人間の活動

農業は「人手が必要な産業」なのか?穀物と野菜の違い

モチオカ(望岡 慶)
Summary

農業全体としては「人手が必要な産業」だが、作物によって必要な労働力の量は異なる。

穀物の栽培は機械化が進んでおり、比較的人手が少なくて済む一方、

野菜・果物・園芸作物は収穫や選別などに手作業が多く、人手が大きく必要とされている。

農業全体としては「人手が必要な産業」

エジプト カイロのスーパーマーケットにて。(2025.2撮影)

農業の現場では、単に作物を育てるだけでなく、

  • 収穫
  • 加工
  • 洗浄・選別・箱詰め
  • 出荷

など、多くの工程が必要。これらの工程の多くは機械化が難しく、人の手や目での判断や作業が欠かせない。

そのため、農業全体としては人手がかかる産業であると言える。

しかし、穀物の栽培と野菜・果物・園芸作物の栽培では事情が異なる。

穀物栽培は機械化が進んでいる

佐賀平野の麦畑。(2022.5撮影)

米、小麦、トウモロコシなどの穀物は、機械化・自動化が進んでいる分野。

大規模な穀物農場では、以下のような作業が機械で効率的に行われている。

作業工程機械化の状況
耕うん・播種・田植えトラクター・田植え機などで一括作業
肥料・農薬の管理ドローンや自動散布機を使用
収穫コンバインで一気に大量収穫が可能

※よくある「アメリカの広大な農地に農業機械が走っている写真」は、この穀物栽培の一例。

こうした作物は、1人で数ヘクタール以上の農地を管理できることもあるため、人手はそれほど多く必要とはされない。

野菜・果物・園芸作物は人手が必要

イスタンブールのスーパーマーケットにて。(2025.2撮影)

一方で、レタス・キャベツ・トマト・イチゴ・リンゴ・ブドウなどの野菜や果物は、収穫作業や品質判断に人の目と手が必要不可欠

理由ポイント
実がデリケート傷つきやすく、やさしく扱う必要がある
形や熟度がバラバラ成長のばらつきがあり、熟したものだけを選んで収穫する必要がある
外見のチェックが必要見た目で等級が決まるため、最終判断は人間が行うことが多い

そのため、収穫期になると一気に多くの人手が必要になる。

日本やヨーロッパでは、これを補うために外国人労働者の受け入れが進められている。

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