地理

林業

 

望岡 慶
望岡 慶
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林業

世界の森林面積=陸地面積の約3割

「商品」製造に数十年かかる産業で、近代経済になかなか馴染まない

 

木材の用途

  • パルプ
  • 合板材
  • 建築材
  • 薪炭材

 

熱帯林

蓄積量は豊富だが、開発が遅れていた

  • 多種類の樹木が混在→伐採に手間・経費がかかる
  • 労働力が不足
  • 大市場が遠い
  • 輸送機関が整備されていない

しかし近年、開発が進む

  • 温帯林の枯渇
  • 先進国の資本・技術を投下

 

チーク

堅硬でひずみが少なく、油分を含むため、虫害や鉄による腐敗を防ぐ。船材、建築材、車両材などに利用。インド、タイ、ミャンマー、マレーシアなどで産出される。

ワラン

淡紅色をなし、美しい。合板材、床材、家具材などに利用。フィリピン、カリマンタン島などで産出される。

ユーカリ

葉からとれるユーカリ油を薬品や香料として利用。オーストラリアでの自然発火による山火事の一因。

 

温帯林

昔から開発されていたため、天然林は少ない。

 

シイ(椎)

やや硬くて弾力に富む。建築材として土台・屋根板などに利用。シイタケ栽培の原木にも利用。日本列島の中部以南の暖地に分布。

カシ(樫)

材質は強くて弾性に富み、湿気にも強い。船舶・車両、薪炭材などに利用。

ブナ(橅)

建築材、家具材、床板、合板、パルプ材、薪炭材として利用。

ナラ(楢)

硬く緻密。建築材、家具、洋酒の樽材、薪炭材などに利用。シイタケ栽培の原木にも利用。

スギ(杉)

 

ヒノキ(檜)

木目が直通で精緻。腐りにくく保存性に優れる。芳香や光沢がある。日本建築の最高材。

 

冷帯林

開発しやすい

  • 軟木が多く、加工しやすい→製材・パルプ材
  • 純林であることが多い(→伐採の手間・経費が小さい)
  • 大市場に近い

 

エゾマツ(蝦夷松)

パルプ材、建築、包装、楽器などに利用。

カラマツ(唐松)

耐湿性がある。建築の土台、橋、坑木などに利用。

 

 

林業が発達する条件

  • 有用樹がまとまって大量に存在する
  • 伐採・運搬しやすい
  • 労働力・資本に恵まれている
  • 輸送機関が整備されている

 

 

日本の林業

日本の林業の課題

  • 木材自給率は3割
  • 林業従事者の高齢化、後継者不足
  • 森林所有権が集約されていない
  • 地籍測量がなされていないので境界がわからない(所有者不明の土地も少なくない)

→非効率な林業

山林が放置されている

  • 労働力不足
  • 国内外の木材価格差が大きくなった

生産性を上げるために機械化を進める必要がある

  • 土地の所有者が協同して、大型の機械が入る道路網を作る

 

ところが、山林の集団管理が進まない

  • 森林管理を放棄した地主の存在
  • 不在地主の存在
  • 相続人が見つからない

参考:2100年、人口3分の1の日本』

 

山の地価よりも伐採費用の方が高い

所有者不明の土地の問題が解決すれば、企業が買収できる

 

ウッドショック

  • 歴史的な低金利で米国の住宅市場が活況
  • 中国による木材の高値買い付け(日本は中国に買い負ける)
  • 日本に木材を輸送する手段がない(新型コロナによるロックダウンで海運業に携わる港の労働者が減少したため、コンテナが世界中の港に滞留することになり、世界的なコンテナ不足となった)

 

 

日本の木あまり

日本では森林蓄積が年々ふくれあがっている。

  • 戦後の大造林
  • 外材は間に商社などが介在するので流通がスムーズだが、国産材の流通はスムーズではない
  • バブル崩壊で住宅建設が伸びなくなった
  • 阪神・淡路大震災で木造住宅が忌避されるようになった
  • 人口減少

 

 

なぜ日本の林業は衰退したのか

  • キツいから
  • 1960年代から木材輸入自由化により輸入木材が増加したから
  • 1980年代半ば以降の円高で輸入木材に割安感が出たから
  • 石油危機後の木材需要低下・バブル経済後の木材需要低下により木材価格が低迷し、産業が育たなかったから(→人工林は間伐されず、跡地に植林されず)
  • 森林の所有構造が複雑だから

 

戦時中

木材は軍需物資として大増産された→森林減少

戦後

復興・高度経済成長により、木材消費量が増大した

→1950年代に外材輸入を解禁し、国産材は銘木供給にシフト

1970年代に変動相場制が導入され、円高ドル安が進んだ

→外材が割安に

1990年代に和室需要が減少し、洋風住宅が一般的になった

→銘木である必要がなくなり、外材需要が高まった

 

「安い外材に押されて…」は必ずしも正しくはない

 

 

木材の輸入先

1970年頃:フィリピンから

1970年代後半〜:インドネシア、マレーシアから

インドネシアで丸太の輸出規制→合板などに加工してから輸出

1980年代後半〜:マレーシアから

近年:カナダ、アメリカ合衆国、ロシアなどから(東南アジアからは合板での輸入が中心)

 

かつて日本で外材と言えば南洋材だった。東南アジアや南太平洋の熱帯ジャングルから伐り出された直径2メートルを超すような大木が大量に輸入された。

実は21世紀に入ると日本の南洋材輸入は激減して、木材需要の1割に満たず、丸太に限れば1%以下になっていた。

引用:2021年「南洋材時代」は終焉を迎えるか

 

森林と地球温暖化

日本は国土の3分の2が森林で、恵まれた自然環境を有しているが、森林面積を増やす余地は少ない。

→既存の森林がより二酸化炭素を吸収できるようにする必要がある。

  • 間伐
  • 木材の利用

※林齢が上がるにつれて、木の成長・二酸化炭素吸収量は減少する。
※日本の人工林の多くが1960年代までに植林されたもの。

 

 

 

林業について学べる本・映画

僕が実際に読んだ本・観た映画を紹介します!

 

本『図解 知識ゼロからの林業入門』(2016)

 

本『絶望の林業』(2019)

 

本『森林・林業はよみがえるか』(2016)

 

本『林業がつくる日本の森林』(2016)

 

映画『WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~』

林業の問題点についてはあまりわからないけど、林業のイメージをざっくりつかむのにおすすめ。普通に面白い。長澤まさみがかわいい。

 

 

 

望岡 慶
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