外国人の受け入れとは?
高年収の専門職に1年で永住権 外国人材獲得へ政府
政府は17日、日本で働く高度外国人材を増やす新たな受け入れ策を決定した。年収2000万円以上の技術者らが滞在1年で永住権を申請できる制度を新設する。世界の上位大学の卒業者に就職活動で最長2年の滞在を認める。世界で加速する人材の奪い合いへ踏み込んだ政策が欠かせない。
このニュース(政策)を理解できるように、外国人の受け入れに関する全体像の基本的な部分をざっくりまとめました。
Q.日本にとって必要な人材とは?
人材を
- レベル軸:high / normal / low
- 時間軸:now / future
の3×2=6通りに超ざっくり分けると、今現在の日本が「こんな人材が必要だ!!!」って強く思っていそうなのは次の3パターンかなと思います。
- high × now(今、高度な仕事をしてもらう)
- high × future(将来、高度な仕事をしてもらう)
- low × now(今、低賃金な仕事をしてもらう)
もちろんnormalな人材も日本にとっては必要ですが、normalな人材は自然と大量に発生するわけなので、特に意識する必要がありません。
Q.日本にとって必要な人材を日本人だけで確保できる?
highレベル人材に関して言うと、日本人に対する教育によってある程度は確保できるとは思います。
が、かといって「教育すれば誰でも優秀になれる」わけではないというのも事実なので、日本人だけで十分に確保するのは厳しそう。
lowレベル人材に関して言うと、「きつい仕事はしたくない」って思っている日本人は結構多いと思うので、これも日本人だけで十分に確保するのは厳しそう。
実際、低賃金労働力を外国人が支えている・・・というのが日本の現状。
Q.外国人に来てもらえばいいのでは?
日本人だけで必要な人材を確保するのが難しいのであれば、「日本に来たいと思っている人」に来てもらって必要な人材を確保しよう!っていう発想になってもおかしな話ではないですよね。
ということで、必要な人材を確保するべく以下のような枠組みで政策が打たれるわけです。
- high × now →高度外国人材に関する制度
- high × future →高度外国人材に関する制度
- low × now →外国人技能実習生に関する制度
Q.高度外国人材が日本に来やすくするためには?
「日本に行ってもいいな」って考えている高度外国人材が実際に日本に来やすくするためには、次のような環境整備が必要になります。
high × nowにとって
- 日本での永住資格をゲットしやすい(←今は原則10年以上の滞在が必要でハードルが高い・・・)
- 本人・家族が日本語を習得しやすい(←今は日本語学校の質にバラツキがある・・・)
high × futureにとって
- 日本で就職活動しやすい(←今は短期滞在90日が最長・・・)
- 本人が日本語を習得しやすい(←今は日本語学校の質にバラツキがある・・・)
※上記の環境整備が不十分で日本に来るハードルが高ければ、高度外国人材はより魅力的な国(シンガポールなど?)を選んでしまう
これが今回の「高度外国人材に1年で永住権」の政策の背景。
ちなみに1月末に「日本語教師に国家資格」という報道がありましたが、
参考資料
外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議
高度外国人材の受入れに係る新たな制度の創設について(案)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai15/siryou1.pdf
在留資格一覧表(出入国在留管理庁)
【居住資格】
永住者(無期限)
日本人の配偶者等(5年、3年、1年または6月)
永住者の配偶者等(5年、3年、1年または6月)
定住者(5年、3年、1年、6月または法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲))
【活動資格】
(就労資格)
外交(外交活動の期間)
公用(5年、3年、1年、3月、30日または15日)
教授(5年、3年、1年または3月)
芸術(5年、3年、1年または3月)
宗教(5年、3年、1年または3月)
報道(5年、3年、1年または3月)
(就労資格,上陸許可基準の適用あり)
高度専門職(5年 / 無期限)
経営・管理(5年、3年、1年、6月、4月または3月)
法律・会計業務(5年、3年、1年または3月)
医療(5年、3年、1年または3月)
研究(5年、3年、1年または3月)
教育(5年、3年、1年または3月)
技術・人文知識・国際業務(5年、3年、1年または3月)
企業内転勤(5年、3年、1年または3月)
介護(5年、3年、1年または3月)
興行(3年、1年、6月、3月または15日)
技能(5年、3年、1年または3月)
特定技能(1年、6月または4月 / 3年、1年または6月)
技能実習(1年を超えない範囲 / 2年を超えない範囲)
(非就労資格)
文化活動(3年、1年、6月または3月)
短期滞在(90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間)
(非就労資格,上陸許可基準の適用あり)
留学(4年3月を超えない範囲)
研修(1年、6月または3月)
家族滞在(5年を超えない範囲)
特定活動(5年、3年、1年、6月、3月または法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲))
※在留者が多い「技術・人文知識・国際業務」の資格は、留学生が大学卒業後に日本企業で正社員になるというルートを可能にしている
永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定):出入国在留管理庁
審査基準
(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
ウ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ ただし,日本人,永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には,(1)及び(2)に適合することを要しない。また,難民の認定を受けている者の場合には,(2)に適合することを要しない。