外国からお金を稼ぐ方法とは?スタバを例にわかりやすく解説
「経常収支が黒字に転じた」「第一次所得収支が過去最高」
こんなニュース、よく見かけるけど正直ピンとこない人も多いのでは?
こうしたニュースを理解するためには、まず「企業が外国からどうやってお金を稼いでいるのか?」という稼ぎ方の種類を知ることがカギになる。
そこで今回は、アメリカの有名カフェチェーン「スターバックス」が日本でどうやって稼いでいるか?を例に、わかりやすく解説してみる。
アメリカのスタバが日本でお金を稼ぐ方法
① コーヒー豆をアメリカから直接売る(=輸出)
アメリカのスターバックスがコーヒー豆を日本の消費者に直接販売する。
これは「輸出」にあたり、日本人から見れば「個人輸入」となる。

② 日本に店舗をつくってコーヒー豆やドリンクを売る
では、スターバックスラテのようなドリンクを売りたい場合は?アメリカで作ったラテをそのまま日本に送るのは現実的ではない。
そこで、アメリカのスターバックスは 日本に子会社(スターバックスジャパン)を設立し、現地で店舗を運営する。

現地での販売なら、日本市場にあわせた価格設定やサービス、パッケージ(例:日本語表記)など、柔軟な対応が可能になる。
日本現地で店舗運営や販売を担ってもらえば、日本市場にあった価格設定や接客、商品展開、トラブル対応などをしやすくなって便利だ。例えば、コーヒー豆のパッケージを日本語対応にしたり、など。
こうして得た利益の一部を、配当という形でアメリカ本社が獲得する。
※所得税や消費税は日本に納められる。
③ ロイヤルティで稼ぐ
別の手段として、スターバックスがブランドやレシピの使用権を提供し、日本国内の喫茶店などに運営を任せるケースも考えられる。
この場合、アメリカ本社はロイヤルティ(知的財産の使用料)として収益を得る。

④ 投資によってお金を得る
最後に、スターバックスが日本での事業を行わずに、投資によって稼ぐ方法もある。
たとえば、日本企業の株式や日本国債を購入して、利子や配当を得るという方法だ。

まとめると以下のようになる。
企業が外国からお金を稼ぐ方法は大きく2つ
①直接モノやサービスを売る
項目 | 内容 | 例 |
---|---|---|
貿易収支 | 製品・部品・原材料など、モノ(有形財)を海外に売る | トヨタが海外に自動車を輸出する |
サービス収支 | 運輸、旅行、建設、金融、保険、ロイヤルティ(特許・商標など) | ANAの飛行機に外国人が乗る/任天堂のキャラクターを海外企業が使う使用料 |
②吸い取る
項目 | 内容 | 例 |
---|---|---|
第一次所得収支(直接投資収益) | 海外の子会社からの配当 | トヨタUSAからトヨタ本社への配当 |
第一次所得収支(証券投資収益) | 海外の株式・債券などへの投資で得た利子・配当収入(いわば財テク) | 三菱UFJが米国債から利子収入を得る |
※ロイヤルティの扱いはちょっと特殊
ロゴ・レシピ・技術などの知的財産の使用料(ロイヤルティ)は、原則としてサービス収支に分類される。
しかし実態としては、「知的財産を貸して、現地法人から利益を吸い上げている」構図であり、「サービス収支に分類されるが、実質的には“吸い取る”側面もある」と理解できる。
(例:アメリカのスタバ本社が、スタバジャパンからロゴ・レシピ使用料を得る)

Netflixで考えてみよう
Netflixはアメリカの会社だが、日本にも「Netflix合同会社」という日本法人がある。日本のユーザーが利用しているのは、この日本法人を通したサービスである。
では、お金の流れはどうなっているのか?
- 日本のユーザー → 日本のNetflixに料金を払う(=日本国内でのお金のやり取り)
- 日本のNetflix → アメリカ本社にロイヤルティ(ブランドや技術の使用料)や配当を払う
つまり、最終的にアメリカ本社にお金が流れていく。

では問題!(穴埋めと選択)
①「Netflixジャパンがアメリカ本社にブランド・コンテンツ使用料などを支払う」のは、日本の経常収支の中の◯◯収支の「黒字or赤字」要因になる
②「Netflixジャパンが利益の一部を配当としてアメリカ本社に送る」のは、日本の経常収支の中の◯◯収支の「黒字or赤字」要因になる
まとめ
区分 | 中身 | 経常収支の分類 |
---|---|---|
売る | モノ | 貿易収支 |
売る | サービス(旅行、運輸、ロイヤルティ等) | サービス収支 |
吸う | 子会社・現地法人からの利益 | 第一次所得収支(直接投資収益) |
吸う | 海外資産からの配当・利子 | 第一次所得収支(証券投資収益) |
