中部地方の地誌についてまとめました!
- フィールドの特徴
- 人間の活動の特徴
- 人口
- 産業
- どんな産業が盛ん?
- 中京工業地帯で自動車工業が盛んなのはなぜ?
- 愛知と岐阜で航空宇宙産業が盛んなのはなぜ?
- 静岡県浜松市で楽器生産が盛んなのはなぜ?
- 静岡県浜松市でオートバイや自動車の生産が盛んなのはなぜ?
- 静岡県浜松市で光学製品の生産が盛んなのはなぜ?
- 静岡県富士市で製紙・パルプ工業が盛んなのはなぜ?
- 渥美半島で園芸農業が盛んなのはなぜ?
- 静岡県で茶の栽培が盛んなのはなぜ?
- 甲府盆地や長野盆地でぶどう・桃の生産が盛んなのはなぜ?
- 長野県でそばの生産が盛んなのはなぜ?
- 長野県の諏訪盆地で精密機械工業が盛んなのはなぜ?
- 電気機械工業
- 北陸で稲作が盛んなのはなぜ?
- 新潟県燕市で洋食器の生産が盛んなのはなぜ?
- 福井県鯖江市でメガネフレームの生産が盛んなのはなぜ?
- 富山県でアルミニウム関連の産業が盛んなのはなぜ?
- どんな有名企業がある?
- 交通
- エネルギー
- 防衛
- 歴史
- 観光スポット
- 地理に関する他の記事はこちら
フィールドの特徴
まず中部地方のフィールドの特徴についてです!
位置
中部地方はどこにある?
中部地方は日本の本州の中央部に位置している。日本海と太平洋に面した地域。
日本海に面した地域を北陸、中央部の山岳地帯を中央高地、日本海に面した地域を東海と呼ぶこともある。
大都市である東京、大阪の中間地点にある。
→東京、大阪向けの農作物の栽培などが盛ん
地形
平野・盆地はどこにある?
中部地方の主な平野・盆地
(新潟)
- 越後平野
- 高田平野
(富山)
- 富山平野
(石川)
- 金沢平野
(福井)
- 福井平野
(山梨)
- 甲府盆地
(長野)
- 長野盆地
- 松本盆地
(岐阜)
- 濃尾平野
(静岡)
(愛知)
- 濃尾平野
このうち、より多くの人口が集まっている平野は濃尾平野。濃尾平野は昔は川の氾濫が多かった地域だったが、治水事業により住宅地が増えた。
山地・山脈はどこにある?
- 越後山脈
- 関東山地
- 飛騨山脈(日本アルプス)
- 木曽山脈(日本アルプス)
- 赤石山脈(日本アルプス)
- 両白山地
- 伊吹山地
河川・湖はどこにある?
- 信濃川(→松本盆地、長野盆地、越後平野)
- 阿賀野川(→越後平野)
- 黒部川(→富山平野)
- 九頭竜川(→福井平野)
- 木曽川(→濃尾平野)
- 長良川(→濃尾平野)
- 揖斐川(→濃尾平野)
- 富士川(→甲府盆地)
- 大井川
- 天竜川
※千曲川(ちくま がわ)は信濃川の長野県での呼称。長野盆地を流れる。
- 諏訪湖
- 浜名湖
特徴的な海岸は?
- 富山湾
- 若狭湾
- 伊勢湾
- 駿河湾
温泉はどこにある?
- 下呂温泉(岐阜)
- 飛騨高山温泉(岐阜)
- 熱海温泉(静岡)
気候
どんな風が吹く?
夏は南東からの季節風が吹く。
冬は北西からの季節風が吹く。
どんな海流が流れている?
- 対馬海流:暖流
- 黒潮(日本海流):暖流
気候の特徴は?
太平洋に面した東海は、東京よりも海沿いに位置していて湿った空気が海から吹き込んでくるため、夏の降水量が多い。また、暖流の黒潮が近海を流れているため、冬でも温暖。
中央部の山岳地帯である中央高地は、海から離れた内陸で標高が高いため、気温の年較差が小さく降水量は少なめ。夏は盆地で高温になるが、高原は比較的涼しい。
日本海に面した北陸は、夏は南東の季節風の風下になるため降水量が比較的少なくなる。冬は北西からの湿った季節風が吹くため降雪量が極めて多くなる。
自然災害
人間の活動の特徴
このようなフィールドで、人間はどのような活動をしているのでしょうか?
人口
主な都市は?
中部地方全体の人口は約2,114万人(2020)。この人口が次のように分布している。
- 名古屋市:233万人
- 浜松市:79万人
- 新潟市:78万人
- 静岡市:69万人
- 金沢市:46万人
- 豊田市:42万人
- 富山市:41万人
- 岐阜市:40万人
- 岡崎市:38万人
- 一宮市:38万人
政令指定都市
- 名古屋市:233万人
- 浜松市:79万人
- 新潟市:78万人
- 静岡市:69万人
人口はどう変化している?
産業
どんな産業が盛ん?
- 自動車(愛知県豊田市、静岡県浜松市)
- オートバイ(静岡県浜松市)
- 光学製品(静岡県浜松市)
- 楽器(静岡県浜松市)
- 製紙・パルプ(静岡県富士市)
- 航空宇宙産業(岐阜、愛知)
中京工業地帯で自動車工業が盛んなのはなぜ?
昔は綿花の生産地で繊維工業が発達した地域だったことにより、機械を作る技術が培われていた
海に近く名古屋港などを利用しやすいため、製品の出荷・輸出をしやすい
近くに製鉄所(日本製鐵名古屋製鉄所)や石油化学コンビナート(コンビナート四日市)があるため、部品を仕入れやすい
※綿花の栽培には干鰯や〆粕などの肥料(金肥)が必要なので、綿花の生産地は魚を大量に入手できる港が近くにある方が望ましい
愛知と岐阜で航空宇宙産業が盛んなのはなぜ?
自動車産業が盛んな地域(航空機産業のコア技術は共通している:燃料を燃焼して機体を動かす)
(例)
- 三菱航空機(愛知県西春日井郡)
- 川崎重工業航空宇宙システムカンパニー(航空宇宙事業:岐阜、愛知)
- SUBARU 航空宇宙部門(愛知県半田市)
静岡県浜松市で楽器生産が盛んなのはなぜ?
昔は綿花の生産地で繊維工業が発達した地域だったことにより、機械を作る技術が培われていた
材料となる木材を天竜川を使って運搬しやすかった
※綿花の栽培には干鰯や〆粕などの肥料(金肥)が必要なので、綿花の生産地は魚を大量に入手できる港が近くにある方が望ましい
(例)
- ヤマハ
- カワイ
- ローランド
静岡県浜松市でオートバイや自動車の生産が盛んなのはなぜ?
戦時中に織物機械や楽器の工場が軍用の飛行機部品工場などに転用された
戦後、GHQにより飛行機生産が禁止された結果、その技術をオートバイや自動車の生産に活かすようになった
(例)
- ホンダ発祥の地
- スズキ
静岡県浜松市で光学製品の生産が盛んなのはなぜ?
浜松ホトニクスがある(1953年に堀内平八郎が「浜松テレビ株式会社」として創業)
※浜松はイの字を表示した世界初のテレビ開発の地(開発したのは「日本のテレビの父」と呼ばれる高柳健次郎)
※堀内平八郎は高柳健次郎の教え子
静岡県富士市で製紙・パルプ工業が盛んなのはなぜ?
富士川や富士山の伏流水など水資源が豊富
首都圏に近い
渥美半島で園芸農業が盛んなのはなぜ?
暖流の黒潮が近海を流れているため平均気温が高く、日照時間が長いことから、渥美半島はもともと農業に適した条件を持っている。
しかし、大きな河川がなく台地や砂丘が多い地域だったため、灌漑用水の確保の点で作物の栽培が難しかった。
1968年、大規模な用水路(豊川用水)が整備されて水を安定的に確保できるようになり、さらにほぼ同時期に東名高速道路が開通して大都市への輸送がしやすくなった。
その結果、都市向けの野菜や花などを栽培する園芸農業が発展した。
(例)
- 電照菊
- メロン(←ガラス温室やビニールハウスを利用)
※渥美半島は冬でも温暖なので、温室の暖房にかかるコストを抑えることができる
静岡県で茶の栽培が盛んなのはなぜ?
静岡県の牧之原や磐田原は茶の栽培に適した条件を満たす地域
茶の栽培は、気候が温暖で冬に寒くなりすぎず(霜がおりることが少なく)、適度な降水量があり、日当たりと水はけが良い場所が適地
甲府盆地や長野盆地でぶどう・桃の生産が盛んなのはなぜ?
扇状地は稲作に適さない
→明治時代以降、外貨獲得産業として製糸業が重視された
→養蚕が盛んに行われ、蚕のえさとなる桑の畑として扇状地が利用された
→昭和期の恐慌や戦争、化学繊維の普及によって日本の養蚕業が衰退
→桑畑だった扇状地を果樹栽培に利用
(理由)
- 扇状地は水はけがいい
- 扇状地は日あたりがいい
- 特に、盆地にできる扇状地は昼夜の寒暖差が大きいため、甘い果物を作るのに適している
長野県でそばの生産が盛んなのはなぜ?
冷涼な気候なので、品種改良の技術が未熟な頃は稲作を行うのが難しい地域だった
寒冷地でも栽培できるそばの生産が盛んに行われ、その伝統が今でも残っている
長野県の諏訪盆地で精密機械工業が盛んなのはなぜ?
戦前の製糸業の発達とともに、機械を扱う技術が培われていた
戦時中、空襲を避けるために機械工業が諏訪盆地に疎開してきた
水資源が豊富で空気が澄んでいるため、部品の製造・洗浄に適した場所だった
明治時代以降、外貨獲得産業として製糸業が重視された
→諏訪湖の水資源を活用できる諏訪盆地でも製糸業が発達した
→昭和期の恐慌や戦争、化学繊維の普及によって製糸業が衰退した
→戦時中、空襲を避けるために製糸工場の跡地に多くの機械工業が移転してきた
→製糸業の発達とともに培われていた織物機械を修理する技術を活かせたこともあり、機械工業が発達した
(例)
- セイコーエプソン(→SEIKOブランドの腕時計)
- NC旋盤・自動旋盤・旋盤加工(長野)
電気機械工業
電気機械工業の工場が進出
- @富士山の裾野の高速道路沿い
- @甲府・松本・長野の高速道路沿い
北陸で稲作が盛んなのはなぜ?
冬の降雪が多いため、大量の水(融雪水)を利用できる
冷害が少ない
耕地整理や農作業の機械化が進められた
(例)
- 米菓:亀田製菓、三幸製菓、岩塚製菓、ブルボン
- もち:越後製菓、サトウ食品
- 日本酒
新潟県燕市で洋食器の生産が盛んなのはなぜ?
江戸時代に、農民の副業として和釘製造が奨励された(←水害などにより農業が打撃を受けることが多かったため)
※和釘は1本ずつ手打ちで作られる。現在「釘」と言われてイメージするものは洋釘で、明治時代にヨーロッパからもたらされた
→江戸の大火などにより和釘の需要は絶えず、燕地域の住民の鍛治技術が向上した
→明治時代になると洋釘が輸入され、和釘の需要が減少した
→鍛治技術が様々なものに転用され、その一環でカトラリーなどの金属製洋食器の生産が盛んになった
福井県鯖江市でメガネフレームの生産が盛んなのはなぜ?
冬に農作業ができない農民の副業として、明治時代にメガネフレーム生産が始まった
富山県でアルミニウム関連の産業が盛んなのはなぜ?
アルミニウムの生産には、原料のボーキサイトから不純物を取り除いたアルミナ(酸化アルミニウム)を電気分解することが必要
精錬の工程で大量の電力を消費するため、アルミニウム工業は安価な電力を得やすい地域に立地するのが有利
水力発電専用の黒部ダムがある富山県は安価な電力を得やすい地域
富山湾は水深が深く、原料や製品を運搬する港として優秀
※北陸電力の電気料金は安い
(例)
- アルミサッシ
どんな有名企業がある?
交通
どんな交通機関がある?
【中部地方への行き方】
(陸路)
鉄道
- 大宮から越後湯沢を経由して新潟に至るルート(上越新幹線)
- 高崎から軽井沢・長野を経由して金沢に至るルート(北陸新幹線)
- 東京から甲府・塩尻・多治見を経由して名古屋に至るルート(中央本線)
- 東京から静岡・愛知・岐阜・滋賀・京都を経由して大阪に至るルート(東海道新幹線、東海道本線)
- 米原から敦賀・福井を経由して金沢に至るルート(北陸本線)
- 舞鶴から敦賀に至るルート(小浜線)
自動車
- 東京から静岡を経由して愛知に至るルート(東名高速道路)
- 神奈川から静岡を経由して愛知に至るルート(新東名高速道路)
- 東京から甲府・飯田・多治見を経由して愛知に至るルート(中央自動車道)
- 大阪から京都・滋賀を経由して岐阜・愛知に至るルート(名神高速道路)
- 三重から愛知に至るルート(東名阪自動車道、伊勢湾岸自動車道)
- 滋賀から敦賀・福井・金沢・富山・新潟に至るルート(北陸自動車道)
- 兵庫から舞鶴を経由して敦賀に至るルート(舞鶴若狭自動車道)
- 鶴岡から日本海沿いを通ってに新潟至るルート(国道7号)
- 米沢から新潟に至るルート(国道113号)
- 会津から新潟に至るルート(磐越自動車道、国道49号)
(空路)
中部地方にはたくさんの空港があり、日本国内の主要都市から直行便が運行されている。
外国から中部地方に行く場合は、羽田空港や成田空港などの国際空港で乗り継ぎをするか、中部国際空港(セントレア)を利用する方法が一般的。上海・ソウル・台湾など一部地域との間で国際線が就航している空港もある。
- 中部国際空港
- 小松空港
- 名古屋空港
- 新潟空港
- 静岡空港
- 富山空港
- 松本空港
- 福井空港
- 佐渡空港
(海路)
フェリーを利用して新潟、敦賀、伊良湖に行くことができる。
エネルギー
発電所はどこにある?
中央高地は内陸部なので、火力発電所や原子力発電所を建設できない
→東北電力(新潟)
→東京電力(山梨、静岡)
→中部電力(長野、岐阜、静岡、愛知)
→北陸電力(富山、石川、福井)
原子力発電所
防衛
防衛施設はどこにある?
自衛隊
米軍基地
歴史
観光スポット
地理に関する他の記事はこちら
通信教育
学習漫画・参考書
社会科チャンネル
社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。