世界の農業の分布
モチオカ(望岡 慶)
モチオカの社会科プラス
農業全体としては「人手が必要な産業」だが、作物によって必要な労働力の量は異なる。
穀物の栽培は機械化が進んでおり、比較的人手が少なくて済む一方、
野菜・果物・園芸作物は収穫や選別などに手作業が多く、人手が大きく必要とされている。
農業の現場では、単に作物を育てるだけでなく、
など、多くの工程が必要。これらの工程の多くは機械化が難しく、人の手や目での判断や作業が欠かせない。
そのため、農業全体としては人手がかかる産業であると言える。
しかし、穀物の栽培と野菜・果物・園芸作物の栽培では事情が異なる。
米、小麦、トウモロコシなどの穀物は、機械化・自動化が進んでいる分野。
大規模な穀物農場では、以下のような作業が機械で効率的に行われている。
作業工程 | 機械化の状況 |
---|---|
耕うん・播種・田植え | トラクター・田植え機などで一括作業 |
肥料・農薬の管理 | ドローンや自動散布機を使用 |
収穫 | コンバインで一気に大量収穫が可能 |
※よくある「アメリカの広大な農地に農業機械が走っている写真」は、この穀物栽培の一例。
こうした作物は、1人で数ヘクタール以上の農地を管理できることもあるため、人手はそれほど多く必要とはされない。
一方で、レタス・キャベツ・トマト・イチゴ・リンゴ・ブドウなどの野菜や果物は、収穫作業や品質判断に人の目と手が必要不可欠。
理由 | ポイント |
---|---|
実がデリケート | 傷つきやすく、やさしく扱う必要がある |
形や熟度がバラバラ | 成長のばらつきがあり、熟したものだけを選んで収穫する必要がある |
外見のチェックが必要 | 見た目で等級が決まるため、最終判断は人間が行うことが多い |
そのため、収穫期になると一気に多くの人手が必要になる。
日本やヨーロッパでは、これを補うために外国人労働者の受け入れが進められている。