成分が入っている→蒸留などで成分を分離させて使う
- ガソリン
- 灯油
【輸送】
【主な生産国】
石炭より分布が偏っている。
- サウジアラビア
- ロシア
- アメリカ合衆国
【有名な油田】
メキシコ湾岸油田
マラカイボ湖油田:ベネズエラ有数の油田。
北海油田:ヨーロッパ最大。水深が大きく荒海のため、生産費が高い。
キルクーク油田:イラク有数の油田。クルド人居住地域(クルディスタン)に位置する。
ガワール油田:サウジアラビア有数の油田。世界最大の埋蔵量。世界原油市場においてかなり重要。
【主な輸出国】
【石油開発の歴史】
石油開発は生産コストが高い(油田の探査、採掘、原油の精製、輸送)
→かつてはアメリカ合衆国・イギリス・フランス・オランダの巨大石油企業(国際石油資本:メジャー)が独占していた
→第二次世界大戦後、メジャーが西アジアなどで油田開発
→安価で大量に流通
→1960年にOPEC(石油輸出国機構)が結成される。1968年にはOAPEC(アラブ石油輸出国機構)。メジャーに対抗。
→1973年と1979年に石油危機(油田の国有化、産油国は原油価格の大幅な引き上げを行う)
これ以降、原子力発電を推進する国が増える
石炭
【用途】
- 火力発電の燃料
- 鉄鋼業の原料(コークス)
【輸送】
固体なので輸送費が高い
【主な生産国】
- 中国
- インド
- アメリカ合衆国
【有名な炭田】
ルール炭田:ドイツ工業発展の原動力となった。近年、産出量は低下。
アパラチア炭田
ドネツ炭田
フーシュン(撫順)炭田:日露戦争後、日本の手に渡った。
タートン(大同)炭田:中国で最大規模の炭田。
ダモダル炭田:インド有数の炭田。
石狩炭田:エネルギー革命による石油燃料への転換、コスト増などを理由に次々と閉山。夕張市は財政破綻。
筑豊炭田:1973年に閉山。
【主な輸出国】
- インドネシア
- オーストラリア
天然ガス
- 燃焼時の二酸化炭素の排出量が石炭や石油より少ない
- 酸性雨の原因物質となる硫黄酸化物を排出しない
【用途】
- 火力発電の燃料
- シェールガス
【輸送】
陸上:パイプライン
海上:液化天然ガス(LNG)にして、LNGタンカーで
【主な生産国】
- アメリカ合衆国
- ロシア
電力
新たなエネルギー資源
- オイルシェール(油母頁岩)
- タールサンド(油砂)
- メタンハイドレード
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参考文献
通信教育
学習漫画・参考書
社会科チャンネル
社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。