少子化の原因は本当に「子育ての負担が大きいから」なの?
少子化対策の効果的な方法について考えるために、結婚と出産に関する意識調査を確認してみます。
今回参照したデータは国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」です。
結婚の捉え方
未婚者の生涯の結婚意思
未婚者の生涯の結婚意思を示したデータです。
男女ともに結婚意思が近年急速に弱まってきていることがわかります。
こちらは年齢別にみたデータ。
結婚・家族に関する未婚者の意識
結婚・家族について未婚者はどのような考えを持っているのか?に関するデータです。
「結婚していなくても、子どもを持ってかまわない」に反対している人の割合は約5割。子どもを持つには結婚というハードルをクリアしなければいけない、と考えている未婚者が多いことがわかります。婚外子に不寛容な傾向が読み取れます。
結婚しない理由
「独身でいる理由」を選択した未婚者の割合
未婚者はなぜ独身でいるのか?に関するデータです。
25〜34歳の「適当な相手にまだめぐり会わないから」の割合の高さに注目です。
結婚相手の条件として重視・考慮する割合
結婚相手に何を求めるのか?を示すデータです。
男女差が大きいのは学歴・職業・経済力。これは
- 男性は結婚する女性に高い社会的地位を求めないが、
- 女性は結婚する男性に高い社会的地位を求める
という傾向を表していると考えて良さそうです。
女性の社会進出にともない、このマッチングが成立しにくくなってきている(=女性より高い社会的地位を持っている男性をなかなか見つけられない)ことが推察できます。
平均初婚年齢
平均初婚年齢などを示したデータです。
平均初婚年齢を見ると、全体的に初婚年齢は高くなっていることがわかります。いわゆる晩婚化。
見合い結婚の割合が低下したことも晩婚化の一因かもしれません(お見合いは結婚の成立につながりやすそう)。
子どもを産まない理由
理想の子ども数を持たない理由
理想の子ども数に関するデータです。
1人も子どもを持てていない理由として「ほしいけれどもできないから」が突出していることに注目です。
また、3人以上子どもを持ちたいと考えている人にとって経済的負担が大きなハードルとなっていることがわかります。
夫婦の平均理想子ども数と平均予定子ども数
夫婦の平均理想子ども数と平均予定子ども数に関するデータです。
平均理想子ども数・平均予定子ども数ともに減少傾向にはあります。が、少子化のイメージと反して、平均予定子ども数はそれほど大きく変化していないことがわかります。
まとめ
以上のデータから、少子化の理由としてクリティカルに効いているのは「非婚化・晩婚化」だと思います。(←社会科の教科書に書いてある通りです)
。もちろん「子どもを持つことのの経済的負担が大きい」ことも理由だとは思いますが、その影響は「非婚化・晩婚化」よりも小さいのではないでしょうか
国会で子育て支援について熱く議論されていることと裏腹に・・・