【地理】都市と村落をわかりやすく

人間はどういう場所に住むのか?人が集まるとどうなるのか?
人はどういう場所に住もうとする?

人が住居に求めることは一人一人違うが、どんな人も基本的には「いい場所」に住みたい。
「いい場所」=その時点での生活ニーズと資源(時間、お金、体力)を最大限に満たす場所。
その人にとっての「いい場所」には、年齢や家族構成(ライフステージ)に応じた傾向がある。
単身・若年層
- ニーズ:経済性、通勤・通学、自己実現、交流、エンターテイメント。
- 「いい場所」の要素:都心への近さ、交通の利便性、経済的な賃料、夜間まで賑わう商業施設へのアクセス。
夫婦・子育て期
- ニーズ:安全性、教育、生活コスト、広さ。
- 「いい場所」の要素:治安が良いこと、保育園や学校へのアクセス、公園や子育て支援施設の充実、郊外でも広い間取りを確保できる場所。
子育て終了・熟年層
- ニーズ:利便性、医療・福祉、資産価値、趣味。
- 「いい場所」の要素:医療機関へのアクセス、日常生活の買い物の利便性(徒歩圏内)、交通機関の使いやすさ(車に依存しない)、趣味の施設への近さ。
高齢者
- ニーズ:健康、介護・福祉、安心感、QOL(生活の質)。
- 「いい場所」の要素:バリアフリーの環境、緊急時の医療サービス、地域社会とのつながり、高齢者施設へのアクセスが良い場所。
また、経済力(所得や資産)も、ライフステージと並んで、住む場所の傾向を決定づける最も大きな要因の一つ。
豊かな人
- 利便性、環境、社会的地位を優先する。
- 都心の一等地:職住近接を実現できる高級マンションやタワーマンション。
- 高級住宅街:郊外であっても、広大な敷地、良好な住環境、ブランド力のある学区を持つ場所。
貧しい人
- コストの最小化、生活の維持を優先する。
- 都市の辺縁部・郊外:都心から離れた、土地の価格や賃料が安いエリア。
- 低賃料住宅:築年数が古い、もしくは立地条件が悪い集合住宅が多く集まるエリア。
人が集まる場所(=集落)の分類
集落(settlement):人の住む家屋が集まったもの。人口集中の状態や中心となる産業の相違などにより村落と都市に分けられる。
村落(village)
第一次産業(農林水産業)を経済基盤とする集落。

都市(city)
第二次・第三次産業(商工業やサービス業)を経済基盤とする集落。

第二次産業・第三次産業が成長するにつれて、都市人口が増えるのはなぜ?
人間の活動において、最優先事項はまず「食べ物を安定的に確保すること」。たとえば、もし毎日300円で生活しなければならないとしたら、アクセサリーやイヤホンより先に食料を買うはず。この優先順位は社会全体にも当てはまる。
そのため歴史的には、多くの人が第一次産業(農業)に従事し、農地の近くに住んでいた。
ところが、農業技術が発展し、生産効率が高まると「農業に従事する人の数を減らしても食料供給を維持できる」状態が生まれる。また、交通・物流が発達することで、必ずしも農地の近くで暮らす必要がなくなる。
すると、人々は村落を離れて、農産物が集まる市場が発達した場所へ移動し始める。村落の余剰労働力は、第二次・第三次産業の仕事がある場所(=都市)へと移動する。
村落(village)

形状による分類
集村
- 塊村
- 円村
- 列村
- 路村
散村
(例)砺波平野(富山)
日本の村落の発達
【古代】条里制
班田収授法を実施するための耕地の区画制度。この区画に基づいて集落が作られた。
【近世】新田集落
近世になって開拓された新田を基盤に発展した集落。
【近代】屯田兵村
明治時代、北海道の開拓と防備のために設けられた村落。アメリカのタウンシップ制をモデルにした碁盤目状の地割。
村落の問題点
- 交通機関の縮小→自動車を運転できない人の移動が不便
- 無医地区が多い(特に小児科、産婦人科)
- 福祉施設の整備が不十分
- 空き家が増える
- 耕作放棄地の拡大→山林の荒廃
都市(city)

機能による分類
| 工業都市 | 北九州、川崎、マンチェスター、デトロイトなど |
| 鉱業都市 | |
| 商業都市 | 大阪、フランクフルト、ニューヨークなど |
| 港湾都市 | ポートサイド、ケープタウン、パナマなど |
| 政治都市 | キャンベラ、デリー、ブラジリア、ワシントンD.C.など |
| 宗教都市 | 【キリスト教】エルサレム、バチカン 【イスラム教】メッカ、メディナ、エルサレム 【ヒンドゥー教】ヴァラナシ 【ユダヤ教】エルサレム 【チベット仏教】ラサ |
| 住宅都市 | 相模原、さいたま、武蔵野など |
| 観光保養都市 | 京都、鎌倉、アテネ、熱海、カンヌ、ニース、マイアミ、ラスヴェガスなど |
| 学術都市 | つくば、ケンブリッジ、ハイデルベルクなど |
巨大都市(総合都市)の構造
都心部:中心部に中心業務地区が立地する。
- 中心業務地区(C.B.D.):Central Business District。商業・工業・金融業などの本社、全国的組織の本部などが集まっている地域。
都心部の外側には商業地区、住宅地区、工業地区が立地する。
都心と郊外を結ぶ交通上の結節点に副都心が形成されることがある。
- 副都心:巨大都市で、都心の管理中枢機能の一部を分担する地区。(例)新宿、池袋、渋谷、天王寺
郊外にはベッドタウンやニュータウンが立地する
都市での居住
セグリゲーション
大都市の内部で、所得水準・社会階層・民族などによって居住地が分離して住み分けが行われている現象。
(例)ニューヨーク
- 中国人街(チャイナタウン)
- イタリア人街(リトルイタリー)
- ユダヤ人街
- 黒人街(ハーレム)
ドーナツ化現象
都市の発展にともなって都心部の人口が減少し、周辺部の人口が増加する現象。
都市同士の結びつき
メガロポリス
連続する多くの都市が交通・通信で結合され、全体が密接な関係を持ちながら活動している都市群。
コナーベーション
市街地の拡大によって、隣接する2つ以上の都市が連続して1つの都市域を形成した都市群。
都市の問題点(都市問題)
大きく分けると2つ。
- 都心部の問題(→過密、公害、インナーシティ問題)
- 周辺部の問題(→スプロール現象)
都心部の問題

周辺部の問題
スプロール現象:郊外の農地が住宅地に転換され虫食い状態的に都市が拡大していく現象
スラム:大都市の都心部およびその周辺部に、低所得層の人々が居住することにより形成される住環境の悪い住宅街。
都市計画
都市問題を防止し、健康で文化的な生活のできる都市にするための都市の整備・建設計画。
大ロンドン計画
ロンドンの過密状態を解消するために、ロンドン大都市圏で行われた都市計画。
- もともとあった市街地の周囲にグリーンベルト(緑地帯)を作って、無秩序な市街地の拡大を防止する。
- グリーンベルトの外側に職住近接のニュータウンを建設する。
日本のニュータウン
- 高度経済成長期における大都市圏の人口集中を受けて、
- 住宅不足の解消、人口の郊外への分散のため設置された。
- 用地の取得が容易な山林や農地が開発対象となった。
(例)千里ニュータウン、多摩ニュータウン
問題点
- 職住分離による通勤ラッシュや道路の渋滞
- 当初、青壮年層が一斉に入居したため、一挙に高齢化が進んだ
- 子供の独立による転出で人口が減少
- バリアフリー化が進展していない
都心部の再開発
ウォーターフロント再開発:臨海部の工場や倉庫の跡地を再開発。(例)ドックランズ(イギリス)
ジェントリフィケーション:都心部に近い場所に住宅を建設し、移り住むこと。特に高額所得者が都心部に住居を構える傾向が見られる。地価の関係で多くは高層住宅になる。
村落と都市に関する論点
高度経済成長期にニュータウンが多数建設されたけど、誰が作ったの?
都市の人口急増(特に高度経済成長期)に対応するため、「住宅不足の解消+郊外への計画的移転」を目的にニュータウンを建設した。
=都市計画のためのニュータウン
- 千里ニュータウン(大阪府吹田市・豊中市):日本第1号
- 多摩ニュータウン(東京都多摩市)
- 港北ニュータウン(神奈川県横浜市)
- 泉北ニュータウン(大阪府堺市・和泉市)

鉄道会社にとって、沿線に住む人々が増えれば、毎日鉄道を利用する乗客(通勤・通学客)が増えて収益が安定的に増加する。
また、鉄道を敷設することで、その周辺の土地の価値が増大する。鉄道会社は、安い価格で広大な土地を取得し、鉄道インフラを整備した後に住宅地として高く販売することで、大きな利益を得られる。
=鉄道会社のビジネスとしてのニュータウン
- 多摩田園都市(東急電鉄)
- 新百合ヶ丘(小田急電鉄)
- 箕面(阪急電鉄)
※鉄道会社が「鉄道の乗客を増やすために住宅地をつくる」構造は日本特有(阪急・東急・小田急・京王・西武など)
バブル崩壊後、日本で都心回帰が起きたのはなぜ?
地価が下落したから、っていうのはわかるけど、それだけで都心回帰が急激に起こるのかな?
1.バブル崩壊による地価下落
- バブル崩壊で地価が暴落し、普通のサラリーマンでも「頑張れば都心の住宅に手が届く」状態に戻った。
2.工場の海外移転
- 円高や産業構造の変化で、東京の湾岸部(豊洲、有明など)や川崎(武蔵小杉など)にあった巨大な工場や倉庫が次々と閉鎖・海外移転し、都心に「広大でまとまった土地」が生まれた。
3.規制緩和(容積率の緩和)
- バブル崩壊後、高度経済成長期に建設されたビルの老朽化が進んでいた中で、景気低迷から抜け出すための一つの策として、1990年代末から超高層ビルを建てやすくするための規制緩和が行われた。
※免震技術の向上も高層ビルの建築を後押し。
これらが重なったことで、2000年代以降、都心でのタワーマンションや高層オフィスビルの建設が加速した。
なぜ東京に一極集中している?
人の移動(特に地方から大都市圏への移動)は、「移動先までの距離(コスト)」と「移動先の経済力・機会(リターン)」という2軸の掛け合わせで決まる。
現在の日本では、東京圏の「機会の大きさ」が他の都市圏を圧倒している。
- 高賃金の雇用機会
- 企業の意思決定機能(本社)
- 高等教育機関
- 文化的な利便性
そのため、「長距離移動のコストを上回るリターンが得られる」と判断する人が多い。
高度経済成長期は製造業が経済の主役だったため、工場労働力への需要が高かった大阪圏・名古屋圏にも人口が分散した。
日本で郊外型の大型店舗(ショッピングモールやホームセンターなど)が増えた背景は?
①モータリゼーション:1960年代後半から自家用車が一般家庭に広く普及するとともに、高速道路や郊外の幹線道路の整備が進み、自動車でのアクセスが向上した。
②郊外への人口拡散:都市の中心部の地価が高騰したことや、より広い住環境を求める人々のニーズにより、人口が郊外の住宅地へ移動した。
③規制緩和:大規模小売店舗法(大店法)により、かつては地元商店街を保護するために大型店の出店が厳しく規制されていた。しかし2000年に大店法が廃止されたことで、郊外への大規模商業施設の出店が容易になった。
河川沿いに住宅地が広がった理由は?
多くの国・地域で、洪水リスクの高い地域(後背湿地)での宅地開発が急速に進んでいる。
具体例
- 東京の東部:江戸川区、葛飾区、墨田区、江東区
- 大阪平野:淀川沿い
- 濃尾平野:木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)の氾濫原
背景には、都市への人口集中が進んでいる中で、コストを抑えて建設することで利益を最大化したい開発業者のニーズと、住宅を安く購入・賃貸したい需要側のニーズが合致したことがある。
供給側が洪水リスクを十分に周知しなかったり、需要側が洪水リスクを軽視したりすることで、災害が起きたときに被害を受ける人が増えてしまう。
特に急速に都市化が進む途上国や新興国では、この問題が深刻である。土地利用計画や建設規制が開
発展途上国で首都一極集中が起きる背景は?
中央集権的な統治体制を持つ国が多く、政府機関、裁判所、主要な大学といった政治・行政・教育の機能がすべて首都に置かれる。
外国からの投資が、港湾、空港、高速道路、電力網といったインフラが整備されている首都周辺に集中する。これにより、雇用機会や高賃金の仕事が首都に偏る。
地方では、高等教育機関や質の高い病院が不足していることが多い。より良い教育と医療を求めて、人々が首都へと移動する。
首位都市(プライメートシティ)は古くから見られる現象?
発展途上国で見られるような過度な一極集中は20世紀後半以降の比較的最近の現象。
第二次世界大戦後の人口急増により、農村部での就労機会が足りなくなった。
第二次世界大戦後のグローバル化の進展により、外国企業からの投資が首都圏に集中しやすくなった。
「住民が使う言語が都市ごとに異なる」という現象が見られるのはアメリカ以外にどこがある?
カナダ:公用語は英語とフランス語
- トロント:英語
- モントリオール:フランス語
ベルギー:公用語はオランダ語、フランス語、ドイツ語
- 北部:フラマン語(オランダ語系)
- 南部:フランス語
スイス:公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語
- チューリッヒなど:ドイツ語
- ジュネーブなど:フランス語
- ルガーノなど:イタリア語
- グラウビュンデン州など:ロマンシュ語
ロシア:公用語はロシア語
インド:公用語はヒンディー語
中国:公用語は中国語
アメリカは「移民を大量に受け入れたことによって、都市ごとに使用言語が異なるようになった」けど、上記の他の国は「異なる言語を喋る人々が1つの国家に統一された」という感じかな。
アメリカの現象は非常に独特。移民を大量に受け入れた国ならでは。他の国ではアメリカ並みの「はっきりとした違い」は見られない。
でも「アメリカの太平洋岸にアジア系、メキシコやカリブ海周辺にヒスパニックが多い」って、現代でも当てはまるのか。
「地理的に近いところに移動するというのは、昔の船の時代なら理解できるけど、飛行機の時代なら「地理的な近さ」はそんな大きなファクターにならないような気がする。
=既存のコミュニティを頼って新たな移民が流入し続ける現象。最初にその地に定住した歴史的な理由(船での到着など)にかかわらず、一度形成されると世代を超えて強力に作用する。
- 家族や親戚、同郷の友人が先に住んでいる場所に行くことが、最も安全で確実。先に移住した人々が、仕事の斡旋、アパートの契約、言語のサポートを提供する。
- 食料品店、宗教施設、コミュニティセンターなど、自国の文化を維持できる環境が整っている。
ロンドンのドックランズって今どうなっているの?
ドックランズ(London Docklands)は都市再生の最も有名な成功例の一つ。
19世紀〜20世紀初頭は世界最大の港湾地区だった。
しかし、コンテナ輸送の時代になると大型船がテムズ川奥まで入れなくなり、1980年代には廃墟と化した荒廃地区になっていた。
政府主導の大規模な再開発が行われ、現在は「第二の金融街」へと変化した。カナリー・ワーフが再開発の中心地。
参考:ドックランズ
日本のウォーターフロント再開発の例は?
- 横浜みなとみらい21
- 東京臨海副都心(お台場・有明エリア)
- 神戸ハーバーランド
先進国と発展途上国のスラムの違い
先進国では建物の老朽化等で富裕層が転出し、低所得者層が流入して都心周辺の市街地にスラムが形成されるが、途上国では農村の余剰人口の都市流入・不法占拠で市街地周辺の未利用地にスラムが形成される。










