東アジア

なぜ「高級韓国料理」は存在しないのか?

モチオカ(望岡 慶)

このまえ韓国ソウル旅行をした際、ふと思った。

「”高級”韓国料理ってなくない?」

フランス料理、中華料理、イタリア料理、日本料理には高級料理のイメージがあるけど、

一方で、例えばアメリカ料理、イギリス料理、韓国料理、ドイツ料理には家庭料理のイメージはあるけど、高級料理っていうジャンルのイメージはないなー。。。って

実際、ホテルの1階や最上階に入っているようなレストランはたいていフレンチか中華。高級イギリス料理、高級韓国料理のレストランが入っているホテルをは見たことがない。

むっちゃ不思議。なんで???

ってことで「高級料理が存在する条件」を考えてみた。

★★★

高級料理が存在する条件はおそらく4つあると思う。

※すべて仮説です

①国が温帯に属すること

温帯は一年を通して温暖で四季の変化がはっきりしている気候。

暑すぎず寒すぎずで快適な気候なので、料理を楽しむ余裕が生まれ(←たぶんこれむっちゃ大事)、それにともなって調理技術が向上したのではないか。

また、温帯は農業をしやすいので食材を得やすい。新鮮な食材を使うことができるのでおいしい。

それに急いでさっさと腹の中に入れる必要がないので、凝った料理を作る余裕がある(←失敗しても死活問題にならない)。亜寒帯のように保存食に頼る必要はない。

さらに、四季があるので食材に旬という概念が生まれ、食を楽しむ文化が育まれた。

それに食材が豊富だと皿数が増え、豪華なイメージが生まれる(←調理の手間も増え、人件費アップとともに値段も上がり「高級料理」になる)。

(温帯に属する国の例)

  • フランス
  • 中国
  • イタリア
  • 日本
  • トルコ

たぶん韓国やドイツやイギリスは少し寒すぎるのかな・・・?

シンガポールのラクサ

熱帯の地域は暑くて食欲がわかないので、食欲を刺激するために香辛料をぶち込みまくったりする。それはそれでおいしいけど、やっぱり洗練された料理とは言い難いよね。

②中央集権的で文化の中心地があること

地方分権的な国よりも中央集権的な国の方が、人や情報が一箇所に集まりやすいはず(最大権力者がいる文化の中心地、要するに大都市に集中する)。

そうすることで競争が起き、調理技術が向上するのではないか。権力者は(宮廷のような場所で)調理人を雇い、おいしい料理を作らせたはずだし。

(中央集権的だった国の例)

  • イタリア(ローマ)
  • 中国(国がむっちゃ大きいので、文化の中心地がいくつかあるけど)
  • フランス(パリ)
  • 日本(京都)
  • トルコ(イスタンブール)

ドイツやアメリカは地方分権的で調理技術が向上しにくかった・・・?

③繁栄した過去がある

植民地支配を受けた経験がほぼなかったり、

大国に対して従属的な立場にとどまる経験が短かったりして、

(帝国的に)繁栄した過去がある国は、その国の料理を独自文化として発展させる余裕があったではないか(←周囲の様々な文化を取り入れつつ)。

豊かで余裕がある国だからこそ、単なる生存目的ではなく嗜好目的で調理をすることができた・・・という説。

(帝国的に繁栄した過去がある国の例)

  • イタリア(ローマ帝国)
  • 中国
  • フランス
  • 日本
  • トルコ(オスマン帝国)
ホーチミンのバインミー

※ベトナムはフランスによる植民地支配の影響で料理がおいしくなったと言われているので、必ずしも植民地支配が料理に悪影響を及ぼすわけではなさそうだけど

※イギリスは帝国的に繁栄した過去があるけど、島国で文化がそれほど流入せず(もしくは排他的で)、一応温帯に属しているとはいえやや寒いので、料理があまり発展しなかった・・・?(納得できる理由をまだ考えられていない)

④グローバル化するまでに「おいしい」という評価を確立していること

「あそこの国の料理はおいしいよね」っていう評価や、高級フレンチのような「高級○○」っていうイメージも大事。

冷戦が終わってグローバリゼーションが進展し、情報が庶民にまで広く拡散する情報革命が起きた時期(1990年代半ば)までにそのような評価・イメージを得ることができていた料理は、その地位を磐石にした・・・という説。

以上、穴ボコボコで全く詰めきれていない仮説ですが、書いてみましたー

韓国の場合は

  • 気候的にやや厳しい(一応温帯だけど、だいぶ寒い)←たぶんこれが一番インパクトのある理由だと思う
  • 従属的な立場にいる期間が長かった

ってのが、高級料理のジャンルが育たなかった理由かなあ。

まだ全然スッキリできていないので、いろんなところを旅しつつ考え続けたいと思います。

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